
グランドセイコーの2025年新作として発表された、ヘリテージコレクションの「SBGW323」。グランドセイコー誕生の地の自然美と伝統に深く根ざした、淡く美しい紫のダイアルを特徴とする、手巻き機械式モデルです。本記事では、表情豊かなダイアルと、男女問わず着用できるコンパクトなサイズ感を持つSBGW323の魅力について、詳細なスペックやデザイン、搭載ムーブメントを掘り下げていきます。
淡い紫の上品な表情を持つ手巻きメカニカルウオッチ「SBGW323」

今回レビューするSBGW323は、グランドセイコーが追求する日本の美意識を体現したモデルのひとつ。見目麗しいダイアルに加え、36.5mmというサイズ感によって、性別を問わず愛用できるモデルとなっています。グランドセイコーの伝統にのっとった、44GS現代デザインを持つケース造形にも注目です。
南部の紫桐×岩手山パターン
SBGW323のダイアルでは、ブランドを代表するダイアル模様である「岩手山パターン」と、岩手県の県花である「桐(きり)」から着想を得た柔らかな紫色のカラーリングが融合されています。
この岩手山パターンは、機械式グランドセイコーの製造地である「グランドセイコースタジオ 雫石」から望む岩手山の山肌を表現したもの。放射状に広がる繊細な型打ちを施すことで、ダイアルに豊かな表情を与えています。

一方、ダイアルカラーは、前述の通り岩手県の県花である「桐」に由来します。岩手県産の桐は「南部の紫桐」として古くから愛されており、SBGW323ではこの紫桐から着想を得た淡く美しい紫色が採用されています。さらに、ダイアルのレイアウトは至ってシンプルであり、差し色やデイト表示もありません。淡く美しい紫色の色合いと、岩手山パターンの繊細な模様との調和を、存分に楽しめる表情となっています。
紫のダイアルは、実はグランドセイコーで珍しいカラーリング?
グランドセイコーのレギュラーモデルにおいて、本作のような紫のカラーリングはあまり見られないものとなっています。そのため、他人と被りにくい点も、本作の魅力に数えられるかもしれません。
ちなみに、周年記念の数量限定モデルや和光限定モデル、海外限定モデルでは、たびたび、紫のカラーリングを持つ腕時計が登場しています。
44GS現代デザインにおける、最小サイズのケース

ケースの造形は、グランドセイコー独自のデザイン哲学「グランドセイコースタイル」のルーツである「44GS」を現代的に解釈した、「44GS現代デザイン」を採用しています。
これにより、ザラツ研磨によってゆがみなく磨き上げられたケースには、ラグからサイドにかけて緩やかにカーブを描く稜線が与えられ、上質な外観と、腕なじみの良い装着感を実現しています。

ケース直径は、44GS現代デザインのモデルとして最小サイズである36.5mmを採用。厚さは11.6mmで、全体的にスリムな印象です。裏ぶたには、スクリューバックが採用されました。
装着性、操作性に優れるブレスレット

ブレスレットは、スタンダードなデザインで、どのようなファッションにも合わせやすい3列タイプです。素材はケースと同様のステンレススチール製で、中留はワンプッシュ三つ折れ方式です。
日常使いに向いた、要点を押さえた機能性
SBGW323のコンパクトなサイズ感は、ローターを持たない手巻き式ムーブメントの搭載によるものです。耐磁性、防水性といった日常に向いた機能もしっかりと備わっているため、どのようなライフスタイルにも合わせやすいでしょう。
手巻き機械式キャリバー9S64を搭載
SBGW323には、手巻メカニカルのキャリバー9S64が搭載されています。リュウズを定期的に巻き上げる必要のある手巻き式ムーブメントであり、最大巻き上げ時には約72時間(約3日間)のパワーリザーブを発揮します。

精度は、グランドセイコー独自の規格に基づき、静的精度は平均日差+5秒~-3秒、実際に着用する環境下での目安となる携帯精度は、日差+10~-1秒が保証されています。また、振動数は28,800振動/時(8振動/秒)の高振動で、比較的安定した計時を可能としています。
SBGW323の防水性、耐久性
防水性は日常生活用強化防水(10気圧)です。これは日常生活において、汗や洗顔時の水滴、雨などはもちろん、食器洗い、お風呂、水泳、スキューバダイビング以外のマリンスポーツでも使用可能な水準であり、日常生活で水濡れを気にすることなく着用することができます。また、グランドセイコーのムーブメントでは、非磁性素材をひげぜんまい、動力ぜんまいに使用しているため、ある程度の耐磁性も備わっています。
日常使いにおいて、申し分のない性能と言えるでしょう。
SBGW323のサイズ、厚み、重さ

SBGW323のケースサイズは、横 36.5mm、縦 42.7mm、厚さ 11.6mmです。重量は132 gです。横幅36.5mmは、一般的にコンパクトなサイズ感であり、手首の細い男性や、女性の方にとっても、腕馴染みが良いでしょう。
どんな人にSBGW323はお勧め?
SBGW323は、どのような方に特におすすめできるモデルでしょうか。その魅力は多岐にわたりますが、特に以下の点に注目できます。
まず、性別を問わず愛用できる、絶妙なサイズ感と洗練されたデザインです。ケース径36.5mmというサイズは、多くの男性の手首にしっくりと収まるだけでなく、大きすぎず小さすぎないため、手元で過度な主張をしません。一方で、少し大きめの時計をファッションに取り入れる女性にとっては、マニッシュでありながらも淡い紫色のダイヤルがフェミニンな柔らかさも感じさせ、スタイリッシュに着けこなせるでしょう。

岩手山パターンと南部の紫桐から着想を得た上品なダイアルカラーと、デイト表示のないシンプルな構成も、華美になりすぎず、知的な印象を与えます。この普遍的な美しさは、フォーマルな場からカジュアルな日常まで、シーンを選ばずに活躍します。まさに、ジェンダーレスに長く愛用できる1本と言えるでしょう。もちろん、パートナーとシェアして使う、といった楽しみ方もできるはずです。

そして、「自分で時計を巻き上げる」という、手巻き式ならではの仕様も魅力です。この一見手間とも思える行為こそが、時計に命を吹き込む儀式であり、時計との対話を深める時間となります。リュウズを巻き上げ、時計が動き出す瞬間を感じることで、機械式時計の精緻なメカニズムへの理解が深まり、スマートフォンやスマートウォッチなどのデジタル機器にはない温もりと愛着が湧いてくるでしょう。
無償保証や、アフターサービスについて
2021年10月1日より、グランドセイコーの保証期間は5年が設定されています。自然に発生した不具合や故障に対し、保証期間内の故障や修理であれば、無料でサポートしてもらえます。

また、グランドセイコーの腕時計は、長期間の愛用に向け、充実したアフターサービスが提供されています。中でも、内装修理・オーバーホールとライトポリッシュがセットになったコンプリートサービスは、大事な1本を長く使うために役立つでしょう。
まとめ
グランドセイコーSBGW323は、岩手県の自然(岩手山、桐)から着想を得た、淡く美しい紫色のダイヤルと岩手山パターン、そして44GS現代デザインのケースを組み合わせた、上品で洗練された手巻メカニカルウォッチです。
搭載するキャリバー9S64は、約72時間(約3日間)の駆動期間と安定した精度を実現しており、手巻ならではのクラシカルな魅力を持っています。36.5mmというミドルサイズは、腕馴染みが良く、老若男女を問わない、幅広い層の方におすすめできます。
SBGW323は、上品で控えめな美しさを求める方にぴったりの一本であり、日本の自然や伝統に思いを馳せながら、時計を所有する喜びを感じさせてくれるでしょう。
グランドセイコー 9Sメカニカル
SBGW323の値段・スペック
ムーブメント
発売年月 | 2025年5月 |
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キャリバーNo | 9S64 |
駆動方式 | メカニカル 手巻 |
駆動時間 | 最大巻上時約72時間(約3日間)持続 |
精度 | 平均日差+5秒~-3秒 |
携帯精度 | 日差+10~-1秒 |
外観
外装 | ステンレススチール |
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外装 | ステンレススチール |
裏ぶた仕様 | スクリューバック |
ガラス材質 | ボックス型サファイア |
コーティング | 内面無反射コーティング |
ケースサイズ | 横 36.5mm 縦 42.7mm 厚さ 11.6mm |
バンド幅 | 18mm |
中留 | ワンプッシュ三つ折れ方式 |
機能
防水 | 日常生活用強化防水(10気圧) |
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耐磁 | あり |
重量 | 132 g |
その他 | 石数 24石 |
この記事の監修

- 資格:日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
担当ブランド:Grand Seiko、NORQAIN
腕時計販売店ハラダのオンライン担当。
腕時計の撮影、オンライン上でのマーケティング全般を担当。
最新のトレンドからクラシックなモデルまで、幅広い腕時計の情報を提供し、特に日本の腕時計ブランドであるグランドセイコーの魅力を発信することに注力。グランドセイコーの精密な技術と美しいデザインについて詳しく紹介し、時計の選び方や魅力を伝える事に生きがいを感じている。