タイトル腕時計の工具画像

【故障かな?と思ったら】
時計の時刻・日付合わせの方法

普段お客様より寄せられる数々のお声の中で、私たちネット販売部が気にしているご意見があります。
それは時間及び日付の修正に関してのご意見。

時計の時刻合わせは、個人でも行うことができると考えているお客様も多いとは思いますが、実は誤った知識で時間や日付を修正してしまうと内蔵された歯車の摩耗や、最悪の場合オーバーホルが必要となる故障の原因となってしまうのです・・・。

この記事をお読みいただき、正しい時刻合わせや日付合わせをお客様に知ってもらうことができれば幸いです。

 

 

時間の直し方

まずは時間の直し方ですが、これは内蔵されているムーブメントの種類によって異なります。

 

 

1.電池式クォーツの場合

 

電池式クォーツはその値段の割に非常に繊細な機構のため、時間合わせは注意が必要です。
ムーブメントの構造上、「時刻修正機構」を構成する複数の歯車の間に一定の隙間が必要になり、この隙間を保ちながらりゅうずを回し、時刻を合わせる方法を「逆針合わせ」と言います。
この「逆針合わせ」の手順は以下の通りです。

まず、10気圧以上の防水時計でリューズがねじ込み式の時計はりゅうずを左に回してロックを解除して下さい。
それ以外でカレンダーの付いていない時計は、秒針が12時の位置に来たタイミングでリューズを1段引いて秒針を止めます。
この状態であれば、時針と分針が回せるので現在の時刻より5分以上進めます。

現在の時刻より5分以上進めたら、ゆっくりと針を逆回転させてから現在の時刻に合わせて下さい(現在10時10分なら、10時15分まで回して逆回転で10分の位置に戻す)。
最後に時報と同時にりゅうずを押し込めば完了です。

 

 

2.機械式とスプリングドライブの場合

 

機械式およびスプリングドライブの腕時計は逆針合わせの必要はありません。
分針を5〜10分手前にしておき、そこからゆっくり進めて正しい時刻にあわせてください。

 

 

日付の直し方

1ヶ月の日数が31日に満たない、いわゆる「小の月(2.4.6.9.11月)」を終える際、カレンダー表示は1日〜31日までとなっていますので、日付変更を行う必要があります。
またこの時、日付は24時間で1日変更されるように設定されているので、午前/午後を間違わないように時刻を合わせるよう注意が必要です。

ただ、この時絶対に気をつけて欲しいことが1点だけあります。
それは午後9時〜午前4時の間に日付調整を行わないことです。

この時間帯は、カレンダー板の歯車と時間表示の歯車が噛み合っている時間になります。
つまり、腕時計自体が自らの力で日付を切り替えようとしているタイミングにあたり、無理矢理りゅうずを引いて回すと、歯車が欠けてしまうのです。

ご自分で日付を修正する際は、くれぐれもお気をつけください。

 

 

「間違ったかも・・・」と感じた時は

いかがでしたでしょうか?
複雑な機構をもとに時を刻む腕時計は、やはりその取扱いにも十分な注意が必要となります。

もし、お客様自身で時間や日付の調整を行なっている際に「間違った方法で合わせてしまった...」と感じられた際焦ってそれ以上の操作を行わず、すぐに購入された販売店、もしくはお近くの時計修理店にご相談ください。

一生使うことができる時計を一生使うためにも、正しい方法でお使いください!