【山形カシオ】カシオのマザー工場に行ってきました! - 高級時計 正規販売店 ハラダHQオンラインショップ

【山形カシオ】カシオのマザー工場に行ってきました!

山形カシオ

世界的に知られるカシオ計算機株式会社(カシオ)は、日本を代表するエレクトロニクス企業です。時計や、計算機、デジタルカメラ、電子楽器などの製造で知られており、その技術とデザインで業界をリードしています。

特に、私たちに馴染み深い時計については、G-SHOCKやオシアナス、プロトレックといった幅広いコレクションが展開されており、そのタフさやハイテク技術を駆使した機能性が高く評価されています。本記事では、特に重要な製造拠点である山形カシオについて、詳しく紹介していきます。

また今回、株式会社ハラダのスタッフが実際に山形カシオを見学をさせていただきましたので、その感想もまとめました。是非ご一読いただけると幸いです。

山形カシオとは?

山形カシオは、カシオ計算機の製造拠点として、1980年に設立されました。山形県東根市に位置し、腕時計をはじめ、カシオ製品の中核となる部品や製品を生産しています。この拠点では、プロジェクターやハンディターミナル、EMS(電子機器製造サービス)、さらには医療機器の製造に加え、マリン事業にも携わっており、幅広い分野での製品開発を支えています。

カシオ MR-G Gショック MRG-B2100B-1AJRのリストショット

カシオのマザー工場とされているだけあり、カシオブランドの信頼性を担う重要な拠点と言えるでしょう。また、その精密なモノづくりの技術は、世界中のユーザーに高品質なカシオ製品を届けるための基盤を担っています。

山形カシオのモノづくりを支える5つのコア

幅広い分野に向けた電子機器を手掛ける山形カシオは、そのモノづくりにおいて、自動化技術、感性のデジタル化、高精度加工技術、仮想検証技術、伝承技能という5つのコアを掲げています。

自動化技術

山形カシオは、あらゆる製造作業の自動化を図っています。自動化は、品質の安定および生産の効率化が見込めるだけでなく、作業のばらつきも抑えられることに加え、コストの削減にも繋がります。 またカシオは、独自で自動化設備の設計・開発も行っている点も特徴です。高い技術力によって実現したハイテクの製造現場は、カシオならではの強みのひとつと言えるでしょう。

感性のデジタル化

製造および品質検査において、熟練の職人技は重宝すべき技術ですが、習得までにはどうしても時間とコストが掛かり、個人差もあるのがデメリットと言えます。山形カシオではこれの解決に向け、感性のデジタル化を実施し、人の手に頼らない品質検査を実現しています。この技術は、積み重ねられてきた独自のソフト開発力によるもので、エレクトロニクスを専門とするカシオらしいアプローチと考えられます。

高精度加工技術

山形カシオは、金型加工技術および樹脂成形技術に長けており、精密な部品が必要なプロダクトでその技術を遺憾無く発揮しています。特に、時計に使用される歯車などの微細な部品は、1000分の1ミリ単位での製造を可能としており、正確無比な制御を実現しています。さらに、腕時計の外装等では、複雑な造形や多彩な質感の表現も可能としています。

仮想検証技術

山形カシオでは、製品設計の課題発見をスムーズに行うため、3Dデータを活用した仮想検証を取り入れています。これにより、初期段階から設計開発・製品組み立ての擬似的なシミュレーションおよび、設計部門へのフィードバックを可能としており、品質・組立性の向上に繋がっています。

伝承技能

ハイテク技術が目立つ山形カシオの製品製造ですが、職人技の継承にももちろん力を入れています。後述する「メダリスト」のような技能認定制度をはじめ、人材育成の構造が確立されており、カシオのモノづくりの礎となっています。MR-Gやオシアナスのような最上位コレクションを実現する高い技能は、カシオのモノづくりにおける、ひとつの真髄と言えるでしょう。

腕時計製造

山形カシオは、当然ながら腕時計製造においても重要な役割を果たす拠点です。ここでは、自動組み立てと職人技の両方を駆使し、途切れることなく高品質な腕時計が誕生し続けています。中でもPPLやメダリストなどは、山形カシオを語る上で外せない存在です。

最先端のカシオウォッチが生まれるPPLとは

PPL(Premium Production Line)は、山形カシオにおける最先端の腕時計製造ラインです。このラインでは、オシアナスMR-Gといった、カシオのプレミアムウォッチを製造するだけでなく、高度な自動化技術と手作業の職人技を融合させ、腕時計の精度と品質の両方を追求しています。

またここでは、一貫生産型の体制がとられています。時計のムーブメントや、そこに搭載される精密部品のプラスチック部品の製造、さらにプラスチック外装部品の金型設計から生産まで、すべてが社内で行われています。

カシオの職人技を継承するメダリスト

山形カシオでは、卓越した技術と経験を持つ技術者、通称「メダリスト」によるものづくりを展開しています。メダリストは、時計の組み立てにおける高度な技能、感性を有しており、その技量は、技能認定メダリスト制度によって、管理・伝承されています。PPLから生まれるエレガントかつ高機能なコレクションの数々にとって、メダリストたちはなくてはならない存在と言えるでしょう。

自動組み立て

山形カシオの自動組み立て技術は、腕時計製造においても大きな役割を担っています。例えば、多くのカシオアナログ時計に搭載される、高い耐久性と精密な制御を実現したハイテクムーブメントは、自動で生産、組み立てが行われています。さらに、製造過程では調整や品質検査も同時に行われており、常に一定の品質が保たれています。

近年、G-SHOCKの累計出荷本数が1億本を突破したことが話題になりましたが、このような優れた自動化技術も、この偉業に大きく貢献したと考えられるでしょう。

部品製造

部品自体の製造についても、山形カシオの特筆すべき特徴といえます。優れた金型の製造技術によって、1000分の1mm単位で精密な部品の製造を可能としており、高品質な腕時計作りを実現しています。この金型は、金型職人が調整を行なっており、カシオのクラフトマンシップを実感できるポイントでもあります。また、この金型を活かし、G-SHOCKを象徴する多くの樹脂パーツが生まれています。

また、山形カシオでは、極小パーツの生産も自動生産システムによって可能としており、ハイテク技術が光るポイントといえます。その他、腕時計の個性の演出に欠かせない、金型成形品への塗装・印刷技術にも目を見張るものがあります。

マザー工場、山形カシオへ実際に見学に行ってみた!

2024年某日、山形カシオの見学にお招きいただきました。視界が大きく開けており、整然とした、先進的かつ衛生面でも非常に優れた工場でした。

内部には、歴代モデルやカシオのテクノロジーを体験できる展示ブースもあり、カシオファンなら一度は訪れてみたい場所ではないでしょうか。

展示されているモノの中でも印象深かったのが、一見何の変哲もない鉄の直方体です。これには、左右の取っ手を引き上げることで「CASIO」の文字が浮き上がる細工が施されており、文字を沈めてしまうと、全くと言っていいほど加工跡(切れ目)が見えなくなるというものでした。高精度加工技術があるからこそ製造できる作品で、大変興味深かったです。

他にも印象的なモニュメントとして、床から天井まで突き抜ける大きな円柱形の水槽が設置されていました。ここでは観賞魚たちが悠々と泳いでいる中、製造されたカシオ製品の数々が水中に固定されているのを鑑賞しました。長らく水中で固定されたままでいるにも関わらずカシオ製品が正確に時を刻んでいるのを見て、面白い耐久性の見せ方だなぁと感心しました。

実際の、腕時計が製造されているラインも見学させていただきました。完全に自動化された成形工程は、人間が活動する必要がないため普段は消灯されているそう。今回、見学者のために明かりをつけていただきました。また、ムーブメントの組み立て工程のミニチュアも近くで見せていただきました。

自動生産されたムーブメントを腕時計へ組み込む際には、機械では対応しきれない細かなチェックと調整が入ります。ここからは、カシオの中でも特に優れた技能を持つ、技術認定メダリストの方々の出番です。緊張感のある作業風景と、組み立てた後に待ち構える、大変厳しい性能/品質検査の工程を見ることができました。

ちなみにこの組み立てラインは、実は真上から見ると「G」の形になるよう作業机が配されており、とても印象深く感じたのを覚えています。

また、新商品の開発段階に実施される評価試験ですが、製造区画の外ではデモ機が各種設置されており、強い衝撃や加圧、耐水、耐熱、耐寒のテストの厳しさを目の当たりにしました。ものづくりへの真摯な取り組みと、ひとつひとつの完成品に対する信念が感じられる貴重な機会となりました。

この山形カシオへと向かうまでの道すがらも、移動中は広大な面積を持つ田畑が多く見られ、自然に恵まれながらも、必要な部分では人の手でしっかりと手入れされている、豊かな景色を楽しむことができました。

山形の名産でもあるコシのある美味しいお蕎麦をいただき、「水や空気が美しい地域では工業製品の質も高い」という通説にも大いに納得できる旅路となりました。

まとめ

山形カシオは、カシオの製品づくりにおいて不可欠な存在です。高度な技術と職人技、自動化技術が融合した山形カシオのモノづくりは、世界中で高い評価を受けています。時計、部品、その他の電子機器など、幅広い分野で高品質な製品を提供することで、カシオブランドの信頼性を支え続けています。今後も山形カシオは、革新と伝統を両立させながら、さらに進化していくことでしょう。

この記事の監修

腕時計販売店 HARADA
腕時計販売店 HARADA
時計は単なる時間を知るためのツールではなく、個性やスタイルを表現する大切なアイテムであるという信念のもと、ハラダではお客様一人ひとりのライフスタイルに合った時計を提案し、長く愛用できる商品選びをサポートしています。

当ブログでは、最新の製品レビュー、メンテナンスのコツ、時計に関するトリビアなど、腕時計に関する多岐にわたる情報を提供しています。

腕時計に関する質問や相談がある場合には、いつでも気軽にお問い合わせくださいませ。
NO IMAGE