【グランドセイコー】卓越した品質を叶える4つの工房 - 高級時計 正規販売店 ハラダHQオンラインショップ

【グランドセイコー】卓越した品質を叶える4つの工房

雫石のスタジオ

国産最高峰の腕時計ブランドのひとつ、グランドセイコーは、その精密さと品質で世界的な評価を獲得しています。その背後には、卓越した技術と腕時計つくりの伝統の融合、そして、実用性を重んじるデザインへの追求があります。これを支えているのが、信州 時の匠工房、グランドセイコースタジオ雫石、グランドセイコーサービススタジオ、マイクロアーティスト工房という4つの拠点です。

当記事では、グランドセイコーの時計づくりの要と言える、これらの施設について解説いたします。

国産腕時計の最高峰、グランドセイコー

グランドセイコーは、日本らしいものづくりと、世界基準の品質を誇る国産腕時計ブランドです。元々はセイコーのフラッグシップラインでしたが、世界を見据えた展開に向けて2017年に独立。現在まで、腕時計の設計から組み立てまでを自社で行うマニファクチュールを続けています。

SLGH005のダイアル

近年では、毎年ジュネーブで行われる新作発表会「ウォッチズ&ワンダーズ」に唯一の国産ブランドとして参加するなど、高級腕時計としての確固たる地位を確立しています。

そんなグランドセイコーのコレクションは、王道的なヘリテージコレクションから、機能性に長けたスポーツコレクションまで数多くラインナップされています。また、ムーブメントについても、機械式とクォーツ式だけでなく、第3のムーブメントであるスプリングドライブを採用しています。

SBGA481のリストショット

タイムレスなデザイン性に、革新性を誇る3つのムーブメントを備えるグランドセイコーのコレクションは、日本人らしいものづくりを象徴する存在のひとつと言えるでしょう。ブランド哲学は「NATURE OF TIME」であり、ありのままに進む「時」の本質が、日本独自の美意識や精神性によってコレクションに反映されています。

グランドセイコーの品質を支える4つの拠点

グランドセイコーは現在、岩手県にある「グランドセイコースタジオ 雫石」に加え、長野県に位置する「信州 時の匠工房」と「マイクロアーティスト工房」を生産拠点としています。また、その修理やオーバーホールといったアフターサービスは、東京にある「グランドセイコーサービススタジオ」で行われています。

グランドセイコースタジオの職人たち

これらの拠点はグランドセイコーの品質の要です。それぞれには技能競技大会で金賞を獲得した熟練の時計師、技能士たちが在籍しており、世界の人々に愛され親しまれるコレクションの制作が行われています。

ここでは、それぞれの工房で行われている代表的な製造工程をご紹介いたします。また、実際に現地を訪れた当店スタッフの所感についても合わせてまとめております。

グランドセイコースタジオ 雫石

雫石工房のフロント写真

グランドセイコースタジオ雫石は、岩手県の雫石町に位置する製造拠点です。高まる機械式時計の需要に合わせて、グランドセイコーの誕生60周年である2020年に設立されました。ここでは、機械式モデル「9Sメカニカル」の組み立ておよび精度調整が行われており、高度に自動化されたシステムによって、アナログクォーツウォッチのムーブメントも製造されています。

また近年では、微細加工技術MEMSや、NC旋盤といった先端技術も導入されており、より高度な腕時計製造が可能となりました。

グランドセイコースタジオの職人

さらに、自然が広がる雫石町に位置するスタジオは、それ自体も見応えのある建造物となっています。建築は、日本を代表する建築家である隈研吾 氏が担当。ガラスを多用したスタジオ内には、ブランドの歴史や背景を鑑賞できる展示スペースや、有名な岩手山を望むラウンジも設置されています。周辺の自然環境との共生を目指す取り組みの数々も行っており、まさに、ブランド哲学である「NATURE OF TIME」を体現する工房と言えるでしょう。

雫石のスタジオ

なお、この工房の運営は「セイコーインスツル」が行っており、かつて亀戸にあった第二精工舎の流れをくんでいます。

【グランドセイコースタジオ 雫石】ハラダスタッフ所感

現地に到着すると、工房の周りは東北特有の冷たく澄み切った空気が包んでおり、望む豊かな自然が時計作りに適した場所であることを実感させてくれました。

グランドセイコースタジオ

この工房では、組み立て、調整など、製品になる直前の作業をメインに行っており、品質の肝心要を担うかけがえのない拠点のひとつと言えます。工房内部には数十人が同時に作業するスペースがあり、ガラス張りで一般の方も見学できるようになっていました。品質に対するグランドセイコーの自信を感じられますね。

グランドセイコースタジオの廊下

隈 研吾氏が設計したスタジオは外観からして美しいの一言。建物だけでなく、スタジオを中心とする森、庭にあたる部分にビオトープがあったりと、「自然を守る。共存する。」という意思が伝わってくるようでした。

また、見学プログラムの一環として、白樺モデル「SLGH005」にも搭載されている「Cal.9SA5」の組み立て実演にも参加できました。

信州 時の匠工房

信州 時の匠工房

信州 時の匠工房は、長野県塩尻市に位置する生産拠点です。この工房で生まれた9Fクォーツは卓越した精度と独自性を備える革新的なムーブメントであり、その完成までには高度な製造過程が要求されます。この時の匠工房では、設計、開発、パーツの製造から組立調整まで一貫して行うマニファクチュールの生産体制を採っており、職人の手作業による組み立てを経て、9Fクォーツウォッチが完成します。

グランドセイコー SBGX265の正面

またこの工房では、独自ムーブメントであるスプリングドライブも製造されています。機械式とクォーツ式の良いところどりをしたようなこのムーブメントは、セイコーが20年以上の時を経て開発した象徴的な技術。誕生ののちに、5年もの月日を経てその性能が研ぎ澄まされ、2004年にグランドセイコー専用の9Rスプリングドライブとして完成しました。

高精度なメカニカルムーブメント「キャリバー9R86」
自動巻、クロノグラフ、GMTを兼ね備える「Cal.9R86」

さらに、グランドセイコーの象徴的な技術であるザラツ研磨は、他の工房と同様にこの工房でも施されています。職人の経験に基づく感覚だけを頼りに施されるザラツ研磨は、なめらかな鏡面をケース全体にもたらす技術です。「燦然と輝く時計」をコンセプトに持つグランドセイコーにとって、最早なくてはならない技術となりました。

ザラツ研磨

スプリングドライブやザラツ研磨をはじめ、その他時計製造に関する様々な技術研究も行われるこの工房は、グランドセイコー”らしさ”を体現する拠点のひとつと言えるでしょう。

なお、信州時の匠工房は、諏訪精工舎の流れを組むセイコーエプソンの塩尻事業所内にあります。諏訪精工舎は、時計業界に革命をもたらしたクォーツ式時計の誕生の地。現在、ここで9Rスプリングドライブと9Fクォーツが製造されているのは、歴史を感じられるポイントです。

【信州 時の匠工房】ハラダスタッフ所感

セイコーエプソン塩尻事業所内にある信州 時の匠工房は、クォーツ、スプリングドライブの製造から組み立てまで、全てを1箇所で担っている拠点。セイコーの中でも本当の意味でマニュファクチュールと言える場所です。多彩な文字盤や、ブルースチール針の製造も行われており、セイコーの技術が結集しているように感じました。セイコーのアートピースブランド「クレドール」の彫金も行われており、まさに「時の匠」と言ったところです。

また、見学時には、信頼性に定評のあるスプリングドライブムーブメント「Cal.9R65」の組み立て体験にも参加できました。

マイクロアーティスト工房

マイクロアーティスト工房では、グランドセイコーの最高峰コレクションである「マスターピースコレクション」が製造されています。信州 時の匠工房と同じセイコーエプソン塩尻事業所内に設置されているこの工房では、最高水準の技術を誇る技術者たちが、日々その技術を磨いています。

設立は2000年のこと。「先人たちが築いてきた高級腕時計の製造に関する技術技能を掘り起こし、研鑽、継承し世界に通用する日本製高級時計を創出する」という使命のもとに、技能五輪国際大会で金メダルを獲得したひとりの時計師によって立ち上げられました。

9R02
最高峰モデルにのみ搭載される手巻きスプリングドライブ「Cal.9R02」。約3.5日間のパワーリザーブを誇るその性能だけでなく、美しい装飾も魅力となっています。

ここで生まれるタイムピースの数々は、マスターピースの名に恥じないものばかりで、その美観や、腕時計としての性能には一点の妥協もみられません。現在ではCal.9R01とCal.9R02という2種の手巻きスプリングドライブが登場しており、これらはグランドセイコーが誇る時計製造技術の結晶と言えます。

【マイクロアーティスト工房】ハラダスタッフ所感

セイコーエプソン塩尻事業所では、スプリングドライブの開発を受け持った、マイクロアーティスト工房も見学できました。様々な見所がありましたが、特に印象的だったのは、在籍する開発者の方々が初代スプリングドライブウォッチを装着していたことです。自ら開発に携わった腕時計を装着するという喜びは、彼らにしか分からないのだろうと羨ましい気持ちになったものです。

グランドセイコーサービススタジオ(セイコータイムラボ)

グランドセイコーサービススタジオは、セイコータイムラボ株式会社が運営する工房のひとつです。セイコーブランドの腕時計の修理を行うセイコータイムラボの中でも、グランドセイコーに向けたアフターサービスを専門的に提供しています。

ここに在籍する8割以上の修理技能士は、国家資格である時計修理技能検定一級を取得しており、責任を持って一本のグランドセイコーに対応する体制が確立されています。また、設備も非常に充実しており、監督官庁が提示する10年を超える、長期間の部品保有期間が設けられています。グランドセイコーのような高級腕時計にとって、長年の使用に向けた修理体制が整っているのはこれ以上ない魅力となるでしょう。

アフターサービス

提供されるアフターサービスには、内装修理とオーバーホール、ライトポリッシュを兼ねる「コンプリートサービス」に、電池交換、外装、バンドの修理交換などが挙げられます。さらに、2021年からは新たに「外装リペアポリッシュサービス」と「バッテリープラスサービス」も追加され、より充実したサービスが提供されるようになりました。

特に、外装リペアポリッシュサービスは、レーザー溶接によるキズ埋めと研磨が行われ、通常の研磨では対応できなかった深いキズも消せる技術。もちろんこの際の研磨は左右のバランスを保ちながら行われるため、購入間もない頃の、高級腕時計本来の質感を蘇られせてくれるでしょう。

レーザー溶接によるキズ埋めと研磨

なお、アフターサービスを受け付けたグランドセイコーについては、修理に関する情報が一元管理されています。オンラインで問い合わせやサービス利用の依頼ができるため、的確かつ迅速にグランドセイコーのメンテナンスを利用できるでしょう。

【セイコータイムラボ】ハラダスタッフ所感

セイコーブランドの修理を一挙に引き受けている拠点であるセイコータイムラボ。グランドセイコーユーザーの皆様方はもとより、正規販売店にとっても非常に重要となる拠点です。

ここでは職人一人一人がプライドを持ち、顧客によって状態が異なる腕時計を一本一本対応しています。そこには、設計通りに組み上げられる新品の腕時計とはまた違った難しさがあるのでしょう。グランドセイコーを一生の相棒にするにあたり、非常に心強い職人集団であると感じました。

また、各スタッフが使用している顕微鏡の映像は全て録画されており、ベテランが行った修理工程を後輩が後で見返せるようになっています。徹底した組織化が見られる修理体制は、スタッフの育成、技術の継承、品質の平均化にも欠かせないものと言えるでしょう。

各工房を象徴するコレクションを紹介

それぞれの工房からは、その技術や近辺の自然をオマージュした象徴的なコレクションが登場しています。ここでは、グランドセイコースタジオを除く3つの工房を象徴するグランドセイコーについて、それぞれ紹介いたします。

グランドセイコースタジオ 雫石 9Sメカニカル 「SLGH013」

グランドセイコー SLGH013のリストショット

グランドセイコースタジオが位置する雫石町にほど近い、岩手山の雪解けをモチーフとした一本です。その文字盤は薄く青みがかっており、ランダムなパターンが透き通るような質感を見せています。ケース・ブレスレットには耐食性に優れ、独自の輝きを備えるエバーブリリアントスチールを採用しており、色褪せない輝きが高級感を演出しています。

ムーブメントには、Cal.9SA5を搭載します。これまでの9S系とは一線を画すハイスペック機であり、毎秒36000回のハイビートと約80時間のロングパワーリザーブを備えています。さらに、部品の微細加工技術を駆使したことで、スリムにまとまっているのも特徴。このムーブメント自体も、グランドセイコースタジオ 雫石の技術を象徴する存在と言えるでしょう。

9Sメカニカル 「SLGC001」

テンタグラフのリストショット

グランドセイコーで初めて登場した、機械式クロノグラフモデルです。ブランドカラーに染められたそのダイアルには、岩手山の岩肌をモチーフとしたパターンが彫り込まれています。これは個性を備えるだけでなく、針、インデックスとのギャップを生み出し、視認性を高めるのにも役立っています。雫石の自然表現と実用性を兼ねたダイアルと言えるでしょう。

搭載するムーブメントCal.9SC5は、上記のCal.9SA5をベースとしたクロノグラフムーブメントです。その特徴からテンタグラフと名付けられており、10振動の機械式クロノグラフウォッチとしては世界最長の約72時間のパワーリザーブを実現しています。

ブライトチタンケースや次世代のデザインコードを採用するなど、スポーツモデルとしての完成度が突き詰められており、セイコー・クロノグラフウォッチの長年の技術が結集した一本です。

信州 時の匠工房 9Rスプリングドライブ 「SBGA211」

SBGA211 Grand Seiko グランドセイコー 9Rスプリングドライブ

「雪白文字盤」と呼ばれる型打ち文字盤を備えた、グランドセイコーのロングセラーモデルです。その文字盤は、時の匠工房が位置する信州に降り積もる雪がモチーフ。繊細な凹凸を埋めないよう、白の塗料を使わずに純白に染められており、工房の技術力と表現力の高さが象徴されています。

ムーブメントには、スプリングドライブCal.9R65を搭載します。スプリングドライブはその独自の精度制御によって、滑るように針が進むスイープ運針を備えています。ブルースチールの針が、雪白文字盤の上を流れるように進む様子は、なんとも情緒にあふれています。

9Fクォーツ 「SBGP001」

グランドセイコー SBGP001のリストショット

王道的なグランドセイコーのデザインに、シルバーのダイアルとブルースティールの秒針を合わせたクォーツモデルです。そのダイアルには絹のように細やかな放射パターンがあしらわれており、光の反射によって豊かな表情を見せています。

この文字盤は「厚銀放射ダイアル」と呼ばれるものです。特別な手法で銀メッキに繊細な模様が描かれており、かつてシルクの一大生産地であった信州へのリスペクトが感じられるダイアルとなっています。

もちろん、「セイコースタイル」を現代解釈したそのデザイン性も魅力です。ベゼルとケースは歪みのなく磨き上げられており、筋目と鏡面仕上げの使い分けがそれぞれを際立たせています。エントリーモデルにもおすすめできる一本と言えるでしょう。

マイクロアーティスト工房 9Rスプリングドライブ 「SBGZ003」

スプリングドライブの誕生20周年を記念したモデルです。雪面のような白文字盤に、プラチナ製ケース、14Kホワイトゴールド製の針・インデックスが組み合わされており、マスターコレクションらしい堂々たる仕上がりを見せています。全体の造形は日本の自然界がモチーフで、その中で音もなく滑らかに進む秒針が特別感を強調しています。

注目は、マイクロアーティスト工房が手がけたムーブメント「Cal.9R02」です。デュアル・スプリング・バレルと、トルク・リターン・システムとを融合させた新機構により、約84時間のパワーリザーブを実現しています。また、手巻き式の採用によってローターが無いため、工房の職人が施した美しい装飾を裏ぶたから堪能することができます。

ブランドロゴの「GS」やスプリングドライブロゴ、分目盛り、6時位置のSDマークについては、文字盤に掘り込まれており、雪に光が反射してきらりと輝く瞬間を表現しています。なお、SDマークは「Special Dial」の意味で、 金無垢のインデックスを採用した特別なダイアルにのみ刻まれます。

まとめ

当記事では、グランドセイコーの品質を支える4つの拠点について紹介いたしました。それぞれの工房には優れた技巧を誇る職人が多数在籍しており、グランドセイコーらしいウォッチメイキングを支えています。ここでご紹介したモデルは、それぞれの工房の技術力が反映されたものとなっています。ぜひ一本手にとっていただき、工房の特色や魅力を体感いただけると幸いです。

この記事の監修

グランドセイコー担当 藤本
グランドセイコー担当 藤本
資格:日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
担当ブランド:Grand Seiko、NORQAIN

腕時計販売店ハラダのオンライン担当。
腕時計の撮影、オンライン上でのマーケティング全般を担当。

最新のトレンドからクラシックなモデルまで、幅広い腕時計の情報を提供し、特に日本の腕時計ブランドであるグランドセイコーの魅力を発信することに注力。グランドセイコーの精密な技術と美しいデザインについて詳しく紹介し、時計の選び方や魅力を伝える事に生きがいを感じている。
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