高級ブランドの時計を好む方なら、「これ以上の時計は見つからない」と思えるような上がり時計について考えたことがあるのではないでしょうか。
本記事では、上がり時計にふさわしい時計はどのように選んだらよいのかを解説します。上がり時計におすすめの4本を、ブランドの歴史や商品の魅力とともに紹介するので、上がり時計を選ぶ参考にしてください。
最高の1本を選びたい「上がり時計」
「上がり時計」とは、今後買い替えることがない人生最後に選ぶ時計のことです。30代・40代と落ち着いた年齢になった頃に、一生の相棒とも思える1本に出会う方も多くいます。
上がり時計を選ぶ基準は人によってさまざまです。例えば以下のような基準で選ぶ場合があります。
・将来子どもに受け渡し、長く使い続けられるような機械式時計を選ぶ
・一生の相棒にふさわしい高級感を持つ金無垢の時計を選ぶ
・憧れのブランドから選ぶ
・国産や舶来といった製造地にこだわって選ぶ
上がり時計に望む基準が明確になると、ブランドやコレクションを絞り込みやすくなるでしょう。
グランドセイコー SLGH013
ここからは、上がり時計としておすすめできるモデルを紹介します。上がり時計を探している方にまずおすすめしたいのが、グランドセイコーのヘリテージコレクションからリリースされている「SLGH013」です。
グランドセイコーは、日本が世界に誇る高級腕時計ブランドです。SLGH013は、職人の高い技術力に裏打ちされた精度の高さと、日本の自然を感じさせるデザインが特徴の機械式時計です。
グランドセイコーのアトリエから眺める岩手山の雪解けをイメージして、SLGH013はデザインされました。薄く青みがかった文字盤は氷を連想させ、光の角度によって見せるさまざまな表情が魅力です。
また、SLGH013は、ケースとブレスレットの素材に「エバーブリリアントスチール」を採用したグランドセイコー初のモデルです。エバーブリリアントスチールは耐食性が高く、汗や湿気による金属サビを抑えてくれるため、長年の使用に向いています。
さらに、SLGH013に搭載されているムーブメント「キャリバー9SA5」は、安定した高精度を誇り、そのパワーリザーブも約80時間と高水準に仕上がっています。シースルーバック仕様の裏ぶたから、ムーブメントの動きを楽しめる点も魅力となるでしょう。
グランドセイコーの歴史
グランドセイコーは、セイコーのラグジュアリーラインとして1960年に誕生しました。スイス時計が高級時計市場を席巻していた当時に、世界に挑戦する国産最高級の腕時計を目指して開発された時計が初代「グランドセイコー」でした。
1988年にはグランドセイコー初のクオーツ時計「95GS」を発表、2004年には独自のスプリングドライブムーブメント「キャリバー9R65」を搭載したモデルを発表するなど躍進が続きます。
2017年にはセイコーから独立。現在は機械式・クオーツ式・スプリングドライブという3種類の駆動方式を搭載する豊富なモデルを展開し、国内外問わない幅広い層に支持されています。
グランドセイコーのコレクション
グランドセイコーの時計は、以下のコレクションに分けられています。
・エボリューション9 コレクション
従来のセイコーのデザインスタイルをより洗練した、ニュースタンダードデザインを採用するコレクション。上位モデルが揃う。
・ヘリテージコレクション
グランドセイコーの王道ともいえるスタンダードなデザインと実用性を兼ね備えるコレクション。
・スポーツコレクション
クロノグラフやGMTモデル、ダイバーズウォッチなど、スポーツ、プロフェッショナル向けの機能を備えたコレクション。
・エレガンスコレクション
優美なスタイルと華やかさ、グランドセイコーならではのクラシックデザインを併せ持つコレクション。
オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル 310.60.42.50.99.002
オメガは日本でも多くの人に知られている高級時計ブランドです。ブランド名は「究極」の意味を込めて、ギリシャ語のアルファベットの最終文字「Ω(オメガ)」から名付けられました。
上がり時計におすすめしたいのは、手巻き式の機械式時計「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル 310.60.42.50.99.002」です。
アポロ11号が月面着陸した際にパイロットが着用したことでよく知られている、第4世代のスピードマスター プロフェッショナルのデザイン性を色濃く継承したモデルです。
ベゼルの90の上にドットを配した「ドットオーバー90」やステップダイアルなど、第4世代のスピードマスターの特徴的なデザインを引き継いでおり、往年のオメガファンからも高く評価されているモデルです。
マスタークロノメーター認定を取得しており、高い精度はもちろんのこと、機械式時計にとっての天敵である磁力に対する圧倒的な耐性を備えています。また、コーアクシャルの採用により、通常よりメンテナンスの頻度が抑えられている点も魅力的です。
オメガの歴史
オメガの始まりは、時計職人ルイ・ブランがスイスのラ・ショード・フォンに立ち上げた小さな工房です。精度を追求し続けたルイの時計は、瞬く間にスイスからヨーロッパ中へ広まります。
その後工房を引き継いだ息子2人によって、優れた量産型キャリバーが生み出されます。1894年に生み出された新たなキャリバーの誕生をもって、「オメガ」という会社が生まれました。
高い技術と精度を認められたオメガは、1932年ロサンゼルスオリンピックでは全競技のタイムキーパーを務めるなど、多くのスポーツイベントに関わるようになります。
また1965年にNASAの公式装備品に「スピードマスター」が採用され、世界初の月面着陸に携行されると、オメガの名はさらに広まりました。
オメガの地位をさらに強固なものにしたのは、独自の脱進機「コーアクシャル」の採用でしょう。コーアクシャルを採用したムーブメントは非常にメンテナンス性に優れており、1999年に「デ・ヴィル」に搭載されて話題となった以降、オメガのスタンダードとなっています。
オメガのコレクション
オメガのコレクションには歴史に登場するモデルが数多くあります。
・シーマスター
オメガ創業100周年を記念して作られたダイバーズライン。映画「007」に登場したことでも知られる。
・スピードマスター
1957年にカーレース用の腕時計として誕生したクロノグラフシリーズ。「ムーンウォッチ」をはじめ、豊富なバリエーションが揃う。
・コンステレーション
ドレッシーなスタンダードライン。スイスで行われた天文台コンクールで優秀な成績を収めたことで星がそのアイコンとなっている。
・デ・ヴィル
シーマスターのモデルとして登場し、後にオメガのドレスラインとして独立したコレクション。レディースモデルも多数用意される。
デザインの好みから選ぶのも記憶に残るイベントから選ぶのも、時計愛好家にとっての楽しみになるでしょう。
フランク ミュラー グランド カーベックス CX36SCATSTGJ ACAC BLUE
フランク ミュラーは、天才時計師と名高いフランク・ミュラーがスイスに創業したブランドです。その独特のフォルムとデザインが魅力で、年齢や性別を問わず多くの方に愛されています。
中でも、フランク ミュラーの自動巻き時計「グランドカーベックス」は、上がり時計におすすめの1本です。
グランド カーベックスは2023年、ブランドの象徴であるトノウ カーベックスのデザインを引き継ぎつつ、現代的なアレンジを加えて新たに誕生しました。
フランク ミュラーならではの三次元曲線による魅力を最大限に引き出すために、ケースの構成から見直されています。また、ケースにベゼルを内包させる「インナー カーベックス」により、異なる素材を組み合わせたバイカラーのケーシングを楽しめます。
文字盤は、サファイアガラスの風防をストラップ位置まで大きくして視認性を高めています。この時計のために、フランクミュラーは文字盤のギヨウシェ彫りを新たに開発。中心から伸びる緩やかな曲線の組み合わせはひねりを生み出し、常に回転しているような躍動感を与えています。
フランク ミュラーの歴史
フランク ミュラーは、1992年にスイス・ジュネーブで創業した時計ブランドです。
創業者のフランク・ミュラーは幼少期より時計作りに目覚め、時計学校で本来は3年かかる単位を1年で習得し、後に天才時計師と呼ばれる存在になりました。
「トノウカーベックス」がフランク ミュラーの1作目として発表されると、三次元曲線を用いたケースの美しさと斬新さが大きな話題を集めます。
その後も複雑な機構を持つ数々の時計を発表し、設立からわずかな期間で老舗時計ブランドと肩を並べるブランドへと成長を遂げました。
フランク ミュラーのコレクション
フランク ミュラーには豊富なコレクションがあります。中でも有名な4つのコレクションを紹介します。
・ヴァンガード
アール・デコ様式の曲線が美しく、上質でエレガンスを感じさせるスポーツコレクション。
・トノウカーベックス
フランク・ミュラーが自らケースを製作し、ブランドの象徴となったコレクション。三次元曲線で描かれたフォルムと、文字盤のビザン数字が特徴。
・ロングアイランド
手首に沿って湾曲した長方形のケースが印象的なコレクション。文字盤いっぱいに広がるビザン数字のインデックスが目を引く。
・カサブランカ
フランク ミュラーで初めて耐久性のあるステンレススチールを採用したコレクション。インデックスに夜光塗料を採用し、視認性も高めている。
国産ブランドにこだわりがある人におすすめ!ミナセ セブンウィンドウズ VM15-M01NBL-SSB
ミナセは時計の設計から製作までを担う、日本の総合時計メーカーです。秋田県皆瀬の工房では、「100年後も語られる日本の時計」を目指した時計作りが行われています。2005年に時計作りを始めたばかりのブランドですが、国産ブランドのまだ見ぬ魅力を探求したい方はぜひこちらも候補に入れてみてください。
おすすめモデルは、機械式時計「セブンウィンドウズ VM15-M01NBL-SSB」です。名前の通り、ケースの上下と側面にはサファイアガラスの窓が7個あり、内部の構造を360°あらゆる角度から眺められるようになっています。
この他にも、ミナセの職人の技術が感じられる以下の特徴が魅力です。
・ケースインケース構造:
ケースの中にもう一つのケースが収まっているように構築された、ミナセ独自の2層構造。7つの窓から立体感や内部構造を楽しめる。
・ザラツ研磨:
ザラツ研磨は手作業の上熟練の技術が必要な研磨技術。ザラツ研磨をあらかじめ下地処理として行うことで、ケースやブレスレットに歪みのない表面仕上げを施すことができる。腕時計の外装を多く手がけてきたミナセの十八番と呼ぶべき技術。
・MORE構造:
日本の伝統工芸である組木細工から着想を得た、全ての部品を分解できる構造。メンテナンス性が高く、傷んだ部分だけ修正や交換ができる。
ミナセの歴史
ミナセを生み出したのは、切削工具メーカーである協和精工株式会社です。
協和精工はドリル製造や金属切削の技術力を時計メーカーに認められ、時計製造に必要な段付きドリルを開発します。そして、時計製造の工具だけでなく、自ら時計のブレスレットやケースの製造も手がけるようになりました。
そんな時計メーカーの高度な要望に応えるために磨いた技術を生かし、2005年に立ち上げた自社ブランドが「ミナセ」です。その後2011年に完成した「Hizシリーズ」では難度の高い複雑な造形に挑戦し、日本人の物作りの精神を世界に広めました。
ミナセのコレクション
ミナセの主なコレクションには、以下の4つが挙げられます。
・SEVEN WINDOWS(セブンウィンドウズ)
ケースの上下と側面に7個の窓が配されたフラグシップモデル。細部にまで施されたザラツ加工の美しさと、ユニークな内部構造を堪能できる。
・DIVIDO(ディヴァイド)
「分割」の意味を持つ名前のとおり、ケースとラグを上下のパーツに分けた立体感あるデザインが特徴。スタンダードなラウンドケースに個性が溢れている。
・HORIZO(ホライゾン)
地平線をテーマにしており、大きな弧を描くサファイアガラスで文字盤が覆われたモデル。日本刀のようなエッジも各所で見られる。
・FIVE WINDOWS(ファイブウィンドウズ)
ケースの上下と側面に5個の窓が配されたモデル。
それぞれに違った魅力があるので、好みに合わせてコレクションを選んでみてください。
最後まで愛せる1本を上がり時計に
高級ブランドの腕時計を選ぶ方の間で、今後買い替えることのない最後に選ぶ腕時計は「上がり時計」と呼ばれます。
人によって好みが違うため、上がり時計に選ぶ時計もさまざまです。「子どもに受け継ぎたい」「流行に左右されずに使い続けたい」など、目的に合わせて特別な1本を選びましょう。
本記事では多くのブランドの中から、老舗ブランドや新進気鋭のブランド、国産やスイス製など、上がり時計におすすめの時計を紹介しました。取り上げたモデルも参考に、「一生この時計を使いたい」と思える愛せる1本を探してみてはいかがでしょうか。
今回紹介したモデルに限らず、腕時計の購入を考えている方は、ぜひ創業90年の高級時計正規販売店HARADAのご利用をご検討ください。初めて高級腕時計を購入する際や、一風変わった時計を探している際にも、お気軽にお問い合わせください。
この記事の監修
- 時計は単なる時間を知るためのツールではなく、個性やスタイルを表現する大切なアイテムであるという信念のもと、ハラダではお客様一人ひとりのライフスタイルに合った時計を提案し、長く愛用できる商品選びをサポートしています。
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