
1904年にスイス・ヘルシュタインで創業したオリスは、120年にわたり誠実な腕時計づくりを貫いてきた独立系時計ブランドです。グループに属さない自由な体制を維持し、制約や中間コストに縛られず、品質を保ちながらも堅実な価格を実現しています。
また近年では、モダンで洗練されたカラーリングやスタイリッシュなケースデザインを取り入れ、より幅広い世代に支持されるブランドへと刷新されました。本記事では、そんなオリスの歴史や特徴、代表的なコレクションについて詳しく解説していきましょう。
オリスの歴史
1904年、オリスはスイスのドイツ語圏ヘルシュタインで、ポール・カッティンとジョージ・クリスチャンによって創業されました。社名は町を流れる小川の名に由来し、自然と共に歩むブランド精神を象徴しています。

創業から数十年で工場を複数構えるメーカーへと成長したオリスですが、1938年には象徴的な「ビッグクラウン」を発表。手袋を着けたまま操作できる大きなリューズとポインターデイト機能を持つ本作は、現在まで続くロングセラーモデルとなります。

そして1960年代には、“世界10大時計メーカー”の一つに数えられるまでに発展。その間には、スイス時計法の撤廃など時計界全体の発展にも貢献しました。
1970年代にはクォーツショックが到来し、多くのメーカーが姿を消す中、オリスも一時的にASUAG傘下となりましたが、1982年に経営陣買収を果たし独立を回復。機械式時計にこだわる姿勢で再び成功を掴みます。

現在オリスは大手資本に属さない独立系メーカーとして、自由な発想で時計づくりを続けています。効率よりも情熱を、流行よりも本質を重んじる姿勢。それこそが、100年以上にわたり人々を魅了し続けるオリスの真髄です。
独立系ブランドの誇りと進化──オリスが歩む伝統と挑戦
オリスは、スイスの伝統を継承しながらも、そのアイデンティティを積み上げてきたブランドです。ここからは、オリスの特筆すべき特徴についてご紹介します。
機能美とコストパフォーマンスに優れたスイスの名門
オリスはスイス発祥でありながら、ドイツ語圏のヘルシュタインに根ざし、合理性と実用性を重んじるドイツ的なものづくりを受け継いできました。創業以来「良心的で誠実な時計づくり」を掲げ、確かな精度と堅実な品質を追求してきたブランドです。

なかでもパイロットウォッチやダイバーズウォッチといったプロ仕様モデルは、オリスの象徴的存在。高い視認性や操作性、そして伝統的な造形を持つタイムレスなデザインは、今もなお多くの時計愛好家を魅了しています。
またオリスは、スイスメイドウォッチの中でも優れた価格設定で知られ、手の届く範囲で本格的な機械式時計の魅力を味わえるブランドです。独立系企業であることから、ブランド間の調整や中間コストに縛られず、開発から販売までを自社で効率的に運営。品質を損なうことなくコストを抑えています。

さらに2020年には自社製自動巻きキャリバー400を発表し、約5日間のパワーリザーブと高い耐磁性、約10年間という保証期間を実現。技術面でも確かな進化を遂げました。
環境と共に歩むサステナブルブランドとしての姿勢
オリスは単なる時計メーカーにとどまらず、環境保全に深く関わるブランドとしても知られています。

2010年のグレートバリアリーフプロジェクトを皮切りに、海洋やサンゴ礁の保護活動を継続的に実施。またワッデン海連邦事務局(CWSS)への支援を通じて、ユネスコ世界自然遺産であるワッデン海の保全にも貢献しています。
さらに限定モデルの売上の一部を寄付する取り組みや、海洋プラスチック問題に挑む団体の支援なども積極的に展開。2021年にはクライメイト・ニュートラル認証を取得し、環境負荷の削減にも注力しているのです。
オリスは確かな行動力で、サステナブルなブランドを体現しています。
新たな理念「メイク ピープル スマイル」に込めた想い

創業120年を迎えたオリスは、2025年にブランドコンセプトを刷新しました。新たなブランドパーパスとして掲げられた「メイク ピープル スマイル(人々を笑顔にする)」という言葉は、時計を通して日常に喜びをもたらすというオリスの原点を再確認するものです。
その精神を体現するように、ブランドカラーにはヘルシュタインの自然を象徴するピーチローズとグリーンを採用。温もりと親しみ、そして自然との調和を表現しています。

デザイン刷新によって、オリスは感性豊かで多彩なカラーバリエーションを展開し、より一層さまざまな人々の個性に寄り添うブランドとなりました。伝統を礎にしながらも、独立系ブランドとして自由に成長を続ける姿勢こそが、オリスの最大の魅力といえるでしょう。
オリスの主力コレクションを解説
こちらでは、オリスの主力コレクションと代表的な腕時計についてご紹介します。
ビッグクラウンポインターデイト
ビッグクラウン ポインターデイトは、1938年に誕生したオリスの象徴的コレクションです。パイロットが手袋を着けたままでも操作しやすいように設計された大きなリューズ(ビッグクラウン)を備え、優れた視認性と操作性を実現しています。
本作の代表的な仕様が、針で日付を指し示す独自のポインターデイト機構。センターの長い日付針がダイアル外周のスケールを指す構造で、クラシカルで実用的なデザインとして高く評価されています。

加えてアラビア数字インデックスや夜光付き針など、伝統的なパイロットウォッチの意匠を継承しながら、現行モデルでは耐傷性に優れたサファイアガラスや高精度の自動巻きムーブメントを搭載。さらに多彩なケースサイズとカラーバリエーションを展開し、クラシックにもモダンにも映える万能な腕時計です。
歴史と機能美を融合させたビッグクラウン ポインターデイトは、オリスの精神を象徴する不朽の名作といえるでしょう。
『01 403 7799 4068-07 8 20 06』

本作は、温かみのあるテラコッタカラーのダイアルと愛らしいアラビア数字インデックスが印象的なモデルです。外周に日付を示すポインターデイト機構を備え、クラシカルな佇まいの中に上品な存在感を漂わせています。
内部には自社製キャリバー403を搭載し、約5日間のパワーリザーブと高い耐磁性を実現。さらに50m防水を備え、日常生活にも安心して使用可能です。
40mm径・厚さ12.3mmのほどよいサイズ感で、クラシックとモダンが見事に調和した腕時計といえます。
『01 754 7741 3167-07 5 20 58BR』

本作は、1938年に誕生した「ビッグクラウン ポインターデイト」の発表から80周年を記念して製作されたモデルです。
ブロンズケースとグリーンダイアルの組み合わせが温かみを感じさせ、経年変化による味わい深い表情を楽しめます。また愛らしいアラビア数字インデックスや鉄道のレールを思わせる目盛りが、クラシカルで洗練された雰囲気を演出しているのです。
さらにカーフレザーストラップを組み合わせ、落ち着きと上品さを両立しています。
内部には自動巻きキャリバー754を搭載し、28,800振動による高い精度と約38時間のパワーリザーブを備え、50m防水により普段使いにも安心です。クラシカルな造形とブロンズの温もりが融合した、大人のためのシックなタイムピースです。
アクイス

アクイスは、オリスを代表するダイバーズウォッチコレクションであり、高い防水性能と洗練されたデザイン性を兼ね備えたスポーツウォッチです。
プロ仕様を意識した300m以上の防水性能を備えながら、ビジネスシーンや日常でも自然に馴染む上品なスタイルが魅力となっています。堅牢なステンレススティールケースに、厚みのあるサファイアガラスと逆回転防止ベゼルを組み合わせ、信頼性と耐久性を両立。重厚でありながらも装着感に優れ、滑らかなフォルムが腕元に快適にフィットします。
幾度とないアップグレードの結果、近年ではカラーバリエーションも充実しており、モダンな日常への対応を可能としています。
『01 733 7787 4135-07 8 22 04PEB』

本作は、洗練されたブルーカラーが印象的なモデルです。メタリックな質感を持つサンレイ仕上げのダイアルは、光の角度で異なる輝きを演出し、奥行きを演出します。
針やインデックスは精巧に仕上げられ、高い視認性と美観を両立。ステンレススチール製ケースには深い溝を刻んだダークブルーのセラミックベゼルを備え、力強さと上質さを実現しています。
内部には自動巻きキャリバー733-1を搭載し、約41時間のパワーリザーブと28,800振動による安定した精度を確保。さらに300m防水を備え、日常からアクティブシーンまで幅広く活躍します。
プロパイロット
プロパイロットは、ビッグクラウンと並んで、オリスのパイロットウォッチを代表するコレクションです。パイロットのために設計された高い視認性と操作性、そして堅牢な構造が特徴で、航空機の計器類に着想を得た機能的なデザインと、確かな精度を誇るムーブメントにより、プロフェッショナルユースにも耐えうる実用性を備えています。

ダイアルはシンプルで大きく、太めの針や明瞭なアラビア数字インデックスを採用。コックピット内でも瞬時に時刻を確認できるよう設計されており、ベゼルには航空機のタービンを思わせるアイコニックな刻み装飾が施されています。
ケースはステンレススティールのほか、軽量なチタンモデルも展開。機能面ではデイト表示やGMT、アラームなど、優れた利便性を追求しているのです。
近年では、チタン素材とモダンなデザインを融合した「プロパイロット X」も登場。伝統的な航空時計の機能性を受け継ぎながら、洗練された造形と現代的な個性を兼ね備えた、新世代のパイロットウォッチとして人気を集めています。
『01 400 7778 7157-Set』
本作は、ディズニーの人気キャラクター「カーミット」とコラボレーションした特別モデルです。明るいグリーンのダイアルはカーミットを象徴するカラーで、ホワイトの細いインデックスが高い視認性を確保。毎月最初の日には、カレンダーにカーミットの顔が現れる遊び心ある仕掛けとなっています。

ベゼルには、航空機のタービンを思わせる装飾を採用。艶を抑えたマルチピースチタンケースは軽快で、鮮やかなダイアルカラーをより際立たせます。内部には自社製キャリバー400を搭載し、5日間のパワーリザーブと高耐磁性、高精度を実現するとともに、10年間の保証が適用されます。
独立系ブランドが示す、オリスの誠実な時計づくり

オリスは独立系スイスブランドとして、誠実なものづくりを貫いてきました。グループに属さない自由な立場を生かし、コストを抑えつつも品質に妥協しない時計づくりを続けています。
その姿勢は、プロフェッショナル仕様のパイロットウォッチやダイバーズウォッチに象徴される高い機能性、そしてクラシカルな造形に宿る美しさに表れています。
また近年では、環境保全活動やブランド刷新を通じて「人々を笑顔にする」という新たな理念を明確に打ち出しました。
時代が変わっても、良心と情熱をもって時計を生み出し続けるオリス。その姿勢こそ、オリスが長年にわたって愛用され続ける理由ではないでしょうか。
この記事の監修

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