ドイツのウォッチメーカー『Sinn(ジン)』の特徴とは?ブランドの魅力や代表シリーズを解説 - 高級時計 正規販売店 ハラダHQオンラインショップ

ドイツのウォッチメーカー『Sinn(ジン)』の特徴とは?ブランドの魅力や代表シリーズを解説

実用性に重きを置いたウォッチメイキングで、プロフェッショナルをはじめとする多くのユーザーから支持を得ている時計ブランド、 ジン(Sinn)。ドイツ発祥のジンは、その文化が大きく反映された質実剛健のコレクションが揃っており、長年愛用していく腕時計を選ぶ上でもおすすめしたいブランドです。

本記事ではそんなジンに焦点を当て、ブランドの特徴や、過酷な環境でも時間を表示し続けられる驚異のテクノロジーを紹介します。

Sinn(ジン)のブランド紹介について|タフな特殊時計を生み出すドイツブランドの歴史

認知性と機能性、そして極限状況でも抜群の精度を維持するーそう掲げるのが、ドイツのウォッチメーカーSinn(ジン)です。
日本語で「ジン特殊時計会社」の名前を持ち、窮地で活躍するプロユース時計のパイオニア的存在と認知されています。そのコレクションが持つ革新性と、高機能性、そして伝統的な職人技の融合は目を見張るものがあるでしょう。

ジンは、1961年にドイツ空軍パイロット兼飛行教官であったヘムルート・ジンにより設立されました。
戦闘機のコックピットクロックの製作をはじめ、当初よりツールウォッチの制作に注力しており、宇宙で自動巻きの腕時計が作動することを世界で初めて証明するなど、その技術力を徐々に高めていくことになります。

そして1994年には、スイスの名門ウォッチブランドのエンジニアも務めたローター・シュミットがジン社を継承。優れた耐磁性能を実装したモデル244の誕生を皮切りに、実用性に向けた独自のテクノロジーを持つコレクションを開発していくことになります。そして現在でも、プロのニーズに応える実用時計の追及は続いており、一線で活躍するプロフェッショナルたちの注目を集め続けているのです。

プロのニーズに応える豊富なコレクション

ジンのコレクションは、用途やデザインによって以下の5つのカテゴリに分類されます。それぞれの特徴と代表モデルを以下に紹介します。

インストゥルメントウォッチ(Instrument Watches)

コックピットウォッチから始まったジンのウォッチメイキングを象徴する、パイロットウォッチコレクションです。全てのモデルが高い視認性と耐久性を備えている一方で、シンプルなデザイン性を持つ、汎用モデルも多く登場しているため、ジンのエントリーモデルに選ぶ上でもおすすめでしょう。

代表的なシリーズには、コックピットウォッチさながらの表情を持つ「856シリーズ」や、パイロットウォッチの基本に則った「104シリーズ」、万能ウォッチである「556シリーズ」などが挙げられます。

インストゥルメントクロノグラフ(Instrument Chronographs)

クロノグラフや計算尺を搭載し、航空する上で必要な計時性能が高められたパイロットウォッチコレクションです。堅牢性、機能性をそのままに、よりプロユースに向けた仕様を備えており、ジンの高い信頼性を象徴する存在と言えます。実用と伝統を重んじた、精悍なその顔立ちからは、“ホンモノ”を手にするロマンを実感しやすいでしょう。

代表的なモデルには、モダンとヘリテージが融合した表情を持つ「156シリーズ」や、伝統を色濃く引き継ぐ「103シリーズ」、計算尺を採用し、ツールとしての側面が強い「903シリーズ」などが挙げられます。

ダイバーズウォッチ(Diver’s Watches)

ジンは世界で始めてヨーロッパのダイバー機器規格に準拠した時計を製造したという実績があり、そのダイバーズウォッチは、耐圧性、防水性、機能性、温度による時計の曇りに対する耐性が船級・認証機関DNVによって認証されています。300mから5000mまでの防水性を持つモデルが幅広くラインナップされており、カジュアルな機能性のものから、超本格派ツールモデルまでが楽しめます。

フランクフルト・ファイナンシャルウォッチ(Frankfurt Financial Watches)

ドイツのフランクフルト経済振興協会から依頼を受けて制作された、エレガントなコレクションです。『フランクフルトを代表する時計』がそのコンセプトであり、ビジネスやファイナンスシーンを意識した、高級感あるデザインが特徴。中でも、仕上げが巧みに使い分けわれた多列ブレスレットは、コレクションを象徴する要素と言えます。

また、クロノグラフ機能やGMT機能を初めとする、ジンらしい実用機能もしっかりと備えています。

その他:クラシックウォッチ、レディースウォッチ

ジンでは、クラシカルなスタイルを強調した2針モデルや、女性向けモデルも登場しています。プロフェッショナルなシーンだけではなく、現代の幅広いライフスタイルをカバーしている点も、ブランドの魅力のひとつとなるでしょう。

Sinnウォッチの特徴|窮地を救う高い視認性

ジンでは、他社マニファクチュールで製造された汎用ムーブメントを自社改良して搭載することで、高機能性と良好なコストパフォーマンスの両立を実現しています。

その代表的なものが、「SZ」と呼ばれるムーブメントです。バルジューをはじめとする精密な汎用ムーブメントをベースとし、視認性や機能性に重きを置いた改良を加えたことで、ツールウォッチとしての完成度が高められているのです。

現在、このムーブメントは「SZ01」から「SZ06」までのナンバリングが登場しており、クロノグラフだけでなく、レギュレーターやムーンフェイズといった多彩な機能も採用されています。

特殊時計を象徴する、ジン独自の8つのテクノロジー

創業以来、高品質の機械式時計の制作に注力してきたジンですが、エンジニアのローター・シュミットに経営権が譲渡されてからは、より高性能な実用時計のためのテクノロジーの開発が推し進められてきました。そうして生まれた、“ジン・テクノロジー”と呼ばれる独自の技術の数々は、あらゆる過酷な環境であっても常に時間を表示し続けることを可能としています。そして、それらが反映された腕時計は、パイロット、ダイバー、そしてGSG9(ドイツ連邦警察局特殊部隊)など、各分野のプロフェッショナルから支持を獲得しているのです。

ジン・テクノロジーその1|5000mという防水性を可能とするHYDROテクノロジー

風防内がオイルで満たされているため、針やインデックスが2次元的に見えるのが特徴。

ジンがダイバーズウォッチとして高い評価を得る由縁は、5000mにものぼる高い防水性能にあります。

防水性のカギを握るのは耐圧性能です。海の底では外気圧と内部気圧に差が生じることで、時計のケースが割れてしまう危険性があります。ジンではこれの対策として、ケース内を特殊オイルで満たすことで、ケースに厚みを与えることなく高い防水性能を勝ち得ているのです。

HYDRO(ハイドロ)」と呼ばれるこのテクノロジーは、水中での光の反射による視認性の低下を防ぐことも可能であり、ダイバーズウォッチとしての完成度を高めるものとなっています。

ジン・テクノロジーその2|パーツの円滑さを保つArドライテクノロジー

腕時計の内部に湿気が侵入すると、潤滑オイルの劣化が早まり、腕時計の故障や不具合にもつながりかねません。ジンのプロフェッショナルウォッチでは、その対策として、除湿のための「Arドライテクノロジー」を採用しています。

このテクノロジーは、ドライカプセル・EDRパッキン・プロテクトガスという、3つの技術で構成されており、時計の精度を揺るがす湿気や水蒸気の発生による潤滑オイルの劣化や、腐食を防止することができます。

そして、その要となるドライカプセルには、ケース内の湿気を除去する特殊乾燥剤が入っています。湿気の吸収によって青く変色することで、メンテナンスのタイミングも確認できるものとなっています。

ジン・テクノロジーその3|特殊オイルによる精度維持

ジンのムーブメントの潤滑油には、独自の特殊オイルが使用されています。

通常の潤滑オイルでは-25度に達すると粘度が高くなり精度に影響が出ますが、この特殊オイルは-66度から228度まで影響がでないものとなっています。

さらにジンでは、これらの特殊オイルを使用した腕時計に対し、-45度と80度の温度下での検品を行うという、厳密な品質管理が行われています。

ジン・テクノロジーその4|磁気を防ぐマグネチック・フィールド・プロテクション

腕時計の天敵といえば「磁気」ですが、ジンでは独自技術の「マグネチック・フィールド・プロテクション」を導入することで、これをシャットアウトしています。その耐磁性能は驚きの80000A/mで、電子機器のありふれる日常生活においても役立つものとなっています。

また、従来の軟鋼性のインナーケースで覆う方式ではなく、軟鉄製のパーツでムーブメントを囲うことで、厚みを抑えつつ高い耐磁性を実現しています。

ジン・テクノロジーその5|デギメントとコーティングによる優れた堅牢性

物理的な衝撃から時計を守るのが、「デギメント」とコーティング技術を融合させたジン独自のテクノロジーです。素材そのものを硬化させる技術であるデギメントをベースに、PVDコーティングを組み合わせた「ブラック・ハード・コーティング」を採用するなどして、耐衝撃性と耐傷性が極めて高い水準に押し上げられているのです。

なお、このテクノロジーでは、着色層の剥がれもカバーされており、腕時計の質感も守られるのが特徴となっています。

ジン・テクノロジーその6|ムーブメントの精度維持を助けるディアパル

機械式時計に欠かせない、オーバーホールの延長を叶える技術、「ディアパル」もジンの腕時計の魅力です。ムーブメントにおいて、精度を保つ最も重要な部位であるガンギ車は、摩耗が激しく、腕時計自体のメンテナンス性を大きく左右するパーツとなっています。

ディアパルでは、このガンギ車に特殊な加工を施すことで、潤滑油無しに部品同士の摩擦の抑制を実現。
脱進機の精度を長期間にわたって保つことができ、オーバーホールの周期が3~5年に1度程度が適当なところ、約2倍の6〜10年ほどに1回までの延長を可能としています。

ジン・テクノロジーその7|断固として外れない構造の回転ベゼル

計測に不可欠な回転式ベゼルですが、ジンでは“はめ込み式”ではなく、独自の特殊結合方式を取り入れることで、万が一にも外れることのない構造となっています。

さらにダイバーズウォッチでは、誤操作による回転を防ぐため、ベゼルの2か所を押し下げるまで回転しない仕組みが取られており、不意な衝撃が加わっても逆回転しないよう設計されています。

ジン・テクノロジーその8|電磁波を徹底遮断

ジンの腕時計の中でも、文字盤に「Q」マークがつけられたモデルには、クォーツムーブメントの電磁波を最小限に抑えるテクノロジーが活かされています。

これは、クォーツ時計のステップモーターから1秒周期で発せられる、微弱な電磁波をも懸念する人に向けて開発された技術であり、ムーブメントを特殊合金で覆うことで、電磁波の漏れ出しが阻止されているのです。

厳しい耐久試験

ジンは腕時計の信頼性を確固たるものとするため、より現実的な条件下での耐久テストを実施しています。パイロットウォッチとダイバーズウォッチが晒されることになる、極めて過酷な環境を再現することで、腕時計が持つ優れた機能性、堅牢性を実証しているのです。この姿勢は実用性を重んじる特殊時計の完成に不可欠なものであり、今後も貫かれるジン特殊時計のアイデンティティと言えるでしょう。

まとめ|Sinnの高品質なドイツ製特殊時計をぜひその手に

雲の上や海の中、特殊作戦や緊急医療における現場でさえも活躍するジンの腕時計。無駄を削ぎ落したシンプルなデザイン性に加え、視認性と機能性を高い水準で備えた腕時計は、実用性を重んじる人にとって一見の価値ありです。

プロフェッショナルの使用に耐えうるツール性や、数あるテクノロジーにロマンを感じる方、時間を見るという腕時計の本懐にこだわる方に、ぜひ選んでいただきたいコレクションです。

この記事の監修

腕時計販売店 HARADA
腕時計販売店 HARADA
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