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【シチズン時計マニュファクチャリング株式会社】シチズンの腕時計はいかにして生まれるのか

シチズン殿岡工場の写真

技術派の国産腕時計ブランドとして、時計業界の最先端に挑み続けるシチズン。あらゆる需要に応えられるその多彩なコレクションは、国内外を問わず、高い支持を受けています。

そんなシチズンの腕時計は、どのようにして生まれているのかご存知でしょうか。当記事では、「シチズン時計マニュファクチャリング株式会社」が主体になって行っている、シチズンの腕時計の製造過程について詳しく解説いたします。

永く、広く市民に愛されるように「シチズン」

シチズンは腕時計の部品から、完成時計の組み立てまで自社で一貫製造することができる「マニュファクチュール」として、1918年の創業以来、技術を培ってきた国産ブランドです。そして、この一貫生産体制を基盤として、腕時計の本質と新たな可能性を追い求めてきました。

シチズンが製造した時計は、1924年に登場した懐中時計が初とされています。この時計は、「永く広く市民に愛されるように」という思いを込めて「CITIZEN」と名付けられました。

以来、会社名も「シチズン時計株式会社」へと変更。2024年で初めて「CITIZEN」の名を冠した懐中時計を作り上げてから100年を迎えました。

シチズン初代懐中時計
第一号懐中時計

現在では、シチズン時計マニュファクチャリングといった株式会社とともにグループを成し、ものづくりの精神を受け継ぐ、革新と進化を続けるブランドとして成長を続けています。

豊富なコレクションの選択肢

シチズンでは、スタンダードラインからハイエンドラインに至るまで、機能性、デザイン性の幅広い選択肢が用意されています。まさに、「市民に寄り添う」という企業姿勢に則ったコレクション展開と言えるでしょう。

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代表的なシリーズには、プレミアムウオッチブランド「ザ・シチズン」、プロフェッショナルスポーツウオッチ「プロマスター」、シチズンの技術を象徴するチタニウムウオッチ「アテッサ」、「時を愉しむ」というブランドコンセプトを有する「カンパノラ」などが挙げられます。

もちろん、女性向けモデルや、企業、人気コンテンツとのコラボモデルも多くラインナップされています。

シチズン時計が生まれる「シチズンマニュファクチャリング株式会社」

シチズンの腕時計製造は、シチズン時計マニュファクチャリング株式会社がそのほとんどを担っています。世界有数のマニュファクチュールの体制を採り、パーツの製造から、組み立て、完成までを一貫して行っており、その全てにシチズンの品質へのこだわりが行き届いています。

シチズンの工作機械

さらにシチズンでは、部品製造を行う工作機械の製造や、時計用のオイルの製造さえも行われています。これらすべては、「実用時計の理想」を追求するシチズンの精神を体現したものと言えるでしょう。

ムーブメントの部品製造

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マニュファクチュールであるシチズンでは、当然ながら腕時計に内蔵されるムーブメントも自社製造されています。部品は1000分の1ミリ単位の精度で製造されており、その中には世界で数社しか作ることのできないヒゲゼンマイなども含まれます。

国内で製造されるこれらの部品は、切削、プレス、射出成形、回路実装、表面処理等、さまざまな技術が駆使されています。金型・治具(ジグ)も自社生産しているほか、製造設備にもシチズンオリジナルのものが多く、シチズンにしかできないオンリーワンの技術とも言えるでしょう。

ムーブメントの組み立て

自社製造されたムーブメント部品の組み立ては、自動組立もしくは手組み立てによって行われます。

自動組み立ては、量産型ムーブメントがメイン。効率を追求した自社生産ラインによって、1秒あたり約1個のペースで組み上げられるムーブメントもあります。

一方、ザ・シチズンやカンパノラといった上位ラインのムーブメントは、主に社内マイスターによる手組立で組み上げられています。

なお近年では、一部の少量、多品種モデルに自動と手組み立てを組み合わせた半自動組み立ても利用されています。このような、最新のテクノロジーを駆使するだけでなく、職人の手作業も活かすウオッチメイキングからは、腕時計が持つロマンという側面も実感できるでしょう。

外装の製造

針

シチズンは、腕時計の外装部品、つまりケースや文字板、針といった部品も自社製造しています。部品ごとに特色や伝統を尊重した製造が行われており、ムーブメントと同様に、外装の製造技術も絶え間なく進化を続けています。

特に、文字板製造の技術には目を見張るものがあり、光発電技術「エコ・ドライブ」で使用される多くの文字板は光の透過を確保しつつも、非常に多彩かつ奥深い表情を実現しています。

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またシチズンは、チタニウム素材の活用にも長けています。加工の難しいチタニウム素材を、世界に先駆けて腕時計の外装へと採用した実績もあり、スーパーチタニウムやデュラテクトといったテクノロジーは世界にも認められています。

完成時計組み立て

ムーブメントが組み立てられ、各外装部品が用意されると、いよいよ完成時計組み立てとなります。シチズン時計マニュファクチャリングでは、エコ・ドライブ(ソーラー)や電波、GPSを搭載したクォーツ式時計と、機械式時計の組み立てが行われています。

組み立ての体制は、ライン生産、セル生産、そしてマイスターによる一人組み立てがメインです。ライン生産、セル生産では、ひとりがひとつの腕時計を組み立てるのではなく、職人それぞれが担当の作業を行うことで、生産の効率化が図られています。

ザシチズンのバックビュー

一方、マイスターによる組み立てでは、熟練の職人の手によって、ザ・シチズンやカンパノラのような、多くの部品から成る複雑な腕時計が完成します。

いずれの組み立てにも共通しているのは、人の手無くしては腕時計の完成には至らない、ということです。職人ひとりひとりが責任を持って、ものづくりに真摯に向き合うこの姿勢こそ、シチズンの品質に対する誇りに繋がると考えられるでしょう。

卓越した製造を支えるマイスターたち

シチズンに所属する「マイスター」とは、高精度かつ付加価値の高い職人技を持つ技能士のこと。社内制度に設けられているマイスター制度で認定された職人のみがマイスターとして認められます。シチズンの豊富なラインナップを支える存在と言えるでしょう。

彼ら彼女らが使用するツールは、ピンセット、ドライバー、探り棒、針抑えなどが主となりますが、一部のマイスターたちは実に多種多様な工具を駆使して腕時計を組み立てます。

マイスターは工具を日々磨き上げ、短くなった工具を別の工程に活用するなど、自分だけに馴染む工具をどんどん作り上げていくのです。

マイスターたちが持つ唯一無二の技術も、シチズンの腕時計の品質を支える柱のひとつとなるでしょう。

自社製造を支える全国各地の拠点

シチズンは、全国各地に工場を配置し、それぞれで専門的に製造を行っています。

例えば、クォーツウオッチに不可欠なコイル部品は、「ミヨタ佐久工場」、「埼玉吉見工場」などの拠点で製造されています。また、精度が求められる歯車部品の製造は、「夕張工場」や「鹿児島工場」で行われています。その一方で、ガンギ車や文字板といった、ひとつの工場でしか製造されていない部品もあります。

全国に点在するすべての工場が、マニュファクチュールというシチズンのアイデンティティの維持に不可欠な拠点と考えられるでしょう。

シチズンマニュファクチュールの最高峰「Cal.02」

シチズンの優れた技術力、マニュファクチュールを語る上で「Cal.02」の存在は欠かせないでしょう。

シチズンは現在、スイスのマニュファクチュールとのM&Aによって、日本の信頼性とスイスの匠の技を併せ持っています。そして、Cal.02もその恩恵を受けたムーブメントのひとつ。名門「ラ・ジュー・ペレ」社との共同プロジェクトによって完成に至りました。

Cal.0200とファーストモデルのNC0200-90E

2021年に、ザ・シチズンの機械式コレクションとしてラインナップに加わった本機は、非常に多彩な魅力を備えています。

特筆すべきは、フリースプラングテンプの採用でしょう。スイス高級腕時計でも多く採用されるこのテンプは、緩急針を持たないことで、高い耐衝撃性を叶えています。一方で、精度調整の幅が少ないというデメリットを持ちますが、Cal.02は、ひとつひとつのテンプとヒゲゼンマイが持つ特性を計測し、ベストな組み合わせを追求。クロノメーター(てんぷ式腕クロノメーター)規格(ISO3159)を超える時間精度である、平均日差-3~+5秒を実現した驚くべきムーブメントなのです。

ちなみに、その脱進機の製造には、電解メッキの積層によって極小部品を製造する「LIGA工法」が活用されています。この工法は、年差±1秒を実現したクォーツムーブメントCal.0100にも活用されているものであり、本機においても高精度の追求に欠かせない技術となっています。

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ローターの軸受にはフルボールベアリングを採用し、良好な巻き上げ効率を追求。

さらに、Cal.02は、その審美性も楽しめるムーブメントと言えます。構成される部品は、丹念に仕上げられてから組み上げられており、シースルー仕様の裏ぶたからは妥協のない仕上げを鑑賞できます。また、手作業で歪みなく施された「サティナージュ」とよばれるヘアラインに、ダイヤカットのエッジが組み合わされたことで、際立つ立体感、コントラストを楽しめます。

加えて本機は、設計段階からテンプの見え方、歯車の連なりを楽しめるようデザインされており、ムーブメントの構造自体も審美性を見せています。

構成する各部品には段差がつけられ、立体感、構造美が強調されています。

上記に挙げた様々な点を鑑みると、Cal.02は11年越しに登場した新作機械式ムーブメントながら、現代基準の性能と独自の審美性を備えるに至った、シチズンのマニュファクチュールの最高峰と呼ぶにふさわしい存在と言えるでしょう。

なお、スイス製ムーブメントは、職人技による装飾を多用した、工芸的な魅力を備えたものが多い印象ですが、Cal.02はどちらかというと工業的な魅力、つまり機能美が強調されています。そして、この特徴は搭載するザ・シチズンにも反映されており、インダストリアルプロダクトらしいシャープな質感をもたらしています。

以下でCal.0210現行コレクションについて紹介していますので、こちらも是非参考にしてみてください。

まとめ

当記事では、シチズンのマニュファクチュールを支えるシチズン時計マニュファクチャリング株式会社について解説いたしました。独自のハイテク技術を多く持つシチズンは、製造段階からオリジナルの技術を使いこなして腕時計を作り上げています。

今後、シチズンの腕時計を手に取った際には、息づくプロフェッショナルの仕事ぶりを感じとっていただけたら幸いです。

この記事の監修

腕時計販売店 HARADA
腕時計販売店 HARADA
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