腕時計選びにおいて、防水性能を重視される方も多いのではないでしょうか。もし大切な時計を長く使い続けたいのであれば、一定の防水性能を備えていることが重要となるでしょう。しかし、一口に防水といっても、日常生活で使用する場合、ダイビングなどのアクティブシーンで使用する場合など、着用シーンによって必要となるスペックは異なります。
本記事では、腕時計における防水性能の基本を解説するとともに、防水性のランクごとにおすすめモデルを9つ紹介します。
※本記事の内容は、2024年4月時点の情報です
防水腕時計の選び方
防水腕時計は各メーカーからさまざまなものが販売されており、どのような基準で選ぶべきか迷う方も多いことでしょう。まずは、防水腕時計を選ぶ際の2つのポイントについて解説します。
防水性能表示で選ぶ
防水腕時計選びにおいて注目すべきは、腕時計本体や説明書に表記される「防水性能表示」です。
多くの場合、時計のケースバックの部分に防水性能が数字で記載されています。防水性能表示の単位はさまざまで、代表的なものが圧力や気圧を表す「bar」「atm(アトム)」、深さの目安を表す「m」「ft(フィート)」などです。この数字が大きいほど、防水性能が高いことを意味します。
このように、防水性能の表示の意味を把握しておくと、自分に合ったモデルを選びやすくなるでしょう。
なお、数字がなく「W.R.」と記載されているものは、簡易的な防水レベルの「日常生活用防水」を備えていることを示しています。「日常生活用防水」のレベルであれば、ヴィンテージモデルを除く大半の腕時計が対応しています。
ケース・ベルトの素材で選ぶ
同じ防水腕時計でも、ケースやベルトに用いられる素材の種類はさまざまです。防水性能を重視して購入する際には、ベルトの素材も水に強いものを選ぶことが大切です。また、ビジネスやスポーツなど利用シーンも考慮した上で素材を選ぶとよいでしょう。
ベルト素材のうち、ラバーやシリコンといった樹脂系のものは水に強く、軽やかで着け心地がソフトなことからスポーツシーン向きとして選択できます。また、ステンレスやチタンといった金属製ベルトも水に強く、ビジネスシーンやフォーマルシーンでの使用を想定する方におすすめです。
一方、革ベルトは基本的には防水性に劣りますが、クロコダイルなど比較的水濡れに強い素材もあり、防水腕時計に合わせることも可能です。もちろん、デザインが好みで防水時計を選ぶのであれば、魅力的な選択肢のひとつに数えられるでしょう。
防水性能表示の違い
先ほど紹介した防水性能表示の違いを、より詳しく見ていきましょう。防水腕時計では通常、ケースバックなどに防水性能のレベルが表示されています。防水レベルと想定される用途は次のとおりです。
防水のレベル | 想定される主な用途 |
日常生活用防水 | 手洗い、洗顔、汗をかく場面など |
5気圧防水 | 炊事・洗濯、洗車、漁業・農業など |
10気圧防水 | 水上スポーツなど |
20気圧防水 | 水上スポーツ、シュノーケリングなど |
潜水用防水 | スキューバダイビングなど |
着用する腕時計の防水性能がどのような性質なのかをしっかり把握し、適切な場面で着用するようにしましょう。
また防水性能がある時計でも、使用方法によっては内部に水が入ることがあるため、正しい使い方を知っておくことが重要です。例えば水が手についた状態でリュウズの操作をすると、内部に水が入ってしまうことがあります。
防水性能表示ごとの想定される用途や使い方について、以下に詳しく解説します。
日常生活用防水
日常生活レベルの防水性能を有する腕時計には「W.R.」「WATER RESISTENT」、もしくは日本語で「日常生活用防水」などと記載されています。 2〜3気圧防水に相当する表記です。
日常生活用防水は、洗顔や手を洗うとき、スポーツで少し汗をかいたとき、雨が降ってきたときなど、日常生活において軽く濡れたり水滴がかかったりするシーンに耐えられる程度の防水レベルです。
炊事・洗濯をはじめとした水仕事も日常生活のうちと捉えられがちですが、防水機能の対応外なので、必ず取り外してから行いましょう。また、強い水流などを当てると水気が侵入してしまうこともあるため、手洗いなどでも外したほうが無難です。
5気圧防水
炊事・洗濯や洗車、釣り、農作業など、日常生活の中でも水に濡れる可能性が高い場面で使用したいなら、5気圧防水レベルの防水性能をもつ腕時計がおすすめです。5気圧防水の腕時計は「W.R.5BAR」「WATER 5BAR RESIST」などと表示されます。
本格的なマリンスポーツを楽しみたい場合や、シャワーや水道など高い水圧で水がかかることがある場合は、次に解説する10気圧防水以上の腕時計の購入を検討しましょう。
10気圧防水
海や川でのアクティビティを楽しむ際に着用したいのであれば、10気圧防水の腕時計がよいでしょう。本格的なマリンスポーツを楽しむ場合は、このレベル以上の防水性能を備えた腕時計を着用してください。10気圧防水は「W.R.10BAR」「WATER 10BAR RESIST」などと表示されます。
なお、水深10mで1気圧がかかるため「10気圧防水=100mの潜水まで耐えられる」と考えがちですが、10気圧防水は潜水では使用できません。水がかかる程度であれば10気圧防水で問題ないですが、潜水を前提にするのであれば20気圧防水以上を選ぶとよいでしょう。
20気圧防水
水上スキーやサーフィンなど、強い水流を浴びるマリンスポーツを楽しみたいなら、20気圧防水の腕時計がおすすめです。「W.R.20BAR」「WATER 20BAR RESIST」などの表示がある腕時計が該当します。
時計にある程度の水圧がかかっても浸水の心配がないため、シュノーケリングやスキンダイビングといった潜水でも着用可能です。ただし、ヘリウムガスボンベを使用する本格的な潜水に使用することはできません。
潜水用防水
スキューバダイビングで着用したい方は、一般的に「ダイバーズウォッチ」と呼ばれる潜水用防水性能を備えた腕時計(潜水時計)を選びましょう。
ダイバーズウォッチは潜水することが前提となっているので、これまで見てきた防水腕時計と異なり、潜水で耐えられる深さが表記されているのが特徴です。「DIVER’S WATCH 〇〇m」「DIVER’S 〇〇m」のように表記されます。「DIVER’S 100m」と表示された時計は、水深100mまで耐えられるよう設計されているということです。
一般の方が200mを超えて潜水する機会はほとんどないかもしれませんが、水深200mを超えても耐えられる「飽和潜水時計」もあります。いずれも、飽和潜水に適した機能性を備えており、耐久性に重きが置かれている場合がほとんどです。
3気圧防水のおすすめ腕時計3選
ここからは防水性能ごとにおすすめのモデルを紹介していきます。まずは、日常生活用レベルの3気圧防水でおすすめの腕時計を3つ見ていきましょう。3気圧防水は、汗や水滴がつく程度のシーンを想定したものであり、特別水に強いわけではないため注意が必要です。
ロンジン マスターコレクション L2.843.4.93.2
「マスターコレクション」は、スイスが誇る名門ブランド「ロンジン」のフラッグシップシリーズです。「エレガンスは生き方に現れる」を一貫して提唱するロンジンの腕時計。根底にあるエレガンスをまさに体現するのが「マスターコレクション」です。
「L2.843.4.93.2」は、2022年に発売された「190周年モデル」のデザインをベースに、新たな要素として38.5mmと少し小さめの絶妙なサイジングと、スモールセコンドのサブダイヤルが追加されたモデルです。伝統とスタイリッシュさが融合し、気品あるモデルに仕上がっています。
オメガ デ・ヴィル トレゾア 435.13.40.22.06.001
オメガの「デ・ヴィル」コレクションの一つ「トレゾア」は、今もなお最も進化した機械式ムーブメントの一つと称される、伝統的な30mmのキャリバーを搭載しているのが特徴です。レディースモデルが多いシリーズですが、メンズモデルもいくつかラインナップされています。
「435.13.40.22.06.001」は、シルバーのダイヤルにグレーのアリゲーターストラップを合わせた落ち着いた色味で、男性・女性両方におすすめできる1本です。シンプルな3針モデルが多いトレゾアシリーズの中で、こちらは2つのインダイヤルを配した特徴的な顔を持っています。
アジムース オートモービル SP.SS.TT.N002
「おもちゃの時計屋」の異名を持ち、アバンギャルドで遊び心の詰まったコレクションを生み出し続けるアジムース。こちらの「オートモービル」は、その名のとおりヴィンテージ・レーシングカーの計器類を彷彿とさせる唯一無二のデザインが魅力です。
世界限定88本の「SP.SS.TT.N002」は、ヴィンテージスピードメーターから着想を得たツイン・ターボのようなダイヤルが特徴です。ムーブメントが2つ搭載されており、それぞれ別のタイムゾーンを設定できます。ストラップはランボルギーニ・ミウラのシートをイメージしており、車好きの心をくすぐる逸品です。
5気圧防水のおすすめ腕時計3選
続いては、水仕事や農作業など日常生活で水を使う場面にも適した、5気圧防水のおすすめモデルを3つご紹介します。
ロンジン コンクエスト ヘリテージ L1.648.4.78.2
1954年、ロンジン初のウォッチコレクションとして誕生した「コンクエスト」。誕生当初から防水性と自動巻きを備えていた、先進的なコレクションです。
コレクション70周年を記念して発表された「ヘリテージ L1.648.4.78.2」は、まさにコンクエストの伝統を受け継ぐタイムピースです。
文字盤の中央の回転ディスクでパワーリザーブを表示する、ユニークかつレトロな機能を特徴としています。ムーブメントには、ロンジン独自の新たなキャリバーであるL896.5を搭載。シャンパンカラーのダイアルと合わせて、ヴィンテージテイストが魅力の一本です。
ミナセ ディヴァイド VM14-M01NBL-SSB
「ディヴァイド」は、日本の時計ブランド・ミナセが誇る「HiZ」シリーズの一つ。HiZは独自のケースインケース構造と、さまざまな箇所に施されたザラツ研磨がもたらすクリアで美しいデザインが魅力のシリーズです。
ディヴァイドは「分割」を意味する素ヴォ名のとおり、ケース上下とラグが別々のパーツに分かれているのが特徴です。これらの分割したパーツを組み合わせることで、独自の立体的な造形美を実現しています。
ラインナップには、ステンレスブレスレットのモデルとラバーバンドのモデルがありますが、こちらの「VM14-M01NBL-SSB」はステンレスブレスレットです。細かい部品に分解できる「MORE構造」が取り入れられたブレスレットは、メンテナンス性に優れており長く使用することができます。
ミナセ ディヴァイド VM14-M01NBL-SSBの美しさや機能性について、詳しくは以下の記事でも解説しています。
【ミナセ ディヴァイド VM14-M01NBL-SSB】ひときわ色鮮やかなブルーダイアルモデルを紹介
シチズン シチズンコレクション “TSUYOSA” Collection NJ0151-88M
シチズンの「NJ0151-88M」は、海外で「”TSUYOSA” Collection」の名で人気を博しているシリーズの1本です。鮮やかなカラーのダイヤルに、シンプルな針とインデックスを組み合わせたデザインが特徴です。カレンダーの視認性を高める拡大鏡、腕なじみのよい3列バンドなど、基本的な使いやすさも考えられています。
比較的リーズナブルでありながら、裏面がシースルーバックになっており、機械式時計の魅力を存分に感じられるモデルです。
カラーリングも豊富に用意されているため、選ぶ楽しみもあるコレクションです。
10気圧防水のおすすめ腕時計3選
日常生活に加え、マリンスポーツなどでも着用できる10気圧防水の腕時計。その中からおすすめのモデルを3つ紹介します。
グランドセイコー ヘリテージコレクション 44GS 手巻メカニカル SBGW299
こちらはグランドセイコーが1967年に誕生させた「44GS」をベースに、現代的なアレンジを加えた「44GS 現代デザイン」シリーズの1本です。
「44GS」は、同ブランドのデザインのルーツとなるモデルです。「44GS 現代デザイン」では、象徴的な44GSのデザインが、実用性を兼ね備えた現代的な姿へアップデートされています。
「SBGW299」のケース径は、44GS 現代デザインのラインナップで最小の36.5mm。男女ともに使いやすいサイズ感と、「扇」をイメージさせる放射状の型打模様が施されたダークブルーのダイヤルが特徴です。
以下の記事でも、グランドセイコー ヘリテージコレクション 44GS 手巻メカニカル SBGW299のミニマルな中に凝縮された魅力を紹介していますので、ぜひご覧ください。
【グランドセイコー SBGW297 SBGW299】コンパクトサイズが魅力の手巻き式モデル2種が登場
ザ・シチズン メカニカル 特定店限定モデル NC1000-51E
こちらは発売開始から生産終了まで大きな人気を博したザ・シチズンのメカニカルモデル「Cal.0200」の後継モデルであり、デイト表示と10気圧防水を加え、より実用性を高めた「Cal.0210」シリーズの1本です。
「NC1000-51E」は同シリーズの特定店限定モデルで、砂地模様が施されたブラックダイヤルが印象的です。風防には「クラリティ・コーティング」と呼ばれるシチズン独自のコーティングが施されており、視認性は抜群。フリースプラング方式のテンプを採用した、安定した高精度を誇る一本です。
オメガ スピードマスター 38MM 324.30.38.50.06.001
オメガの「スピードマスター」コレクションは、1969年の人類初の月面着陸において使用された腕時計として、高い知名度を誇るオメガの主力モデルです。
「324.30.38.50.06.001」は、日本人の骨格にも合いやすいケース径38mmながら、存在感のある一本。クロノグラフとしての伝統的なルックスや、「シーマスター」コレクションから受け継ぐシーホースのエンブレムなど、オメガの各コレクションのエッセンスを見事に融合させた外見が特徴です。
オメガ スピードマスター 38MM 324.30.38.50.06.001については、以下の記事でも詳しく解説しています。
【オメガ スピードマスター 324.30.38.50.06.001】 日本人の腕にもピッタリな38mmのタイムピース
防水腕時計のご購入は正規取扱店へ
防水腕時計と一口にいっても、日常生活用防水から潜水用まで防水性能はさまざまです。水仕事の際に利用するなら5気圧防水、マリンスポーツを楽しみたいなら10気圧防水など、着用したいシーンに適した防水性能のモデルを選ぶと、後悔のない購入に繋がりやすいでしょう。
今回紹介したおすすめの9モデルのほかにも、高級時計正規販売店HARADAでは多くの防水腕時計を取り扱っています。防水腕時計選びで迷っている方は、ぜひHARADAまでお気軽にご相談ください。
この記事の監修
- 時計は単なる時間を知るためのツールではなく、個性やスタイルを表現する大切なアイテムであるという信念のもと、ハラダではお客様一人ひとりのライフスタイルに合った時計を提案し、長く愛用できる商品選びをサポートしています。
当ブログでは、最新の製品レビュー、メンテナンスのコツ、時計に関するトリビアなど、腕時計に関する多岐にわたる情報を提供しています。
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