ビジネスやプライベートの相棒として、手元で時を刻む腕時計。大切なアイテムだからこそ、長く使い続けたいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、腕時計も使い続けていると劣化していき、やがて寿命を迎えます。腕時計の寿命はムーブメント(動力源)の種類によって変わってきます。
この記事では、腕時計のムーブメントの種類ごとに寿命の目安を解説。腕時計の寿命を延ばすために意識したいポイントもご紹介します。
腕時計の種類別の寿命
腕時計の寿命は当然モデルやブランドによって変わってきますが、特に大きく影響するのがムーブメントの種類です。ここでは、代表的な3つの種類別に寿命の目安を解説します。
機械式腕時計の寿命
機械式の腕時計は、ぜんまいを動力源として歯車などの機械部品の組み合わせによって時を刻む腕時計です。繊細なつくりのためメンテナンスをせずに使用していると、内部の機械部品の摩耗などにより10年ほどで使えなくなってしまいます。
一方、機械式腕時計は定期的にメンテナンスやオーバーホール(内部の部品を全て分解して清掃を行い、再び組み上げる作業)を行うことで、長い期間にわたって使い続けることができ、「一生」使えるモデルも珍しくありません。数十年かけて、子・孫へと代々受け継いでいくことも可能です。
また、仮に機械式腕時計のパーツ交換が必要になっても、メーカーがパーツを長期間保管しており、部品ごとの修理に応じてくれることが多くあります。一部のブランドについては、パーツのストックがない場合に、新たにパーツを製作して交換してくれることもあります。
クォーツ腕時計の寿命
クォーツ式の腕時計は、内蔵された水晶(クォーツ)に電圧をかけたときに発生する振動を利用して時を刻みます。電圧をかけるために電池と電子回路を内蔵しているのが特徴です。
クォーツ式は電池が寿命を迎える2〜3年に一度、電池交換をする必要があります。電池を交換すれば長く使い続けられますが、内部の電子回路の劣化によって腕時計自体の寿命が来ることが多くあります。モデルにもよりますが電子回路の寿命の目安は10年程度となっています。
クォーツ式の場合、メーカーが電子回路を保管している期間が限られており、長期修理に対応しているケースが少ないのが実情です。そのため、機械式のように一生モノで使い続けられるモデルはそう多くはありません。
ただし10年保証を付けられる「ザ・シチズン」のように、ブランド・モデルによっては長期的な修理が可能なこともあります。こうしたモデルであれば、クォーツ式でも一生モノになり得るでしょう。
ソーラー腕時計の寿命
ソーラー式の腕時計はその名のとおりソーラー発電によって稼働するクォーツ式腕時計で、発電した電力を充電する「二次電池」が内蔵されている点が特徴です。「電池交換不要」とうたわれることも多いソーラー式ですが、10年ほどで二次電池の交換が必要な点は認識しておきましょう。充電してから止まるまでのスパンが短くなってきたら、二次電池の交換の時期がきていると判断できます。
また、ソーラー式もクォーツ式と同様に電子回路を搭載しているため、10年程度が寿命の目安です。
腕時計の寿命を延ばすためのポイント
大切な腕時計の寿命を延ばすには、次のポイントを押さえて使用する必要があります。
・電池・動力切れのまま放置しない
・保管場所に注意する
・磁気・強い衝撃・水を避けて使用する
・日々のお手入れを忘れない
・オーバーホールなどの定期メンテナンスをする
ポイントごとに詳しく見ていきましょう。
電池・動力切れのまま放置しない
腕時計は、基本的に電池や動力が切れた状態で放置しないことが重要です。
クォーツ式の場合、電池切れを放置していると液漏れが発生し、ムーブメントや文字盤の錆びつきの要因になります。電池が切れたら放置せず、できるだけすぐ交換するようにしましょう。またソーラー式は光によって発電するため、暗い場所にずっと置いておくのではなく、定期的に日光を当てることが大切です。
機械式は定期的にぜんまいを巻き上げて、常に動いている状態を維持しましょう。自動巻き式なら定期的に着用している限り手動で巻き上げる必要はありませんが、しばらく使わない場合は一定のスパンで巻き上げることが大切です。
なお、機械式腕時計を多数保有しているなど、モデルによって着用しない期間がある場合、セットしておくだけで自動巻き上げが可能な「ワインディングマシーン」を使用してもよいでしょう。
保管場所に注意する
腕時計の寿命を延ばすには、普段の保管場所にも注意が必要です。腕時計を保管する際は、次のような場所を避けましょう。
・日光が直接当たる場所
・極端に高温もしくは低温になる場所
・湿気の多い場所
・磁気を発生するものの周辺
・揮発性の薬品の周辺
・強い振動が起きる場所
・衝撃が加わる可能性がある場所
・ほこりがたまりやすい場所
・防虫剤の周辺
上記のような場所に腕時計を放置すると、進みや遅れ、時計本体の劣化につながる恐れがあります。高級腕時計の正しい保管方法に関してはこちらの記事をご覧ください。
高級時計は正しい保管を。保管に適切な場所や活用できるアイテム
磁気・強い衝撃・水を避けて使用する
前項でも触れたように、腕時計の多くは磁気に弱いため、保管時だけでなく使用時も磁気の生じるところは避けましょう。磁力のあるものに近づけると、内部の部品が磁気を帯びてしまい、精度不良や部品の摩耗を引き起こす恐れがあります。耐磁性のモデルもありますが、基本的には磁気に近づけないことが大切です。パソコンやスマートフォンなど強い磁気を持っているものの近くに腕時計を置く際は、最低でも5cm以上離すように気を付けてください。
強い衝撃も腕時計の大敵 です。衝撃によって内部の機構が破損する恐れがあります。衝撃に強いモデルもありますが、原則として強い衝撃を加えないよう丁寧に扱いましょう。
防水機能を備えていないモデルは、汗や雨などによる水漏れにも注意が必要です。防水機能付きのモデルでも、防水性能のレベルによっては水濡れに耐えられない可能性があります。どの程度の防水性能なのか確認した上で、水仕事、手洗い、入浴の際は必ず外すなど、水を避けて使用するのがおすすめです。
腕時計の防水性能の違いについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
日々のお手入れを忘れない
腕時計を一日中着用していると、どうしても汗や皮脂などが付着してしまいます。これらの汚れを放置していると、錆びつきや匂いの原因になるため、寿命を延ばすには日々のお手入れが欠かせません。
ケースやバンドの表面はマイクロファイバーなどの乾いた布で優しく拭き取るようにします。先述のとおり腕時計は水に弱いため、水拭きはおすすめできません。表面を拭くだけでは汚れが落ちない細かな隙間などは、柔らかめのブラシなどで優しく手入れしましょう。
オーバーホールなどの定期メンテナンスをする
定期的な点検やオーバーホールを行うことも、腕時計の寿命を延ばすために重要なポイントです。オーバーホールとは、パーツを分解した上で洗浄し、パーツの交換・調整を行って、元どおりに組み立てて油を差す「分解清掃」のことを指します。
オーバーホールというと機械式の腕時計だけに必要なイメージかもしれませんが、長く使い続けるにはクォーツ式もオーバーホールを行う必要があります。推奨頻度はメーカーや専門店によって差があるものの、数年に一度の頻度で行うのが良いとされていることが多いです。機械式の場合は「3〜5年」、クォーツ式の場合は「4〜5年」を目安に、点検・オーバーホールを実施しましょう。
こちらの記事では、オーバーホールにかかる費用や重要性を解説しています。
高級時計はメンテナンスが必須!オーバーホールにかかる費用や重要性を詳しく解説
一生モノの腕時計を探すのにおすすめブランド4選
長年使い続けられる一生モノの腕時計を探すなら、やはり機械式の腕時計がおすすめです。ここでは、一生モノの1点を探すのにおすすめのブランドを4つ紹介します。
オメガ
1848年、スイスの工房からスタートしたオメガは、1932年のロサンゼルスオリンピック以来、オリンピックの公式タイムキーパーを務めることでも知られる腕時計ブランドです。これはオメガの腕時計が高い精度を誇る証といえるでしょう。
オメガの腕時計の高品質を証明するのが「マスター クロノメーター認定」を受けていること。当認定を受けるには、スイス公式クロノメーター検定協会に認められたムーブメントを搭載し、かつMETAS(スイス連邦計量・認定局)が行う8種のテストに合格しなければなりません。耐久性のみならず、防水性・耐磁性・精度など、あらゆる面で高品質な腕時計を製造しているブランドです。
アポロ計画で月面に降り立った腕時計としても知られ、その人気は世界的なもの。そのロマンの面でも、一生モノとしておすすめできる理由の一つです。
グランドセイコー
「世界に挑戦する国産最高級の腕時計をつくる」というコンセプトのもと、1960年に誕生した国産の高級腕時計ブランドがグランドセイコーです。日本の機械式腕時計メーカーとして長い歴史を誇るセイコーの技術を結集した当ブランドは、国産ブランドとしてトップクラスのステータス性があります。
スイスのクロノメーター規格を上回る独自の「新GS規格」を設け、世界でも有数の高い精度を誇る機械式腕時計を製造しています。正確で、美しく、見やすい腕時計は、長く愛用できることを重視してつくられており、まさに一生モノにふさわしいブランドといえるでしょう。
オリエントスター
グランドセイコーと同様、日本を代表する腕時計ブランドの一つに挙げられるオリエントスターも、一生モノの機械式腕時計選びにおすすめのブランドです。高い技術を持つ職人によって、丁寧に手作業で組み立てられたタイムピースには、職人の感性が光っています。
高品質な本格腕時計でありながら、手に入れやすい価格帯に抑えている点もオリエントスターの特徴。初めての機械式腕時計選びにもおすすめの国産ブランドです。
ロンジン
1832年に創業したスイスの高級腕時計ブランド・ロンジンは、スポーツイベント用の計器開発を出発点としており、パイロットウォッチをはじめとしたプロフェッショナルモデルを数多く送り出しているのが特徴です。今もなお、世界選手権大会や国際競技連盟のパートナーとして、スポーツ界で大きな存在感を示しています。
回転式ベゼル、フライバッククロノグラフを世界に先駆けて腕時計に搭載するなどパイオニア的な存在でありながら、高級腕時計ブランドの中では手の届きやすい価格帯も魅力です。トレンドに左右されない一生モノの機械式腕時計を探している方は、ロンジンのモデルから選んでみてはいかがでしょうか。
一生モノの高級腕時計のご購入は正規販売店で
腕時計の寿命はブランドやモデルごとに異なるものの、特に大きく影響するのがムーブメントの種類の違いです。
電子回路を使用しているクォーツ式・ソーラー式の腕時計は、定期的な電池交換をすれば長く使い続けられますが、一般的には10年ほどで寿命を迎えます。これに対し、機械式の腕時計は、定期的なメンテナンスを欠かさなければ半永久的に使い続けられるモデルが多いです。大切な腕時計を長く使い続けるには、日々のお手入れと定期的なオーバーホールを実施し、保管方法にも気を配るようにしましょう。
「一生モノ」の腕時計をお探しなら機械式腕時計から選ぶのがおすすめです。高級時計正規販売店HARADAでは、今回紹介した4つのブランドのみならず、長年愛用できる高級腕時計を多数取りそろえています。一生モノの高級腕時計を検討する際は、ぜひHARADAまでお問い合わせください。
この記事の監修
- 時計は単なる時間を知るためのツールではなく、個性やスタイルを表現する大切なアイテムであるという信念のもと、ハラダではお客様一人ひとりのライフスタイルに合った時計を提案し、長く愛用できる商品選びをサポートしています。
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