
グランドセイコーは、腕時計の本質である「正確さ」「美しさ」「見やすさ」そして「長く使えること」を飽くなき情熱をもって追求し続ける、日本が世界に誇る高級時計ブランドです。その多彩なラインナップの中でも、ストップウォッチ機構である「クロノグラフ」を搭載したモデルは、グランドセイコーの技術的な粋と美意識を結集した、ハイエンドな存在モデルとして位置づけられています。
当記事では、その精密さを支える高性能ムーブメントから、魅力的なモデルラインナップまで、詳しく解説します。
セイコー時代から継承されてきたクロノグラフ技術
グランドセイコーのクロノグラフウォッチには、セイコー時代から半世紀以上にわたって磨かれてきた、優れた技術力が反映されています。セイコーは、日本で初めてクロノグラフ搭載の腕時計を実現したブランドとして知られ、スポーツ大会の公式計時をはじめとする多くの実績を経て、その信頼性を積み上げてきました。当然、グランドセイコーの腕時計にも、実用性、信頼性を追求するその姿勢が受け継がれているのです。

さらにグランドセイコーは、独自のムーブメント「9Rスプリングドライブ」や、安定した高精度を誇る「メカニカルハイビート36000」といった技術と、クロノグラフとを組み合わせることで、その機能性をさらなる高みに押し上げています。ただでさえ複雑なグランドセイコーの腕時計に、複雑なクロノグラフを追加したこれらのモデルは、まさにブランドのハイエンドと言えるでしょう。
グランドセイコーを支える二つの高性能クロノグラフムーブメント
前述の通り、グランドセイコーのクロノグラフウォッチの心臓部には、それぞれ異なるアプローチで究極の精度と信頼性を追求した、「スプリングドライブ」と「メカニカルハイビート36000」という、ふたつのムーブメントが採用されています。それぞれの魅力を確認していきましょう。
ゼンマイ駆動における世界最高峰を実現:Cal.9R86 (スプリングドライブ クロノグラフGMT)
2007年に登場したキャリバー 9R86は、グランドセイコーの独自機構であるスプリングドライブに、クロノグラフとGMT機能を統合した自動巻ムーブメントです。

特筆すべきは、ゼンマイ駆動でありながらクオーツと同等の平均月差±15秒(日差±1秒相当)という驚異的な高精度を実現している点です。さらに、クロノグラフ機構には、確実な操作感をもたらす「ピラー(コラム)ホイール方式」と、計測開始時の針飛びを防ぎ正確な計測を可能にする「垂直クラッチ方式」を採用し、計測機器としての完成度も突き詰められました。
これはセイコーが1969年に世界で初めて自動巻クロノグラフに採用した技術でもあります。

加えて、誤操作を防ぐ「READY/STARTモード」や、一部モデルには「ねじロック式ボタン構造」も採用されており、信頼性も高められています。GMT機能も搭載しており、まさに多機能・高精度を体現するムーブメントと言えるでしょう。最大巻上時には約72時間(約3日間)の駆動を可能としており、スプリングドライブ特有の滑るように動くスイープ運針も、優雅に1秒を刻みます。
世界最長駆動を実現したハイビートクロノグラフ:Cal.9SC5 (メカニカル クロノグラフ “TENTAGRAPH”)

2023年、グランドセイコーはブランド史上初となるメカニカルクロノグラフムーブメント、キャリバー9SC5「TENTAGRAPH(テンタグラフ)」を発表しました。その名は、「TEN beat(10振動)」、「Three days(3日間持続)」、「Automatic(自動巻)」、「ChronoGRAPH」の頭文字に由来します。最大の特長は、毎秒10振動(毎時36000振動)のハイビートでありながら、毎秒10振動以上のメカニカルクロノグラフムーブメントとして世界最長となる、最大約72時間(約3日間)の連続駆動時間を実現している点です。

これを可能にしたのが、高効率な「デュアルインパルス脱進機」と、約80時間駆動を誇る「キャリバー9SA5」譲りの「ツインバレル」です。さらに、安定した高精度を長期間維持するための「グランドセイコーフリースプラング」、確実な操作と針飛び抑制を実現する「ピラーホイール方式」「垂直クラッチ方式」、そして瞬時の帰零を可能にする「三叉ハンマー」など、最新技術が惜しみなく投入されています。静的精度で平均日差+5秒~-3秒という厳格なグランドセイコー規格もクリアしており、ブランドの新世代を担うにふさわしい高性能メカニカルクロノグラフムーブメントに仕上がっています。
グランドセイコーのハイエンド、クロノグラフモデルを厳選して紹介!
これらの卓越したムーブメントを搭載し、グランドセイコーの技術とデザインの粋を集めた、おすすめのクロノグラフウォッチをここでご紹介いたします。
SBGC242:異素材が織りなすラグジュアリーなクロノグラフ
ステンレススチールを基調に、ベゼルとプッシュボタン、リュウズに華やかな18Kイエローゴールド、ベゼル上部に高硬度のセラミックスを配した、ラグジュアリーなスポーツモデルです。

十二角形のベゼルは多面的な輝きを放ち、視認性にも貢献。18Kイエローゴールド製のプッシュボタンは操作感を維持しつつ小型化されており、操作性と装着性の両立が図られています。グランドセイコーならではの上質な仕上げ、スタイリッシュな造形と、スプリングドライブ クロノグラフGMTの高い機能性が融合したタイムピースです。ケース径は43.8mm、厚さは16.1mm、10気圧防水を備えています。
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SLGC001:ブランド初のメカニカルクロノグラフ「TENTAGRAPH」
グランドセイコーの歴史に名を刻む、初の機械式クロノグラフモデルです。装着性と視認性を追求したデザイン文法、「エボリューション9スタイル」を採用し、ケースとブレスレットには軽量かつ堅牢なブライトチタン、ベゼルにはセラミックスが使用されました。

ダイアルには、製造拠点「グランドセイコースタジオ雫石」から望む雄大な岩手山の山肌を表現した、繊細な「岩手山パターン」が施されており、視認性と個性が両立されています。ブランドカラーに近いミッドナイトブルーカラーに、Cal.9SC5の優れた機能性を備えた、技術と美意識の結晶たる1本です。ケース直径は43.2mm、厚さは15.3mmで、重量は154g。10気圧防水を備えています。
SBGC251:機能美を追求したスプリングドライブGMTクロノグラフ

エボリューション9スタイルをベースに、クロノグラフとGMT機能を搭載したモデルです。モノクロカラーを基調とし、機能性を前面に押し出したデザインとすることで、視認性と操作性、あらゆるシーンにマッチする汎用性が追求されました。ケースとブレスレットにはブライトチタンを採用し、ケース径45.3mmという存在感ながら、140gという軽快な装着感を実現。強力なルミブライトも備え、実用性は万全です。スイープ運針からは、スプリングドライブゆえの、精密な計時を実感できるでしょう。10気圧防水を完備。
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SBGC253:獅子の威厳を宿す、力強いスポーツクロノグラフGMT
グランドセイコーのブランドシンボルである「獅子」の力強さと威厳をデザインに昇華させた、個性際立つスプリングドライブクロノグラフGMTモデルです。獅子の爪をモチーフにした大胆な形状のラグは、見た目のインパクトだけでなく、腕への確かなフィット感を実現しています。

ケースとブレスレットには軽量なブライトチタンを使用。ライオンのたてがみを表現した有機的なパターンのシャイニーホワイトダイアルも特徴的です。20気圧防水の高い防水性能を備え、アクティブなシーンでも信頼性は抜群です。野性味と知性が融合した、グランドセイコーならではの世界観を持つスプリングドライブモデルです。ケース直径44.5mm、厚さ16.8mm、重量158gです。
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W&W 2025で発表された、注目のクロノグラフモデル (Cal.9SC5搭載)
2025年4月のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブでは、グランドセイコーの新作クロノグラフモデルも発表されました。いずれもCal.9SC5を搭載する「テンタグラフ」であり、機械式クロノグラフに待望のバリエーションが追加されることになります。発売前ではありますが、それぞれの魅力も確認しておきます。
SLGC007:厳冬の岩手山を映すスノーブルーダイアル

エボリューション9スタイルをベースに、製造地・雫石から見える厳冬期の岩手山の情景を表現したモデル。澄み切った空と新雪に覆われた山の尾根をイメージした、美しいスノーブルーの型打ちダイアルが特徴です。ケースとブレスレットはブライトチタン製。SLGC001とは異なり、パンダ調の王道的な表情を持つテンタグラフです。ケース径43.2mm、厚さ15.3mm、重量154g、10気圧防水。2025年5月発売予定。
SLGC009:先進素材とラバーストラップを採用した「Tokyo Lion Tentagraph」

獅子の力強さを、より先進的な素材とスタイルで表現した1本。グランドセイコーのブランドロゴにもなっているライオンを表現し、「Tokyo Lion Tentagraph」の名がつけられました。ケースには、ステンレススチールの約2倍の硬度と軽量性を併せ持つ、グランドセイコー独自のブリリアントハードチタンを採用。傷に強く、白く美しい輝きを放ちます。
さらに、獅子のたてがみをモチーフにしたダイアルパターンと、新開発の高強度ラバーストラップによって、スポーティかつ快適な装着感を実現。獅子の威風を纏う、次世代のスポーツクロノグラフに仕上がっています。ケース径43.0mm、厚さ15.6mm、20気圧防水。2025年8月発売予定。
グランドセイコー クロノグラフを選ぶということ

グランドセイコーのクロノグラフウォッチを選ぶことは、単に多機能な時計を手に入れること以上の意味を持ちます。それは、ブランドが長年培ってきた時計作りの哲学、日本の美意識、そして世界最高レベルの精度と品質を追求する姿勢、そのすべてが凝縮された特別なタイムピースを所有するということです。
高価格帯であることは確かですが、その背景には、独創的な高性能ムーブメントや厳選された素材、熟練の職人による精緻な仕上げといった、価格に見合う、あるいはそれ以上の価値が存在します。高精度な計時はもちろん、細部の美しさと確かな操作感、そして腕にした時の満足感は、他の時計では得難い体験となるでしょう。

時計に対する深い知識や情熱を持つ方、技術的な革新に魅力を感じる方、そして確かな品質とステータス性を求める方に、グランドセイコーのクロノグラフは優れた選択肢のひとつとなりうるのです。
まとめ
グランドセイコーのクロノグラフウォッチは、ブランドのラインナップの中でも、技術、素材、仕上げ、そして価格において最高峰に位置づけられるハイエンドモデルです。独創的な高精度を誇るスプリングドライブ「9R86」と、10振動以上のメカニカルクロノグラフとして世界最長クラスの駆動時間を実現した革新的なメカニカルハイビート「9SC5(テンタグラフ)」。
これら二つの卓越したムーブメントを搭載したモデルたちは、それぞれが強い個性を放ちながらも、グランドセイコーならではの実用性と美しさを高い次元で融合させています。
今回ご紹介したモデルを通して、グランドセイコー クロノグラフの奥深い魅力に触れていただけたなら幸いです。ぜひ一度、その精緻な作り込みと確かな性能を、ご自身の目で確かめてみてください。
この記事の監修

- 資格:日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
担当ブランド:Grand Seiko、NORQAIN
腕時計販売店ハラダのオンライン担当。
腕時計の撮影、オンライン上でのマーケティング全般を担当。
最新のトレンドからクラシックなモデルまで、幅広い腕時計の情報を提供し、特に日本の腕時計ブランドであるグランドセイコーの魅力を発信することに注力。グランドセイコーの精密な技術と美しいデザインについて詳しく紹介し、時計の選び方や魅力を伝える事に生きがいを感じている。