腕時計を着用する際には、基本的に強い衝撃や浸水、激しい温度差などに気を払う必要があります。そして、それらと同様に忌避すべき点として、磁気を発している物に近づけることが挙げられます。
本記事では、磁気を発しているものに腕時計を近づけるべきでない理由について詳しく解説し、この磁気を防ぐことができる耐磁性に優れたおすすめモデルもご紹介します。
腕時計の取り扱いに関する注意点であり、腕時計の長期間の愛用にもつながる点ですので、ぜひご一読いただけると幸いです。
【磁気は腕時計の天敵】腕時計に磁力のあるモノを近づけてはいけない理由
磁気を発するモノに腕時計に近づけてはいけない理由には、磁気帯びの存在が原因に挙げられます。
磁気帯びとは、強力な磁気にさらされた鉄が、磁石の性質を持ってしまう現象のことを指します。長年使ってきた文房具などで体験したこともあるかと存じますが、腕時計の内部は磁石に影響されやすい部品で構成されているため、同様に磁気帯びが発生してしまうのです。
この磁気帯びによって最も影響されやすいのが、腕時計の「精度」です。綿密に計算された設計によって正確な時を刻む腕時計は、磁気帯びによる少しの力でも影響されてしまう可能性があります。また、これはクォーツ式腕時計も同様であり、まさに、磁石は腕時計にとって「百害あって一利なし」の存在と言えるでしょう。
現代社会は磁力のあるモノで溢れている
腕時計を磁石から遠ざけることを意識していても、完璧に腕時計を磁力から守るのは難しいものです。
実は、我々が使っている精密機器、電子機器にはほとんどの場合磁石が使用されており、腕時計に影響する磁気を発し続けているのです。
そのため、スマートフォンやオーディオ機器などの存在を考えると、あらゆる場所で磁気帯びの可能性があると言えます。
磁気帯びを避けるために、なるべく腕時計は電子機器からも離して置いておくべきでしょう。
磁気帯びを避けるために
磁気帯びを避ける具体的な方法は次の通りです。
- 磁力のあるモノから5cm以上離す
- 耐磁性のある腕時計を選定する
それぞれ確認していきましょう。
磁気帯びを避ける方法1:磁力のあるモノから5cm以上離す
磁気帯びは、磁力のあるモノに腕時計を近づけなければ発生しません。特に、現代の腕時計にはある程度の耐磁性が備わっていることが多く、一般的に5cm以上の距離を置けば問題ないとされています。
磁気を発しているものとして、代表的なものは以下の通りです。
- スマートフォン
- パソコン
- オーディオ機器
- テレビ
- 冷蔵庫
- 電子レンジ
- IHヒーター
- 磁気を使用した健康器具
- バッグの留め具などに使用される磁石
上記からは、最低5cm以上の距離を置くよう心がけましょう。
磁気帯びを避ける方法2:耐磁性のある腕時計を選定する
磁気帯びを避けるために、耐磁性のある腕時計を選ぶこともおすすめとなります。高い耐磁性があれば、磁気帯びの発生をなるべく抑えることができるでしょう。中でも、特に胎児性が高い腕時計として、オメガのマスタークロノメーター認定モデルと、ボーム&メルシエのボーマティックムーブメント搭載モデルが挙げられます。
オメガ マスタークロノメーターとは?
耐磁性のある腕時計を選ぶのであれば、オメガのマスタークロノメーターから探してみるのも良いかもしれません。
スイス公式クロノメーター検定機関(COSC)とスイス連邦計量・認定局(METAS)が実施する、厳密なテストをクリアした腕時計にのみ与えられる称号。
その高すぎる基準ゆえ、たった2社しかマスタークロノメーター認定モデルを発売していませんが、内一つがオメガとなります。この検査では精度や安定性はもちろんのこと、15000ガウスという非常に高い耐磁性が腕時計に求められます。
15000ガウスは、MRIなどの非常に強い耐磁性が求められる場面でも影響されないほどの基準。このレベルとなると、磁気帯びする可能性はほとんど皆無と言っても差し支えありません。
ボーマティックムーブメントとは
スイスの老舗ブランド、ボーム&メルシエのリビエラおよびクリフトンの多くのモデルに搭載されるムーブメントです。その性能は非常に高水準にあり、精度は-6秒〜+4秒、パワーリザーブは約120時間を誇ります。
耐磁性についても優れており、1500ガウスを実現。日常生活に存在する磁気程度であれば磁気帯びの心配がほとんどありません。
マスタークロノメーターモデルより比較的安価に手に入れられるため、そちらも魅力に感じる方もいらっしゃるかと存じます。
磁気帯びが発生した場合の対処法
腕時計の精度が極端に悪くなったり、不具合が続出するようでしたら、腕時計が磁気帯びしている可能性があります。
時期帯びを除去するには専門的な機器による「磁気抜き」が必要となります。もしあからさまに異常な挙動を示すようであれば、お近くの腕時計店や公式サービスでメンテナンスを依頼されることをおすすめいたします。
磁気帯びに強いおすすめ耐磁ウォッチ3選
最後に、耐磁性に優れた3つのモデルをご紹介します。
【オメガ】シーマスター|DIVER 300M『コーアクシャル マスター クロノメーター 42MM』
オメガのマスタークロノメーター認定モデルのひとつ。ダイバーズウォッチとして高い信頼性を誇るシーマスターのオーソドックスな一本をピックアップいたしました。
ダイバーズウォッチとして卓越した信頼性と耐久性を誇り、洗練を重ねながら継承されてきたそのデザイン性が魅力のモデル。そこにマスタークロノメーター認定の優れた精度と耐磁性が加わり、陸上でも活躍するオールマイティウォッチと呼ぶにふさわしい一本となっています。
ここではブラックモデルのみをピックアップいたしましたが、そのバリエーションの豊富さも魅力のひとつ。カラーリング、ベルト、素材などで多くの選択肢が用意されています。
スピードマスターと並んでオメガを代表するコレクションであり、コーアクシャルムーブメントの採用によるメンテナンスフリーな点も魅力となるでしょう。
【グランドセイコー】スポーツコレクション|電池式クォーツ『SBGX343』
アクティビティにも耐えられる機能性とスポーティーなデザインを両立したモデルを数多く排出する、グランドセイコーの「スポーツコレクション」。本作「SBGX343」はその中でも、強化耐磁にスポットを当てたモデルとなっています。
ブラックダイヤルと、ヘアラインを中心とした無骨なステンレススティールの組み合わせは、その精悍さからビジネスにもプライベートにも使用できる万能デザイン。
機能性に関しても、一般的な水準を大きく上回る40,000A/mの耐磁性や20気圧防水を有しているため、アウトドアでも活躍が期待できます。
また、クォーツならではの高い精度と取り回しの良さも魅力であり、暗所でも使いやすいルミブライトも利便性を底上げしています。
高いスペックに反して、一般的なサイズ感ですので、極端に目立ちすぎることもないでしょう。スマートな一本をご所望の方に、おすすめできるモデルです。
【シチズン】シリーズ8|870メカニカル『NA1004-87E』
「シンプルかつモダン」をコンセプトとしたシチズンの「シリーズ8」より、高い耐磁性を備えた「NA1004-87E」をご紹介します。
ブラックとシルバーのシンプルなデザインながらも、半円を組み合わせたベゼルがアクセントとなり、力強い印象を与える本モデル。一体化型のステンレスケースにはヘアライン仕上げとポリッシュ仕上げが組み合わされ、文句ない高級感も備わっています。
もちろん機能性も優れていて、耐磁性能を強化した「第2種耐磁」を装備。磁力のある機器に1cmまで近づけても、ほとんどの場合は性能を維持できるでしょう。
また日常生活で起こりうる程度の水濡れなら耐えられる「10気圧防水」も備えていますので、普段使いにも安心できるモデルとなります。
バリエーションも豊富に用意されているため、選ぶ楽しみも味わえるモデルとなるでしょう。
【ボーム&メルシエ】リビエラ『10702』
ブランドの人気シリーズであるリビエラは、ラグジュアリースポーツテイストを特徴とする、エレガントな機械式モデルです。耐磁性に優れるボーマティックムーブメントを備える本作は、その中でもユニークなスモーキーダイアルを備えた一本。
半透明のダイアルからはカレンダーディスクを筆頭にムーブメントのメカニカルな部分を楽しめるようになっており、裏側のシースルーバックからはその背面も楽しめる仕様となっています。
さらに、ボーマティックムーブメント搭載モデルは、8年間の無料保証期間が付属しているため、そのメンテナンス性も魅力的と言えるでしょう。
耐磁性の高いモデルを選定し、快適な生活を
磁力を発する機器がありふれた現代社会において、腕時計の耐磁性は必須といえます。
磁気帯びの可能性を減らすことで、あなた自身のビジネスやプライベートに100%集中できるでしょう。
本記事で紹介した腕時計は、強力な耐磁性はもちろんのこと、他の機能やデザインにも優れたモデルばかりです。
少しでも興味のある腕時計があれば、ぜひ店舗にご連絡ください。