
「100年後も語り継がれる日本の時計」をコンセプトに掲げるミナセ。その「マスタークラフトM3」は、ブランド創業期のコレクションを復刻したデザインを持つ、セミオーダーコレクションです。ザラツ研磨やMORE構造といったミナセならではの技術も反映された本作は、その比較的手に入れやすい価格帯から、高級腕時計の1本目に選ぶうえでも好ましい存在です。本記事では、その魅力について詳しく触れていきます。
日本の美意識と技術が息づく。「MINASE(ミナセ)」というブランド
ミナセは、高性能工具メーカーであるKYOWA(協和精工)をルーツとする、日本を代表する時計ブランドです。ブランドのシンボルに掲げるドリルに象徴されるように、金属の精密さと美しさを極限まで引き出す切削・研磨技術を基盤として、他に類を見ない独創的な時計を創り出しています。

その美しさは「大胆にしてち密」。類を見ない超立体的なデザインを考案し、研磨マシンのバフが届かない細かな断面までも磨きあげるための構造を独自に開発しています。ミナセの時計は、熟練の職人によるハンドメイドの集合体であり、その一つ一つに情熱と時間が惜しみなく注がれているのです。

ミナセの故郷は、東京から600km離れた秋田県の皆瀬(みなせ)です。針葉樹の美しい森、清らかな川の流れ、冬は雪に閉ざされる気候は、スイスのジュラ山脈の風景と似ています。この豊かな自然の中で育まれた、精密な作業と真摯に向き合う「精密のテロワール」こそが、ミナセのものづくりを支える精神と言えるでしょう。
「工具メーカーが時計を創るなどスイスにも前例はない」と言われた創業当初から、ミナセはその高い技術力と情熱によって、スイスをはじめとする欧州市場の心もつかみ、ハンドメーカーブランドとして成長を遂げてきました。
磨き上げられてきたミナセのクラフトマンシップ
ミナセの時計を語る上で欠かせないのが、その独自技術の数々です。特に、「ザラツ研磨」と「MORE構造」は、ミナセのすべてのコレクションに共通する、代表的な技術と言えるでしょう。他にも、複層ケースで立体感を強調した「ケースインケース構造」や、貴石がセットされた指輪から着想を得た「グランピングケース構造」も、多くの腕時計のケース製造を手がけてきたミナセならではの技術です。
ザラツ研磨(SALLAZ POLISHING)

ザラツ研磨は、仕上げ磨きに入る前に下地をなめらかに均一に整えるための研磨技術です。熟練した職人が手先に全神経を集中させ、金属の表面を撫でるように丁寧に磨き上げる必要があり、パーツ1つ1つの断面を手作業で磨くため、非常に時間がかかるパーツも存在します。
スイス発祥の技術でありながら、現代のスイスではほぼ失われてしまったこの幻の技術を、日本の皆瀬の地で受け継ぎ、独自の進化をさせてきたことも、ミナセの大きな特徴です。「すべての断面に、輝きを」という信念のもと、美しさに一切妥協しないミナセイズムの象徴が、このザラツ研磨なのです。ルーペを通してミナセの時計を隅々まで眺めると、無数の断面が光を受けて輝いていることを実感できるでしょう。
MORE構造

MORE構造は、ミナセがデビューコレクションの発表時から採用している独自の設計思想です。「MINASE ORIGINAL REBUILDING EQUATION」の略であり、日本の組木細工にインスパイアされた、外装部分を分解して何度も組み立てることを可能にする設計です。

このMORE構造により、ミナセの時計は外装をパーツ1個単位まで分解し、磨き直し、必要があれば部品を交換して、まるで新品のようにリビルドすることができます。これは単なるオーバーホールを超えた、永続的なアフターサービスを実現するための基盤と言えるでしょう。もちろん、この複雑な構造の裏側には、「100年後も語り続けられる時計をつくる」というミナセの熱い思いが込められています。
ミナセ マスタークラフトM3とは?

「M3」というモデル名の「M」は、マスタークラフトを意味します。「MINASE」がウォッチメーカーとして、初めて本格的に製造を始めた「M1」「M2」の後継機であり、ブランドの原点とも言えるシリーズです。
正統的なデザインの中に、前述のザラツ研磨とMORE構造というミナセならではの技術を駆使し、2008年の発表当時から「伝説の名作」として語り継がれてきました。

そして2018年、多くの要望に応え、洗練された技術で現代に蘇ったのが、この復刻モデル「マスタークラフト M3」です。文字盤とバンドの組み合わせを自由に楽しめるセミオーダーモデルとなっており、 シンプルなフォルムの中に、より一層「ミナセイズム」を感じられる仕上がりとなっています。
自分だけのM3を創る。「カスタム」の楽しみ
マスタークラフトM3の大きな魅力の一つが、豊富なカスタムオプションです。文字盤、ストラップを自由に選ぶことができるため、自分の好みに合わせた腕時計を作ることができます。

- 文字盤: 新登場の雪平文字盤(全5色)に加え、立体的で精巧なピラミッドがベースのエンボス文字盤(全3色)、シンプルで光沢感のあるサンレイ文字盤(全3色)の3種類、計11種から選べます。
- ストラップ: ステンレスブレスレット、革ストラップ(クロコダイル、牛革スムース)、ラバーストラップの4種類、色展開を合わせると計25パターンから選べます。

さらに、M3のストラップは全てワンタッチで交換可能であり、より気軽にスタイルを変えることができます。さらに、お手持ちのM3ストラップを有償でワンタッチ仕様に変更するサービスも提供されています。

これらの豊富な組み合わせの中から、自分のライフスタイルや好みに合わせた、世界に一つだけのマスタークラフトM3を創り上げることができるでしょう。価格は以下の通りです。
- 時計本体価格: 253,000円(税込)
- ステンレスブレスレット: 96,800円(税込)
- クロコダイルストラップ: 44,000円(税込)
- 牛革スムースストラップ: 27,500円(税込)
- ラバーストラップ: 30,800円(税込)
最も安価なスムースカーフとの組み合わせで280,500円(税込)、最も高価なSSブレスレットとの組み合わせでは349,800円(税込)となります。
※納品まで2〜3ヶ月の時間がかかります。お早めの納品をご希望の方は、既製品の購入もご検討くださいませ。
新たな魅力。「雪平文字盤」

これまでミナセのフラッグシップモデル「ディヴァイド」でのみ選択可能だった「雪平文字盤」が、マスタークラフトM3にもラインナップされています。これは、金属表面を打ち出すことで細かな凹凸を施した「雪平模様(槌目)」を持つ文字盤です。
雪平文字盤は、「電鋳」という特殊な製法で製作されており、雪原のような透明感のある輝きと、様々な角度から光を捉え、美しい陰影を生み出す神秘的な魅力を備えています。光の陰影を操る日本の美意識が、この小さな文字盤の中に凝縮されていると言えるでしょう。

ブルー、パープルブラック、グリーン、アイスブルー、グレーの全5色が用意され、M3の文字盤バリエーションは、既存のエンボス文字盤(全3色)、サンレイ文字盤(全3色)と合わせてさらに多彩になっています。
組み合わせ例
※既製品の購入も受け付けております。

無金利分割払いなら月々わずか
9,700 | 10,300 | ||
5,800 | 7,600 | ||
4,100 | 9,500 | ||
3,400 | 13,200 |

無金利分割払いなら月々わずか
9,700 | 10,300 | ||
5,800 | 7,600 | ||
4,100 | 9,500 | ||
3,400 | 13,200 |

まとめ
「ミナセ マスタークラフトM3」は、日本の伝統美とミナセの高度な技術、そして情熱が融合した、まさに「ずっと眺めていたい存在」です。独自のザラツ研磨による輝き、そしてリビルドを可能にするMORE構造は、単なる時計を超えた価値を提供します。豊富なカスタムオプションによって、自分だけの特別な一本を手にすることができるのも大きな魅力です。また、雪平文字盤によって加わった新たな輝きも、その魅力を後押しするものとなるでしょう。ぜひ店頭で、あるいはオンラインで体験してみてください。
ミナセ マスタークラフトM3のスペック
詳細
仕様 | 自動巻式 KT7001(ETA2824・SW200ベース) |
---|---|
防水性 | 日常生活防水 10気圧 |
ガラス | サファイアガラス(両面無反射コーティング) |
ストラップ素材 | 美錠仕様 |
ケースサイズ | 横39×縦36×総厚10.5mm(ガラス含む) |
総重量 | 約60g |
この記事の監修
