
今回ご紹介するのは、日本発の高級時計ブランド「ミナセ(minase)」の『JAPAN ART』コレクション。なかでも、漆作家とのコラボレーションとなる『URUSHI 漆』は、日本の伝統工芸を強く感じる芸術的モデルとなっています。
本記事では、「セブンウィンドウズ」「ディヴァイド」「ファイブウィンドウズ」の3コレクションを解説するとともに、蒔絵や絞漆などの技法を取り入れた注目の5モデルをご紹介しましょう。
ミナセならではの立体的な造形と、日本の伝統工芸が織りなすURUSHIモデルの魅力をぜひご覧ください。
※本記事で登場する商品価格は、2026年8月時点のものです。最新価格は各商品ページをご確認ください。
ミナセの原点、ブランドの歴史

ミナセの母体は、切削工具メーカーである協和精工株式会社です。
1963年、金属などで使う精密加工ドリルの製造からはじまった協和精工株式会社は、その技術力を駆使して時計メーカーからの複雑な注文にも応えていきます。
これをきっかけに、時計に用いられる「ケース」を専門としたメーカーとしてもビジネスを展開。需要に応える卓越した技術を磨く傍ら、製造に必要な工具も独自に作りあげました。こうして培われたノウハウをもとに、2005年、時計ブランド「ミナセ」を立ち上げます。
ミナセのつくる最高峰モデル、3つの信条

ミナセの時計づくりには、他社にはないこだわりといえるテクノロジーが3つあります。
- ザラツ研磨
- MORE構造
- ケースインケース
「ザラツ研磨」とは、加工技術のひとつで外装の下地処理のことです。ザラツ研磨を施すことでなめらかで歪みのない美しいケースに仕上がります。
もともとケース製造をおこなっていたミナセにとって、培われたザラツ研磨の技術は非常に高度なもの。かつては高級時計のメッカであるスイスでも行われていましたが、ザラツ研磨は職人の技術が大きく反映されるほか、その育成の手間や、大量生産に向いた高効率な研磨方法の確立もあってか、徐々に採用されなくなりました。そのため、現在は日本の高級時計でしか用いられない技法となっています。

続く「MORE構造」は、“組木細工”から着想を得たもので、外装を多くの部品に分解できる構造のこと。 ミナセのコンセプトでもある「100年後も語り続けることのできる時計作りを目指す」を実現するために考案され、劣化したり摩耗したりした部品のみを交換し永く使えるように考えられました。

最後の「ケースインケース」は、その名の通りケースの中にケースがある構造です。インナーケースとアウターケースを組み合わせる複層構造により、ミナセの特徴であり魅力でもある、立体的かつ独創的なデザインを実現しています。さらに、セブンウィンドウズやファイブウィンドウズといった、腕時計の内部がのぞく仕様とするモデルでは、いっそうその構造が際立ちます。
URUSHI 漆を彩る3つのコレクション
さて、そんなミナセが展開する「URUSHI 漆」は、日本の伝統工芸である漆と、ブランドが培ってきた時計製造技術を融合させた、ラインナップの中でもひときわ特別感のあるシリーズです。
現在は「セブンウィンドウズ」「ディヴァイド」「ファイブウィンドウズ」をベースに、多彩なモデルを展開しています。それぞれの特徴をご紹介しましょう。
7つの窓から立体的な造形を楽しめる「セブンウィンドウズ」

「セブンウィンドウズ」は、7つのガラス窓を備えた、ミナセを代表するスクエアケースコレクションです。
角形ケースの6面のうち、リューズ側を2つに分けることで、風防や裏蓋、ケース側面に合計7つの窓を配置。多方向から光を取り込み、インナーケースやダイアル、インデックスが宙に浮かぶような立体感を生み出しています。

7枚のサファイアガラスから差し込む光によって、内部の造形がさまざまな表情を見せることも魅力です。
URUSHIでは、「小紋」をはじめとする蒔絵モデルも展開。独創的な構造と職人が手がける漆ダイアルが調和し、ミナセの時計製造技術と日本の伝統工芸を一つの腕時計で楽しめます。
多面体のような立体的な造形が目を引く「ディヴァイド」

「ディヴァイド」は、ラウンド型をベースに、複数の面とエッジを組み合わせた立体的なケースを採用しているコレクションです。

ケースインケース構造によって、ムーブメントを保持するインナーケースやダイアル、インデックスリングなどを立体的に配置。外装と内部のパーツが重なり合い、一般的なラウンドウォッチとは異なる奥行きを生み出しています。
URUSHIでは「緋色の幻」「錫かすみ」「貝の宙」などの絞漆に加え、銀蒔きモデルも展開。立体的なケースと漆芸による表情豊かなダイアルを組み合わせています。
窓から内部の美しさを覗く「ファイブウィンドウズ」

「ファイブウィンドウズ」は、ミナセが2011年に発表したスクエア型コレクションです。
ウィンドウコレクションには、日本庭園を眺めるように窓を通じて内と外をつなぐデザイン思想が込められています。ケース側面や裏蓋から光を取り込み、内部の立体構造やダイアルに豊かな表情を生み出すことが特徴です。

2017年には小ぶりなモデルが登場し、現在は「FIVE WINDOWS MID」として展開されています。
URUSHIモデルも展開されており、今回ご紹介する「流れ桜」では、スクエアケースの立体美と繊細な漆芸を融合しています。
日本の伝統工芸を腕元で楽しめる「URUSHI 漆」おすすめモデル5選
ミナセの「URUSHI 漆」には、漆作家の手仕事によって生み出された個性豊かなモデルがそろっています。
ここからは、注目の5モデルをピックアップし、それぞれの特徴や魅力をご紹介します。
3つの小紋を緻密な蒔絵で描いた『VM15-LBKMA2-SSD』

『VM15-LBKMA2-SSD』は、セブンウィンドウズの立体的な造形に、日本の伝統的な「小紋」を取り入れたモデルです。
漆蒔絵ダイアルには、植物から生まれた小紋をモチーフに、異なる3つの柄を組み合わせています。
整然とした模様をあえて3分割することで、伝統的な意匠に現代的な表情をプラス。一つひとつの柄は非常に細かく、筆で描ける限界に挑むほど緻密に仕上げられています。

また色彩も、大きな見どころです。華美な色使いを避け、青や灰色を基調とした落ち着きのある色調を採用。緻密な模様とシックな色彩が調和し、見る角度によって異なる小紋の美しさを楽しめます。
ケースの横幅は37.4mmと比較的コンパクトで、スクエアケースながら腕元に収まりやすいサイズ感。ブラックの本ワニ革ストラップを組み合わせ、個性豊かな小紋の意匠を引き締めることで、落ち着いた装いにも合わせやすい仕上げとなっています。
多彩な桜を蒔絵で描いた華やかな『VM15-LBKMA3-SSD』

『VM15-LBKMA3-SSD』は、セブンウィンドウズの立体構造に、日本の春を象徴する桜を描いた「吉野桜」の漆蒔絵モデルです。
漆黒のダイアルには、色や表情の異なる桜を一面に配置。整然と並ぶ花々は音楽隊の行進をイメージしており、統一感を持たせながらも、一輪ごとに少しずつ異なる意匠を楽しめます。

加工の異なる5種類以上の金や銀をはじめ、多彩な色や素材を用いることで、華やかさのなかにも奥深さを感じさせる仕上がりです。
また7枚のサファイアガラスを備えたスクエアケースによって、漆蒔絵ダイアルが宙に浮かぶような立体感を演出。ブラックの本ワニ革ストラップが華やかな桜を引き締め、上品な印象を添えています。
内部には、ETA2892をベースとした自動巻きムーブメント「KT7002」を搭載。華やかな漆蒔絵を鑑賞するだけでなく、機械式時計として日常的に楽しめる一本です。
そして5気圧防水も備えており、芸術性と実用性を両立しています。
錫が描く幻想的なかすみを表現した『VM14-M01KA2-SSB』

『VM14-M01KA2-SSB』は、ディヴァイドの立体的な造形に、絞漆による幻想的な景色を組み合わせた腕時計です。
ダイアルには、漆と卵白を混ぜた粘性のある材料によって凹凸を生み出す「絞漆」を採用。その上から錫鈖(すずふん)を蒔くことで、黒を基調としたダイアルに銀灰色のかすみが浮かび上がるような表情を生み出しています。
明確な形を持たない模様は、冬の山にも、風に流れる春霞にも見える奥深いデザイン。一つひとつ手作業で仕上げられるため、模様が時計ごとにわずかに異なり、一本ごとの個性を楽しめることも魅力です。

ステンレスブレスレットには、外装を部品単位で分解し、磨き直しや交換を経て再び組み立てられる、ミナセ独自の「MORE構造」を採用。ケースからブレスレットまで金属ならではの質感で統一され、銀灰色の錫が浮かぶダイアルとも美しく調和しています。
夜光貝と漆黒のダイアルで神秘的な宙を描く『VM14-RBKKA4-SSD』

『VM14-RBKKA4-SSD』は、立体的な造形に加えて、夜空のような幻想的な景色を描いた「貝の宙」のモデルです。
漆黒のダイアルには、夜光貝から選び抜いた青く輝く部分を散りばめ、その上から絞漆を塗布。さらに貝を研ぎ出すことで、深い闇のなかに青や緑の光が浮かぶ、神秘的な宙を表現しています。

また研ぎ出し方によって、貝の現れ方や輝きが変化することも大きな魅力です。絞漆も一つひとつ手作業で仕上げられるため、同じ「貝の宙」でありながら、時計ごとに異なる模様と輝きを楽しめます。
ストラップには、汗や水に強いEPDM製ラバーを採用。漆芸を取り入れたモデルでありながら、スポーティーで軽快な雰囲気を楽しめます。
総重量も約96gに抑えられており、ディヴァイドらしい存在感と軽やかな着用感を兼ね備えた一本です。
風に舞う桜の儚さと力強さを描いた『VM07-LBKMA6-SSD』

『VM07-LBKMA6-SSD』は、コンパクトな「ファイブウィンドウズ Mid」に、春風に舞う桜を表現した「流れ桜」の漆蒔絵モデルです。
鮮やかなレッドのダイアルには、咲き誇る桜や風にさらわれて舞う花びらを繊細に表現。なかでも印象的なのが、桜吹雪の軌跡を描く流れるようなラインです。筆先の一点だけに圧力をかけ、一息のうちに線を引くことで、風に乗って舞う桜の動きや力強さを感じさせる意匠に仕上げています。

また立体的なインデックスやスクエアケースのシャープな造形と、華やかな漆蒔絵とのコントラストも見どころ。ブラックの本ワニ革ストラップが鮮烈なレッドを引き締め、上品な印象を添えています。
さらにケースの横幅が32mmに抑えられた、コンパクトな「ファイブウィンドウズ Mid」であることも本作の特徴です。小ぶりなスクエアケースに鮮やかな漆蒔絵の世界を凝縮しており、手首が細めの方にも合わせやすいでしょう。
URUSHI 漆、伝統工芸と職人技が魅せる日本の美しさ

ミナセの時計は、どれも独創的で日本の美しさが詰まっており、まさに芸術作品のよう。とくに今回ご紹介した「URUSHI 漆」は、漆作家とのコラボレーションであり唯一無二の最高峰モデルです。
今回は各シリーズの一部のモデルしかご紹介できませんでしたが、他モデルも美術館で保管されそうなほどに繊細で秀逸なものが揃っています。
漆文字盤の美しさとミナセの技術を詰め込んだケースの立体感、ぜひ手にとってご覧ください。
※本記事で登場する商品価格は、2026年8月時点のものです。最新価格は各商品ページをご確認ください。
この記事の監修

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