

はじめまして。ハラダの藤本です。
このたび、スイスの独立時計ブランド〈NORQAIN〉とともに、徳島発の限定モデルをつくりました。
名前は「Independence Wild ONE “HARADA” Limited Edition」。
テーマは、私たちの故郷を貫く大河――吉野川です。
なぜ『吉野川』だったのか?

ハラダは徳島の地で生まれ、長く時計とともに歩んできたお店です。
だからこそ、もし“徳島にちなんだ時計”を作るなら、何をモチーフにすべきか――と考えたとき、
自然と浮かんだのが吉野川でした。
古くから、徳島の文化や歴史、そして人々の暮らしは、この川の流域を中心に形づくられてきました。
その流れがあったからこそ、産業が生まれ、街が栄え、人の想いが繋がってきた。
徳島の魂を象徴する存在といえば、やはり吉野川以外にありません。
この川をテーマに、「徳島からしか生まれない色」を時計で表現したい――。
そんな想いが、すべての出発点でした。
モデル選定 ― 吉野川の“激しさ”に呼応したワイルドワン

ノルケインの中にはさまざまなコレクションがありますが、
もし吉野川の物語を表現するなら、どのモデルがふさわしいだろう。
そう考えたとき、真っ先に浮かんだのがワイルドワンでした。
ブランドの中で最もアクティブで、構造的にも独創性が際立つモデル。
そして何より、「挑戦」や「冒険心」といったノルケインの哲学が最も強く息づいているシリーズです。
吉野川の力強い流れや自然の厳しさを描くには、
この“野性”を宿したワイルドワンこそが最適だと確信しました。
小歩危の激流 ― 吉野川の中の、吉野川

吉野川を語るうえで欠かせない場所があります。
それが、徳島県の中流域に位置する小歩危(こぼけ)渓谷です。
ここは日本屈指の激流ポイントとして知られ、
過去にはラフティングの世界大会も開催されたほど。
“小さな歩幅で歩いても危ない”という由来の通り、自然の猛々しさと美しさが共存する場所です。
私にとって小歩危は、吉野川の中でも特別な存在。
岩に砕ける水しぶき、陽光に照らされたターコイズブルーの流れ、
そしてその下に沈む濡れた黒い岩肌――。
その光景を見た瞬間、「この色を時計で再現したい」と強く思いました。
試作を重ねて見えた“自然の色”

試作の初期段階で上がってきたダークグレーは、少し明るすぎました。
悪くはない。でも、あの岩肌の重さ、雨に濡れたような艶が足りない。
「もっと深く、自然に近い黒を」
そう伝えて、試作を何度もやり直しました。
ターコイズもまた、単なる青ではありません。
澄んだ清流の透明感と、陽にきらめく緑がかったブルーの絶妙なバランス。
その“吉野川の色”を表現するために、色味のわずかな差にこだわり抜きました。
結果、ターコイズとダークグレーが互いを引き立て、
自然の息づかいを感じられる配色が完成しました。
現地撮影で確信した「この色にして本当に良かった」

完成後、撮影場所に選んだのはもちろん小歩危でした。
川の流れが速く、雨上がりで水量も多い日。
私とカメラマンはびしょ濡れになりながら、何度も光の角度を変えて撮影を続けました。
その時、ふと水面の奥に――
時計と同じようなターコイズブルーの光を感じたんです。
激流の奥でわずかに差し込むその色は、岩肌の黒に包まれながらも、確かな存在感を放っていました。
あの瞬間、「この色にして本当に良かった」と心の底から思いました。
自然の中で、時計がまるで川の一部として呼吸しているように見えたんです。
その光景を見たとき、このプロジェクトのすべてが報われた気がしました。
ノルケインチームとの共鳴 ― “冒険心”でつながる絆

開発の打ち合わせの中で、ノルケインのチームはこの吉野川の話を本気で聴いてくれました。
「自然への敬意」「挑戦する心」「独立した精神」――
それはノルケインが掲げる哲学、“Adventure – Freedom – Independence”そのもの。
彼らもまた、「徳島の自然とノルケインの精神が共鳴している」と感じてくれたのです。
スイスと徳島、遠く離れた2つの地が、一本の川でつながったような感覚でした。

ハラダ本店で行ったローンチイベントでは、
副社長のトビアス氏や、ノルケインジャパンの濱鍜氏、
そして『WATCHNAVI』の水藤編集長にもご登壇いただきました。
徳島という地で、“吉野川の色”を語り合えたことは、何より誇りです。

“流れに負けない芯の強さ”を中に宿して
外観だけでなく、中身にも芯を通したかった。
搭載するのは、スイスのケニッシ社と共同開発したキャリバーNN20/1。
COSC認定クロノメーターで、約70時間のパワーリザーブを誇ります。

さらに、NORTEQ®ケース構造とラバーショックアブソーバーによって、
5,000Gの耐衝撃性能と200m防水を実現。
まさに、“吉野川の流れにも負けない”強さを内に秘めています。
2本のストラップ、2つの表情

付属するストラップは、ターコイズとダークグレーの2本。
1本で2つの表情を楽しめるようにしています。
ターコイズは休日や旅に、ダークグレーはビジネスシーンにも映える万能色。
どちらを装着するかで、その日の気分や流れが変わるのではないでしょうか。
徳島から世界へ ― 吉野川が運ぶ、挑戦の精神

この時計はハラダ本店限定30本。
徳島の地でしか生まれ得なかった色、そして物語です。
ターコイズブルーは川の流れ。
ダークグレーは濡れた岩肌。
その中に刻まれているのは、“流れに抗わず、しかし流されない芯の強さ”。
時計という形で、徳島の自然を世界に届けたい。
そんな想いを、この一本に込めました。
ぜひ、ご検討くださいませ。
この記事の監修




