オメガを象徴するダイバーズウォッチである「シーマスター ダイバー300M」。類まれな知名度を誇り、映画「007」の劇中でジェームズ・ボンドにも着用されるなど、話題の尽きないコレクションとなっています。
2024年、本コレクションの新作として、3種の個性的なモデルがラインナップされました。いずれも、劇中で着用された最新の「ボンドウォッチ」をデザインのベースとしており、新たな個性をコレクションに加えるものとなっています。ここでは、それら3種のモデルについて、詳しく解説いたします。
映画「007」で存在感を見せた“ボンドウォッチ”
誰もが知るスパイ映画、「007」の劇中では、多くの腕時計が”ボンドウォッチ”として、歴代ジェームズ・ボンドのミッションをサポートしてきました。
そして、2021年に公開された「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」では、ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグも監修に加わったダイバー300Mが、劇中で着用され、大きな話題となりました。
今回登場した3モデルは、この最新ボンドウォッチをデザインのベースとしています。ブラック、シルバー、ブロンズ×チタンの3種が展開される新作は、ダイバー300Mの個性により深みを与える存在と言えるでしょう。
ダイバー300Mに新たに生み出された個性
今回の新作モデルでは、「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」のボンドウォッチが持つ、ドーム型サファイアガラスや、メッシュブレスレットといった仕様が流用されています。通常のダイバーズウォッチに比べ、ヴィンテージライクなそのデザイン性は大きな魅力となるでしょう。
一方で、3時位置にリュウズガード、10時位置にヘリウム脱気栓を備えた、ダイバー300Mの基本的な造形、機能性もそのまま引き継がれています。
バリエーションは、ブラックの精悍な表情を持つ「210.30.42.20.01.010」に、シルバートーンで統一された「210.30.42.20.06.002」、ブロンズゴールドとチタンのコンビモデルである「210.90.42.20.10.001」の3種。以下に、1本ずつその特徴を確認していきましょう。
210.30.42.20.01.010【ブラックモデル】
210.30.42.20.01.010は、ブラックのダイアルとベゼルを持つ、精悍かつスタンダードな印象のダイバー300Mです。特徴は、ダイアルに刻まれた波模様でしょう。過去のダイバー300Mで採用されていた、間隔の狭い波模様が再現されており、往年のボンドウォッチさながらの魅力を備えています。
また、本作のフェイスは、差し色のない完全なモノクロカラーで構成されており、シーンを選ばない汎用性も、その魅力に数えられるでしょう。
ベゼルは、アルマイト加工が施されたインサートを備えています。インデックス、針と合わせて、ダイバーズスケールにもスーパールミノバが充填されているため、暗所でも頼れる相棒となってくれるでしょう。なお、オリジナルのボンドウォッチにはグレード2チタンが使用されていましたが、本作はステンレススティールケースモデルとなっています。
210.30.42.20.06.002【シルバーモデル】
210.30.42.20.06.002は、ダイアル、ケース、ベゼル、ブレスレットに至るまで、ほぼ全ての要素がシルバーで統一されたモデルです。洗練され抜いたミニマルな表情を備えており、これまでのダイバー300Mとは一線を画す個性を獲得しています。
また、一切の差し色を持たない本作ですが、ベゼルはフロスト仕上げ、ダイアルは縦のヘアライン仕上げ、そして針、インデックスはポリッシュで縁取りされるなど、仕上げに差をつけることで、文字盤にシルバーのコントラストが演出されています。
注目はベゼルでしょう。パリオリンピック2024を記念するダイバー300Mと同様に、フロスト仕上げをベースに、ポリッシュ仕上げされたスケールがエンボス加工のように浮かび上がっており、個性と視認性が両立されています。当然、インデックスにはスーパールミノバが充填されており、暗所ではまた違った表情を見せてくれることでしょう。
210.90.42.20.10.001【ブロンズゴールド×チタン】
210.90.42.20.10.001は、ブロンズゴールドとグレード2チタンという、珍しい組み合わせを採用したコンビモデルです。ベゼル、ヘリウムエスケープバルブ、リュウズにオメガ独自のブロンズゴールドが採用されており、腕時計全体に控えめながら輝きが添えられています。
マットな質感を持つシュウ酸アルマイト処理のベゼルと、サンブラスト加工のダイアルは、シックなグリーンを見せています。加えて、針・インデックスやダイバーズスケールはブロンズゴールドカラーで彩られており、ヴィンテージ感のあるスーパールミノバが充填されたことで、腕時計全体に味わい深い魅力が漂っています。
ケース、ブレスレットは、ボンドウォッチと同様のグレード2チタン製です。非常に軽やかな一方、優れた堅牢性を備えており、ツールウォッチとしての完成度が高められています。往年の名機さながらの風格と、優れた機能性を両立した、魅力的なダイバー300Mです。
機能性はダイバー300Mを継承
新デザインを持つ3モデルですが、本格派ダイバーズウォッチであるシーマスター ダイバー300Mの高い機能性はそのまま引き継がれています。プロフェッショナル向けのツールとしての魅力を重んじる人にとっても、魅力的な選択肢となり得るでしょう。
本格ダイバーズウォッチ
ダイバー300Mらしく、防水性は300m防水を備えており、逆回転防止ベゼルやヘリウムエスケープバルブといったダイバーズツールにふさわしい機能性を備えています。日常生活においては活かしきれない、いわばオーバースペックと呼べるものですが、高性能の腕時計を持つ満足感を強く感じることができるでしょう。
マスタークロノメーター認定
3種のモデルには、共通してコーアクシャル脱進機を持つ「キャリバー8806」が搭載されています。
これにより、スイス公式のクロノメーター検定協会(COSC)とスイス連邦計量・認定局(METAS)の2組織による厳格なテストをパスしており、いずれのモデルもマスタークロノメーターに認定されています。その精度や耐久性は折り紙付きといえるでしょう。
特筆すべきは耐磁性能です。15,000ガウスの磁場をものともしない耐磁性を誇り、電子機器がありふれる日常生活の中でも高い精度を維持します。さらに、コーアクシャル脱進機によって、通常の腕時計に比べてオーバーホールの頻度を抑えられるようになっています。
ブレスレットはメッシュタイプを採用
ブレスレットには、なめらかな着用感のメッシュタイプを採用しています。「ミラネーゼ」とも呼ばれるこのブレスレットは、ポリッシュとサテン仕上げが精密に施されており、仕上げにもコストがかかっているのを感じ取れます。その素材には、ケースと同じものが使用されており、操作性に優れるクラスプも取り付けられています。
新デザインのダイバー300Mが持つ厚み・サイズ感は?
ケースサイズは直径42mm・厚さは13.8mmです。一般的なダイバーズウォッチに比べ、少々スリムであり、デザインと相まってさまざまなコーディネートに合わせやすい印象です。
重さは、ブラック、シルバーモデルが150gほど、チタン×ブロンズモデルのみ109 gにまで抑えられています。一般的なダイバーズウォッチの重量感と言えます。
従来のボンドウォッチにも注目!
3モデルのデザイン源となった、映画007とのコラボモデルにもぜひ注目したいところです。
シーマスター ダイバー300M 007エディション
「210.90.42.20.01.001」
トロピカルブラウンカラーで覆われた、ヴィンテージ感に溢れるダイバー300Mです。実際に劇中で着用されたモデルであり、グレード2チタン製のケースは、ミッションをサポートする堅牢性と軽やかさを両立しています。
高い機能性を備える一方で、6時位置のブロードアローをはじめとする特別な仕様が採用されるなど、ジェームズ・ボンドファン必見の1本に仕上がっています。
シーマスター ダイバー300M ボンド映画60周年記念モデル
「210.30.42.20.03.002」
映画「007」の公開60周年を記念した、特別なダイバー300Mです。1995年の映画『007/ゴールデンアイ』でジェームズ・ボンドが身に着けたモデルがデザイン源となっており、当記事で紹介したブラックモデルのように、ダイアルに波打つディテールが施されています。
一見して特別感をそこまで感じないモデルですが、本作は、ダイバーズウォッチとしては珍しくシースルーバックを採用しています。そこからは、ボンドのシルエットと回転するガンバレルという、アイコニックな映画のオープニングシーンを見ることができるようになっており、007ファン垂涎の1本に仕上がっています。
5年間の無料保証と高いメンテナンス性
オメガは購入後5年間の無料保証が提供され、この5年間で自然に発生した故障や不具合に関しては、無料でサポートが受けられます。また、機械式腕時計は定期的なオーバーホールが推奨されていますが、コーアクシャル脱進機を搭載する本機は、一般的な腕時計より長い5〜8年間に一度のオーバーホールで問題ないとされています。
まとめ
当記事では、オメガが映画「007」とコラボしたシーマスター ダイバー300Mをデザイン源とする、3つの新作ダイバー300Mを紹介いたしました。通常のダイバー300Mに比べ、洗練されたヴィンテージ調のルックスを持つ3モデルは、これまでのシーマスターユーザーにとっても、新鮮な選択肢となってくれるでしょう。
ボンドウォッチ2種も含めた5モデルを、ぜひ一度手に取っていただけると幸いでございます。