タイトルエコ・ドライブ構造の画像

【素晴らしきCITIZENの技術】
光発電システム「エコ・ドライブ」

シチズンは創設以降さまざまな新技術を世に発信し続けてきました。なかでも、1976年に開発された「エコ・ドライブ」は特に革新的なテクノロジーで、太陽光や室内のわずかな光を電気に換えて時計を動かし、余った電気を二次電池に蓄える、シチズン独自の技術です。
一般的なクオーツ時計は定期的な電池交換とそれに伴う電池の廃棄が必須ですが、エコ・ドライブであれば一度のフル充電で光の無いところでも長時間動き続け、定期的な電池交換が不要。まさに”エコ”なテクノロジーであると言えます。

光発電システム「エコ・ドライブ」の仕組み

エコ・ドライブのロゴ画像

エコ・ドライブは文字板の下にあるソーラーセル(太陽電池)で発電後、集積回路による制御で二次電池への充電と基本的な時計駆動を行います。
また、電気灯の光でも発電、充電が可能で、二次電池に蓄えられた電気によって暗闇の中であっても時計を動かし続けます。

効率化がもたらした「エコ・ドライブ」の省電力技術

エコ・ドライブのパワーセーブ機能の画像

一般的に光発電はソーラーセルに光が当たる面積が広いほど発電量が増えますが、ソーラーセルを配置できる面積が極めて小さい腕時計では十分な発電量を得ることができません。
そこでシチズンは限られた電力で時計を動かすために、あらゆる部分を根本から改良しました。
針、歯車の軽量化、集積回路のカスタマイズ、モーターの最適化、加えて時計自身の省電力機能として、2秒ずつ秒針を動かして、省電力、充電警告を行う機能や、発電できないときは針を止めて節電する機能を搭載し、少ない電力での長時間駆動を実現しました。

「エコ・ドライブ」性能とデザイン性の両立

初代光発電式時計とエコ・ドライブを比較した画像

省電力技術の向上とともに、シチズンは光発電式時計としてのデザイン性の向上を目指しました。
前述の通り光が当たる面積に性能を左右されるのが光発電式時計。当初は針のすぐ下にソーラーセルを剥き出しで配置する、普通のデザインからかけ離れたモノにせざるを得ませんでした。
しかし、透過性を持つ文字板の下にソーラーセルを配置することでデザイン性が一気に向上。その後の文字板やソーラーセルの改良によりエコ・ドライブは光発電性能とデザイン性の両立を成功しました。

光を取り込む文字板の進化

エコ・ドライブのさまざまな文字板を並べた画像

エコ・ドライブに採用される文字板は透過性が重要で、 一見透明に見えないのに光を通す文字板や、プラスチックの板の間にフィルムを挟み込むことによって金属光沢を見せる文字板などが選ばれています。
その背景には、ソーラーセルの発電効率と省電力技術の向上により要求される光透過率のハードルが下がったという事実があります。

ザ・シチズンの和紙文字盤をアップで見た様子

近年では、日本の伝統工芸品に指定された「土佐和紙」を文字板に採用したモデルも登場。
シチズン最高峰時計「ザ・シチズン」の特徴のひとつになっています。

ソーラーセルの進化

エコ・ドライブのソーラーセルには、人工光でも比較的効率よく発電できるアモルファスシリコン系が用いられており、エコ・ドライブの短時間充電長時間駆動の要になっています。
また、発電効率の上昇とともにソーラーセルの様々な形状、配置方法が開発されています。
特に透明ソーラーとリングソーラーは文字板に求められる透過率の縛りが無いため、デザインの自由度を格段に高めています。

エコ・ドライブのさまざまなソーラーセルの比較画像

近年では上面からではなく側面から光を取り込むリングソーラー型も登場。さらなるデザイン性を獲得しました。

エコ・ドライブの側面リングソーラーの構造画像

「エコ・ドライブ」さまざまな機能

シチズンは、エコ・ドライブにより得られた限りある電力で、アラームやクロノグラフ等の便利機能に始まり、方位計といった高度な計測機能、Bluetooth付きのものまでを駆動させてみせました。
しかもその多くをデジタルではなく針を動かして表示するアナログ形式で実現。シチズンは時計の基本性能だけにとどまらず、さまざまな機能にその省電力技術を活かしてきたのです。

「エコ・ドライブ」進化の歴史

歴代エコ・ドライブの比較画像

第一次オイルショック後の1973年、シチズンは腕時計の新たなエネルギー源として「光発電時計」の開発をスタートしました。1970年代、日本で主流になっていた電池式のクオーツ時計は、電池交換や不要な電池の廃棄が課題となっていました。
光発電時計の開発には電池式時計のそんな課題を解決する、新しいエネルギー源としての期待が込められていました。
そしてシチズンはソーラーセルを始めとした様々な技術的問題と向き合い、1974年にプロトタイプモデルを完成。76年には世界で初めてのアナログ式光発電時計を発表しました。

その後1980年代には、室内光での発電に適したソーラーセルと時計により適した電池が登場したことでエコ・ドライブは大きく前進しました。
新しい技術は時計の寿命や発電量の問題を解決し、シチズンは1986年に世界で初めてフル充電200時間駆動の時計を実現しました。

1995年にはリチウムイオン二次電池を採用し、フル充電6ヶ月間駆動を実現。現在の「エコ・ドライブ」につながる金字塔モデルが誕生しました。
シチズンはその後、続々と様々な機能を持つ光発電時計を開発。数多くの光発電時計としての世界初を発表してきました。これからもシチズンは光発電のパイオニアとして、世界が驚く技術を開発し続けるでしょう。

歴代エコ・ドライブの比較画像