ステータスの象徴ともいえる腕時計。多彩な機能が搭載された便利なスマートウォッチも数多くリリースされていますが、アナログ式にも特有の良さがあり、いつまでも色褪せない魅力を解き放っています。
その代表格ともいえる腕時計の機能が、月の満ち引きを見事に表現したムーンフェイズです。レトロで格式高いデザインは、エレガントな雰囲気がその魅力。ビジネスシーンやプライベートなどシーンを問わず、手元をおしゃれに着飾れる機能なので、購入を検討している方も多くいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、ムーンフェイズの概要や魅力、注意点・メンテンナンス方法などを解説します。記事後半では、ムーンフェイズ機能搭載のモデルを3つ厳選してご紹介するので、時計選びの参考にしてください。
ムーンフェイズ時計の魅力とは
ムーンフェイズ（moon phase）とは、文字通り月の満ち欠けを表す機構です。トゥールビヨンやスプリットセコンド・クロノグラフ、パーペチュアルカレンダー（永久カレンダー）などと共に、7大複雑機構に数えられています。
その機能は、ディスクが回転し、新月から満月を経て再び新月に至るまでの月の形を表現するようになっています。モデルによっては、まるで夜空に月が浮かんでいるかのような情景を感じられるものもあり、視覚的にも持ち主の心を満たしてくれるでしょう。
ちなみに、ムーンフェイズとよく似た言葉に「ムーンフェイス（moon face）」があります。こちらは、ムーンフェイズのディスクに描かれている月の顔を指す言葉です。レトロな雰囲気やアンティーク好きの方には、ムーンフェイスが描かれたモデルもおすすめです。
ムーンフェイズの歴史
ムーンフェイズのメカニズムそのものは、腕時計に搭載されるずっと前の16世紀ごろには誕生していたとされています。
トゥールビヨンなどの革新的技術の生みの親であり、天才時計師として知られるアブラアム＝ルイ・ブレゲによって、18世紀ごろに初めて時計に組み込まれました。当時は腕時計ではなく懐中時計に搭載されており、現在のようなムーンフェイズ搭載の腕時計が世に出たのは1940年代ごろと、比較的最近の出来事となっています。
今でこそ暦や月の満ち欠けに関する情報は、インターネットを介してすぐに手に入りますが、昔はそうではありませんでした。農業を営んでいたり航海に出たりする人たちにとって、月の満ち欠けや位置から得られる情報は非常に有用だったのです。ムーンフェイズ機能は、こうした産業に関わる人達を影から支えていたのかもしれません。
月の満ち欠けを美しく描くムーンフェイズ機能
月の満ち欠けを美しく描くムーンフェイズ機能は、月の満ち欠けをすぐに確認できる現在でも人気の高い機能です。もちろんスマートウォッチでも月の満ち欠けは正確に把握できますが、どこか味気ない印象を受ける方も少なくないのではないでしょうか。
日々形を変える月と同じく腕時計の中でもさまざまな表情を見せるムーンフェイズは、特有のロマンを感じさせます。
エレガントなムーンフェイズ時計の仕組みと精度
月相のサイクルを表すムーンフェイズの、具体的な仕組みをご紹介します。
ムーンフェイズは、文字盤の裏側にあるディスクが一定周期で一周することで、実際の月の満ち欠けと同じ様な表情を見せるという仕組みです。新月から次の新月までを29.5日で表しますが、ディスクには2つの月が描かれており、59個の歯車が連動して一日ごとに少しずつ動作します。周期は59日で一回転。ただし、これは一般的な仕組みであり、モデルによって詳細は少しずつ異なります。
ちなみに、実際の月の周期は、正確には29.530589日なので、数年に一日程度のずれが生じます。そのため、定期的な調整が必要ですが、1000年で一日もずれない高精度なモデルも登場しています。
ムーンフェイズは実用的？
ここで気になるのが、「ムーンフェイズは実用的なのか」という問題です。月の満ち欠けや暦の情報をインターネットで簡単に確認できる現代、ムーンフェイズから情報を得る必要性や緊急性は少ないかもしれません。また、正確性に関してはデジタル情報に劣ります。
上記の観点から見ると、実用的とはいえないでしょう。しかしデジタル社会でせわしなく過ごす日々の中で、腕の中で月の満ち欠けを眺める時間は余裕を感じさせてくれます。
ムーンフェイズ機能は日常生活で活用するというよりも、幻想的な月の満ち欠けを感じられる装飾品として楽しむといいでしょう。
ムーンフェイズの注意点・メンテナンスについて
ムーンフェイズの魅力を知ったところで、興味が増し、実際に購入を検討している方もいらっしゃるでしょう。しかし購入にあたっては、ムーンフェイズ特有の注意点を把握しておく必要があります。
まず1点目は、ムーンフェイズは月齢を表していると思われがちですが、実は月相を表している点です。月齢は月の満ち欠けの目安を知るための数字で、新月から何日経過したかを示すものです。
一方で月相とは、太陽光を反射している月面を地球から観察した様子を表しています。要するに、「太陽によって照らされている部分の形がどう目に映るか」が分かるもので、満月・新月・上限の月・下弦の月などが表現されます。
2点目は、ムーンフェイズのサイクルと月周期には若干のずれがある点です。数年に一度、月周期に合わせるメンテナンスが必要になる点を知っておきましょう。
メンテナンス方法はモデルによって違いがあり、リューズを回して調整するものもあれば、小さなくぼみを押して設定する方法もあります。詳しくは取り扱い方法をよく確認しておくべきでしょう。
ムーンフェイズ機能搭載のおすすめモデル3選
ここでは、正規販売店であるハラダが厳選するムーンフェイズ機能搭載のおすすめモデルを以下の3つご紹介します。
・シチズン カンパノラ AH4086-13L
・マスターコレクション L2.673.4.71.2
・オメガ ブルーサイドオブザムーン
各モデルのデザインや機能など、詳細を見ていきましょう。
ムーンフェイズ搭載の多機能モデル「シチズン カンパノラ AH4080-61L」
シチズンは、「永く広く市民に愛されるように」をテーマに掲げ、1918年に誕生した国産の腕時計ブランドです。同ブランドの最高峰シリーズ「ザ・シチズン（THE CITIZEN）」や、スポーティーさとエレガントさを兼ね備える「アテッサ（ATTESA）」など、さまざまなモデルを展開してきました。
そんなシチズンが送る「カンパノラ（CAMPANOLA）」は、果てしなく広がる宇宙の神秘さが見事に表現されたシリーズです。ここではロングセラーモデルのマイナーチェンジとして登場した、ムーンフェイズ搭載の多機能モデル「AH4080-61L CAMPANOLA 紺瑠璃」をご紹介します。
搭載されている主な機能は、パーペチュアルカレンダー（永久カレンダー）やミニッツリピーターなど世界三大複雑機構に数えられるものに加えて、実用性の高いクロノグラフやムーンフェイズなどです。機械式であればここまで多機能なモデルは非常に高額になってしまいますが、クオーツモデルによって比較的リーズナブルに複雑機能を再現しています。
文字盤は青漆に金属粉末が練り込まれており、月夜に照らされ輝く大海原の美しさが描かれています。職人が一つ一つ手作業で緻密に仕上げており、同じ表情を持つ文字盤は2つとありません。約29.5日周期にあわせて2つの顔の月が現れるムーンフェイズ機能と相まって、まるでそこに月光を浴びる海があるかのような感覚を味わえるでしょう。
クロノグラフは、2つのプッシュボタンを駆使して通常計測、積算計測、スプリット計測ができます。西暦2000年を境に前後100年できるパーペチュアルカレンダーが搭載されており、うるう年の調整は必要ありません。日本庭園の水琴窟から着想を得たミニッツリピーターは、高低2種の音で時刻を知らせてくれます。ムーンフェイズ以外にも多彩な機能が備わっているため利便性が高く、ユニークな多機能ウォッチとして幅広い場面で活躍するでしょう。
ロンジンならではの上品さと機能性を併せ持つ一本「L2.673.4.71.2」
Longines（ロンジン）は、1832年にスイスで生まれた腕時計ブランドです。航空業界やスポーツ業界など幅広い業界に対し、時計という文脈で発展を後押ししてきました。
スイス時計製造技術を継承したロンジン マスターコレクションは2005年の発売以来、多くのユーザーに愛されるモデルが誕生しています。その中でも「マスターコレクション L2.673.4.71.2」は、ロンジンならではの上品さと高い機能性を併せ持つ一本です。
6時方向にはムーンフェイズが搭載されており、美しい夜空をイメージさせるデザインとなっています。センターに60秒計、ムーンフェイズと同じ位置に12時時間計、12時位置に30分計とカレンダー機能と多くが搭載されていますが、バランス良く配置されているため、視認性は損なわれていません。
高い機能性はさることながら、デザイン性にも優れている一本でもあります。シルバーの文字盤とブルーのスティール針は、高い視認性をもたらすと共に、シンプルで洗練された雰囲気を醸し出しています。アプライドタイプのローマンインデックスからは、古典的な美しさと豪華さを感じ取れるでしょう。
搭載されているムーブメントは、自動巻きメカニカルムーブメントのキャリバーL687です。ヒゲゼンマイはモノクリスタルシリコン製なので、高い耐久性と耐磁気性を有しています。パワーリザーブは約66時間と3日近くあるため、週末に外しても月曜日から再び正確に時を刻み続けてくれるでしょう。
宇宙を閉じ込めたような青一色のスピードマスター「オメガ ブルーサイドオブザムーン」
OMEGA（オメガ）は、1848年にスイスのラ・ショー・ド・フォンで誕生した老舗腕時計ブランドです。海洋への飽くなき探求心を追求したシーマスターや、洗練されたクラシックなデザインが魅力的なコンステレーションなど、さまざまなシリーズをリリースしています。
その中でもスピードマスター プロフェッショナルは、NASAの月面着陸時に携帯された歴史を持つことから「ムーンウォッチ」の愛称で親しまれています。その中でも、宇宙を閉じ込めたかのようなブルーに包まれたモデル「ブルーサイドオブザムーン」のデザインや機能を詳しく見ていきましょう。
文字盤は全体的にツヤ消し感があり、マッドな雰囲気に仕上がっています。ダイヤル中央に位置するムーンフェイズと深いダークブルーと相まって、限りない宇宙を探索する船に乗っているような感覚を味わえるでしょう。ダークブルー単色にも見えますが、光量や角度によっては大人っぽい雰囲気を放つクラシックブルーにも変化するなど、1本で複数の表情を楽しめる点も魅力です。
ケースサイズは44.25MMと大型なので、存在感が際立ちます。そのケース素材にはブルーセラミックが使用されており、その点ではオメガの高い製造技術を実感できる一本といえます。
また、優雅でスタイリッシュなデザインに目がいきがちですが、機能面でも優れています。搭載されているムーブメントCal.9904は、スイスクロノメーター認定の基準を満たしており、高い正確性と耐久性を有しています。日常使いの範囲内なら、まず問題なく利用できるでしょう。
加えてムーンフェイズ機能に加えて、クロノグラフ・タキメーター・スモールセコンド・カレンダー表示なども充実しており、そのロマンは格別です。
【オメガ】ブルーサイドオブザムーンの価格やスペックなどの詳細情報を知りたい方は、以下のページを参考にしてください。
ムーンフェイズ搭載モデルで月の満ち欠けを楽しもう
本記事では、ムーンフェイズ機能の概要や魅力などをご紹介しました。
せっかくムーンフェイズ機能搭載モデルの腕時計を購入するなら、機能性とデザイン性に優れているものがおすすめです。本記事で紹介した「シチズン カンパノラ AH4086-13L」「ロンジン マスターコレクション L2.673.4.71.2」「オメガ ブルーサイドオブザムーン」は当店販売員が厳選したモデルですので、手にとっていただくとその良さが分かるでしょう。
今回紹介したムーンフェイズだけでなく、腕時計を探している方は、ぜひ高級時計正規販売店HARADAをご利用ください。「CITIZEN（シチズン）」「Grand Seiko（グランドセイコー）」を始めとした国産ブランドはもちろん、「OMEGA（オメガ）」「FRANCK MULLER（フランクミュラー）」など本場スイスの腕時計ブランドの商品を多数取り扱っております。ムーンフェイズ搭載モデルやダイバーウォッチ、パイロットウォッチなどジャンルも豊富なので、きっとあなたにぴったりな1本と出会えるでしょう。
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