10気圧防水の性能や着用できるシーンとは。10気圧防水のおすすめモデルも紹介

水ぬれが心配で時計を気軽に着けられない方には、防水性能を持つ腕時計がおすすめです。しかし、防水時計にはさまざまな種類があります。どの程度のレベルの防水性能を持つ時計を選べばよいか、悩む場合もあるのではないでしょうか。

本記事では10気圧防水の概要や使えるシーン、防水時計の選び方や使用上の注意点を解説します。おすすめのモデルも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

腕時計の10気圧防水とは

腕時計の防水性能にはいくつかのレベルがあります。想定する使い方に合うレベルの防水性能のものを選ばなければ、腕時計が故障する可能性があるので注意が必要です。

まずは腕時計における防水性能の種類を解説します。

防水性能の種類

防水性能の表示にはJIS規格とISO規格があり、両規格の内容はほぼ同じです。JIS規格の防水性能に関わる基準は、「気圧（bar）」で表示される「日常生活用」と、「深さ（m）」で表示される「潜水用」の2種類に大別されます。

以下では腕時計における防水性能の種類を、JIS規格に基づき以下にまとめました。

参考：日本時計協会 （JCWA）. 「防水時計の種類と取扱い上の注意点を教えて」

10気圧防水の意味と使えるシーン

10気圧防水とは、文字どおり10気圧の水圧がかかっても時計に水が浸入しない防水性能があるということです。10m潜ると1気圧かかるので、10気圧防水の腕時計は、水深100mの環境でも水が浸入しない性能だと分かります。

10気圧防水の腕時計であれば、顔を洗ったり皿洗いをしたりするときの水はねを気にせず使用できます。水上スポーツなど水がかかる程度のアクティビティや素潜りでの着用も可能です。

文字盤または裏ぶたに以下のように記載されていれば、10気圧防水です。

・WATER RESIST 10BAR
・WATER 10BAR RESIST
・W.R.10BAR

100m防水との違い

水中では水深10m当たり1気圧がかかるため、10気圧防水は100m防水と同じだと思うかもしれません。しかし、それぞれの規格が異なることに注意が必要です。10気圧防水は「日常生活での防水を想定した規格」ですが、100m防水は「潜水を想定した規格」です。

日常生活で使うことを想定した10気圧防水は、100mの潜水に耐えられません。水中で腕時計を着けたまま動くと、その深さで静置するときより大きな水圧がかかるためです。

浅瀬でマリンスポーツを楽しむ程度であれば、10気圧防水の腕時計でも問題なく使えるモデルがほとんどでしょう。しかし、深く潜るダイビングを考えているなら、潜水用の腕時計が必要です。

海やプールでの使用は慎重に

10気圧防水の腕時計は、理論的には浅い海やプールで泳いだ程度では水が入りません。ただし、水に飛び込む、シャワーを当てるなどすると、腕時計に強い圧力が加わって瞬間的に時計の耐水性能を超えてしまう恐れがあります。

部品同士を連結するゴム製のパッキンが圧力で変形すると、腕時計内部に水が入り込み、腐食する原因となります。

パッキンへのダメージを考慮すると、泳ぐときは可能な限り腕時計を外しておくのが無難です。腕時計を着けたまま泳ぎたい方は、10気圧防水よりもハイレベルな防水規格の腕時計や、潜水用の腕時計も検討しましょう。

10気圧防水の腕時計を扱うときの注意点

10気圧防水なら日常生活での水ぬれ程度で浸水する心配はありませんが、それでも気を付けておきたいことがあります。ここからは、10気圧防水の腕時計の故障や劣化を防ぐポイントを解説します。

水が付いた状態で操作しない

防水時計を操作するときは、乾いた状態で行ってください。もちろん水中での操作は厳禁です。

腕時計がぬれている状態でリュウズを回したり、クロノグラフのプッシュボタンを押したりすると、パーツを伝わって内部に水が入り込む場合があります。着用したまま海やプールに入った後も、水が付いたまま操作しないように注意してください。

腕時計が水にぬれたときは、乾いた布でしっかりと水分を拭き取ります。その後、内部に水が入った可能性を想定し、リュウズを引き出し水分が蒸発するようにしてから、風通しの良い場所に置いておきましょう。

お湯や洗剤を使って洗わない

10気圧防水は「常温の真水」に対して発揮される性能です。お湯や洗剤はパッキンを劣化させる可能性があるため、時計を漬けないようにしてください。

また腕時計を付けたままお湯に漬かると、パッキンの変形が懸念されます。水仕事以外では、普段の入浴時の使用、温泉や温水プールでの使用、サウナなど高温多湿環境での使用も避けましょう。石けんも、パッキンを劣化させる恐れがあります。

また、水圧がかかるため、蛇口から出ている水を直接かけていけません。水にぬれた程度であれば問題ないと考えられますが、故意に水をかけないようにしましょう。

オーバーホールは正規店で

腕時計の防水性能を維持するためには、正規店でのオーバーホール（分解修理）をおすすめします。腕時計の防水性能は、各パーツやそれぞれの組み立て方によって変わるためです。

自分で時計をいじったり非正規店にオーバーホールを依頼したりすると、防水性能が落ちる恐れがあります。異なるパーツに交換された、未熟な技術者が対応したといった場合も、腕時計の防水性能が低下する可能性があるでしょう。

高級時計ブランドの時計は正規店でのサポートも手厚く、ブランドを熟知する技術者に愛用の腕時計をメンテナンスしてもらえます。そのモデルが引き続き作られていれば、交換用のパーツの入手も可能です。

正規店でのオーバーホールにはそれなりのコストはかかりますが、長い目で見れば十分なメリットを期待できます。

10気圧防水の時計を洗う方法

10気圧防水の腕時計は、汚れたときに水洗いできます。10気圧防水の腕時計を洗う方法は、以下の3ステップです。

1.容器に水をためる
2.布で軽くこすって汚れを落とす
3.乾いたら柔らかい布で拭く

腕時計は、常温の真水で洗います。お湯や洗剤を使うとパッキンが傷む恐れがあるため避けましょう。

海やプールで使用した後の腕時計は、付着した塩分や塩素を落とすため、より丁寧に洗う必要があります。塩分や塩素は時計の細部にまで入り込むため、入念な手入れが必要です。

リュウズがきちんと閉まっているかを確認してから、水をためた容器に静かに腕時計を入れ、数分ほど放置して汚れを浮き上がらせましょう。

汚れが付着していれば、柔らかい布などでやさしく表面を拭います。歯ブラシを使っても構いませんが、腕時計を傷めないように毛先が柔らかい新品を使ってください。水圧がかかるので、蛇口の水やシャワーを腕時計に直接当てないようにしましょう。

汚れが落ちたら洗面器から腕時計を出し、乾いた後に柔らかい布で水分を拭き取ります。ドライヤーで乾かすと熱で腕時計が傷む恐れがあるため、自然乾燥させてください。

ビジネスシーンになじむ10気圧防水の腕時計

現在は数多くの時計ブランドが、防水仕様の腕時計をリリースしています。大人にふさわしい高級時計ブランドから、10気圧防水の防水性能を備えており、ビジネスシーンにも違和感がないモデルをピックアップしました。

オメガ スピードマスター 38MM 324.30.38.50.06.001

オメガは、宇宙空間でも使えるとしてNASAの公式時計にも認定された高級時計ブランドです。スピードマスターは同ブランドのフラッグシップコレクションとして、愛好家の心を掴んでできました。

「スピードマスター 38MM 324.30.38.50.06.001」は、タキメーター搭載のクロノグラフモデルです。ムーブメントは「コーアクシャル  キャリバー3330」を採用しています。コーアクシャルはオメガの独自機構で、安定した精度とメンテナンスサイクルの長さが強みです。

6時の位置には、縦に長い楕円形の日付窓が設けられています。耐食性に優れたステンレススティールの輝きが、ビジネスシーンでノーブルな印象を与えるでしょう。

オメガ スピードマスター 38MM 324.30.38.50.06.001

グランドセイコー ヘリテージコレクション 44GS 現代デザイン SBGW299

グランドセイコーは2017年にセイコーから独立し、ビジネスパーソン向けの高級時計を販売してきました。「ヘリテージコレクション 44GS 現代デザイン SBGW299」は、2023年新作モデルです。

このモデルは、日本の伝統的な美しさを感じさせる「44GS」のスタイルを現代風に磨き上げた1本です。ダイヤルは扇のように直線的な平面の連なりで、優美な放射模様が表現されています。

ムーブメントには手巻き式の「キャリバー9S64」が採用されました。パワーリザーブは約72時間で、安定した精度が期待できます。ケースサイズは横36.5mmとコンパクトなため、袖口に引っかからず快適に着けられるでしょう。

グランドセイコー ヘリテージコレクション 44GS 現代デザイン SBGW299

ザ・シチズン NC1000-51E  メカニカル 特定店限定モデル

1995年に誕生したザ・シチズンは、シチズン時計が展開するブランドの一つです。ザ・シチズンは、シチズンが重視する「精度」「品質」「デザイン」「ホスピタリティ」を体現しています。人を選ばないスタンダードなデザインは、幅広いシーンにマッチするでしょう。

「ザ・シチズン NC1000-51E  メカニカル 特定店限定モデル」は、自動巻き式と手巻き式のハイブリッドモデルです。ムーブメントにはパワーリザーブ約60時間の「キャリバー0210」を採用しています。

NC1000-51Eの風防は、シチズンの独自技術「クラリティ・コーティング」を施したサファイアガラスです。表面を特殊な手法でコーティングして光の反射を限りなく抑えることで、日差しが強い場所でも時刻をはっきり読み取れるように工夫されています。

ザ・シチズン NC1000-51E  メカニカル 特定店限定モデル

なお、本作は白文字盤のバリエーションモデルも登場しています。全体を白系のワントーンで統一したフェイスは、凛とした存在感を放つモデルに仕立て上げています。

ダイビングにもビジネスシーンにも使える防水時計

ダイビングを楽しむ人には、潜水用の防水性能を持つ腕時計がおすすめです。ダイビング中でも着けられる防水時計から、デザイン性が高くビジネスシーンでも違和感がないモデルを見てみましょう。

グランドセイコー スプリングドライブ SLGA015

グランドセイコーのスプリングドライブはその構造ゆえ、外部から影響を受けにくいムーブメントです。これを活かしたダイバーズウォッチのひとつ、SLGA015は、13.8mm厚というダイバーズウォッチとしてはコンパクトなケースを備えた、ハイスペックダイバーズウォッチです。

精悍なそのビジュアルに加え、高い機能性、ブライトチタンの採用による軽やかさはビジネスシーンにもマッチするでしょう。

オメガ シーマスター アクアテラ シェード 150M 220.10.38.20.09.001

オメガといえばムーンウォッチをはじめとするスピードマスターが有名ですが、ダイバーズラインの「シーマスター」も人気です。中でも「シーマスター アクアテラ」はダイバーズウォッチですが、ビジネスシーンでも使えるスマートさを兼ね備えています。

特に、カラフルな文字盤が揃うシェードは、38mm径のラインナップで汎用性抜群。本作もサンドストーンと呼ばれるシルバー系のカラーリングを備えており、ビジネスシーンによく馴染みます。

マスタークロノメーター認定でメンテナンス頻度を抑えられるだけでなく、耐磁性にも優れているため、日常使い用腕時計としてぜひお選びください。

オメガ シーマスター アクアテラ 150M 220.10.41.21.03.001

10気圧防水の性能を知って時計選びを

老舗ブランドから人気ブランドまで、さまざまな時計ブランドが防水時計をリリースしています。10気圧防水の腕時計は、日常生活での水はねを気にせず使用でき、水上スポーツなど水がかかる程度のアクティビティや素潜りでの使用が可能です。

防水時計に限らず、高級時計は基本的に繊細な構造をしています。水がかかると想定されるシーンではなるべく外す、海やプールの後はしっかり洗うなど、丁寧に取り扱うほど腕時計を長く愛用できます。

株式会社ハラダは、高級腕時計正規販売店です。本記事で紹介したような防水時計を多数取りそろえています。オーバーホールを行う目安や、メーカーの正規サポートもご案内します。防水時計をご検討の際は、ぜひ株式会社ハラダにご相談ください。