時刻を指し、腕時計のなかでも重要な役割をこなす針。
「文字盤にはこだわるけれど、針の種類には注目したことがない」、そんな方は案外少なくないかもしれません。
しかし、腕時計の針は、実は腕時計の印象を左右する大切な要素と言えるのです。今回は、そんな腕時計の針に注目して、その多彩な種類や役割についてまとめてご紹介いたします。
腕時計の針14種類|その特徴や印象について
腕時計を構成する要素の中でも、そこまで目立たない針ですが、じっくりと観察してみると実はさまざまな種類があります。針はそのデザインによって視認性のみならず、腕時計の表情にもたらす印象も変える存在です。モデル選びの際にもぜひ注目してみてください。
ここでは、多彩な種類のある針から、主な針のデザイン14種をピックアップいたしました。その印象や特徴・タイプについて、それぞれご紹介いたします。
なお、主な採用モデルについてもご紹介しますが、針のタイプに明確なルールなどはないため、あくまで参考程度にお考えください。
腕時計の針の種類その1:バー針
もっともシンプルかつスタンダードなデザインで、多くの腕時計に採用されるのが「バー針」です。先端が尖っていないため、長くないと視認性に難ありですが、文字盤になじみやすい印象で、夜光もたっぷりと塗ることができます。
あらゆるメーカー・ブランドの様々なモデルに採用されており、オールラウンダーな針と言えます。
主な腕時計のスタイル
腕時計全般
腕時計の針の種類その2:ペンシル針
その名のとおり、ペンのように針の先端が尖っている針です。バー針のようなべーシックな印象を備えており、高い視認性と夜光を塗布できる点から、見やすさを重視するツールウォッチ向けの針と言えます。
主な腕時計のスタイル
スポーツウォッチ、ミリタリーウォッチなど
腕時計の針の種類その3:ドルフィン針
ドルフィン針は、シャープに伸びた、クラシカルな印象のあるひし形の針です。洗練された雰囲気と、時刻を読み取りやすいのがその魅力。イルカを意味するドルフィンではなく、フランス語で王太子を意味するドーフィン針と呼ばれることもあります。
グランドセイコーなどの一部ブランドでは多用されるタイプとなっています。
主な腕時計のスタイル
ドレスウォッチなど
腕時計の針の種類その4:メルセデス針
メルセデス針は、誰もが知る自動車ブランド、メルセデスベンツのロゴを思わせるマークがあしらわれていることからその名がつけられました。そのため、ベンツ針と呼ばれることもあります。
夜光塗料を載せやすくするためにこの形状に落ち着いたともされており、似たタイプの針として、コブラの頭に似た「コブラ針」と呼ばれるものもあります。
主な腕時計のスタイル
スポーツウォッチ、ダイバーズウォッチなど
腕時計の針の種類その5:リーフ針
長い葉っぱのような形の針です。ゆるやかに伸びる針からは優雅さが感じられ、先端が尖っていることで高い視認性も備えています。
クラシカルなモデルに広く採用されており、腕時計全体に繊細かつエレガントな印象を与えてくれるタイプとなっています。主な腕時計のスタイル
ドレスウォッチなど
腕時計の針の種類その6:ブレゲ針
高級腕時計ブランド「ブレゲ」の創業者、アブラアン=ルイ・プレゲが考案した針です。上品な印象を演出できることから、ブレゲだけでなく様々なブランドの腕時計に採用されています。
針の先端に月を思わせる穴が空いているのが特徴的で、文字盤のスケールを読み取りやすくすることにも役立ちます。
主な腕時計のスタイル
ドレスウォッチなど
腕時計の針の種類その7:スペード針
針の先端がスペードマークになっているものをスペード針と呼びます。針に厚みを持たせた、丹念な仕上げを楽しめるものもあり、愛らしさと優雅さ、視認性を兼ね備えています。
クラシカルモデルの時針に広く用いられており、リーフ型の分針と組み合わせてよりエレガンスを強調する手法も見られます。
主な腕時計のスタイル
ドレスウォッチなど
腕時計の針の種類その8:アルファ針
アルファ針は、シャープかつスタイリッシュな印象のある針です。ギリシャ語で1番を意味するαから名づけられました。
ドルフィン針と似たデザインながら、針の軸に向かってくびれているのが特徴。横幅はモデルによって異なり、アルファ針の中にもたくさんの種類が存在します。
主な腕時計のスタイル
メンズウォッチなど
腕時計の針の種類その9:アロー針
針の先端が矢印になっているアロー針。ブロードアローや矢印針とも呼ばれることがあります。ストレートな視認性の高さから、クラシカルなプロフェッショナルウォッチを中心に採用されています。
英国軍の時計に使用されたのが始まりとされており、現在ではGMT機能の24時針などでも見られる針のタイプとなっています。
主な腕時計のスタイル
スポーツウォッチ、GMT搭載モデルなど
腕時計の針の種類その10:バトン針
ペンシル針と同じ棒状でありながら、時計中央から先端に向かって太くなっているのがバトン針です。ロンジン「ドルチェビータ」など、レクタンギュラーケースのモデルと相性が良く、クラシカルかつエレガンスな魅力に溢れています。
主な腕時計のスタイル
レディースウォッチ、レクタンギュラーモデルなど
腕時計の針の種類その11:ローザンジュ針
そのバランスの良い形状から、フランス語でひし形を意味するローザンジュと名付けられた針です。ドルフィン針やアルファ針と異なり、針の中央付近が太くなっており、クラシカルな印象を与えます。
主な腕時計のスタイル
メンズウォッチなど
腕時計の針の種類その12:イカ針(スノーフレーク)
主に時針に用いられるイカ針は、そのイカのような形状から名前が付けられました。セイコー5やチューダーのブラックベイなどのクラシカルモデルで見られるデザインであり、特にチューダーのイカ針については水仙を意味するスノーフレークという名前が付けられています。
主な腕時計のスタイル
スポーツウォッチなど
腕時計の針の種類その13:スケルトン針
針の中心部分をくり抜き、輪郭だけを残した針のことをスケルトン針と呼びます。古典的なモデルで見られる針ですが、文字盤が透けて見えるため、文字盤装飾や各種スケールが見やすいというメリットもあります。
主な腕時計のスタイル
アンティークウォッチ、カンパノラの一部コレクションなど
腕時計の針の種類その14:サーペント針
その名の通り、ヘビのように湾曲した形状が特徴の針です。懐中時計から影響を受けたデザインであり、カレンダーなど、時刻を示す以外の機能で主に用いられています。フランクミュラーのユニークなモデルなどでも度々見受けられます。
主な腕時計のスタイル
カレンダーウォッチなど
針の種類にもこだわった腕時計選びを
目を凝らしてみると、たくさんの種類がある腕時計の針。
高い視認性などの実用性はもちろん、その針がもたらす印象にも注目してみると、また違った腕時計の見え方を楽しめるかもしれません。
腕時計を購入する際の参考として、ぜひ針の種類によって異なるデザイン性と印象の違いを見比べてみてください。