
腕時計と宇宙、そして世界的な人気を誇るキャラクター。一見交わることのなさそうな3つの要素ですが、オメガのスピードマスターには、これらを兼ねるスペシャルモデルがいくつか登場しています。
それらのデザインには、かわいらしいスヌーピーが取り入れられていますが、その背景には、NASAとオメガ、そしてスヌーピーの間に築かれた深い信頼と歴史が存在しているのです。本記事では、このスヌーピーとスピードマスター、宇宙の関わりについて詳しくご紹介します。
宇宙開発で誕生したオメガとスヌーピーの歴史
オメガとスヌーピー。その不思議な組み合わせの背景には、宇宙開発と深く関わる歴史が存在します。NASAとの協力関係や特別な賞など、宇宙を舞台とし、両者の間に築かれた絆をたどってみましょう。
NASAに唯一公式採用されたオメガのスピードマスター

1960年代、NASAは宇宙飛行に耐えうる腕時計を選定するため、数多くのブランドに対して過酷な耐久テストを実施しました。そして高温・低温・衝撃・振動・真空といった極限環境の中で唯一基準を満たしたのが、オメガのスピードマスターです。
1965年にNASAの公式装備として採用されると、スピードマスターはその後のすべてのアポロミッションに同行。1969年のアポロ11号では、人類初の月面着陸の瞬間を共に刻んだ唯一の腕時計として、宇宙開発の歴史にその名を刻みました。
NASAのマスコットキャラクターにスヌーピーを抜擢
スヌーピーとNASAの関係は、1960年代後半に始まりました。
当時NASAは、有人宇宙飛行における安全意識の向上と士気の高揚を目的として、世界中で親しまれていた漫画『ピーナッツ』のキャラクター、スヌーピーをマスコットとして採用。1968年には、宇宙でのミッションの成功に貢献した人物や企業に贈られる「シルバー スヌーピー アワード」が創設され、スヌーピーは象徴的存在となりました。

1969年5月に実施されたアポロ10号のミッションでは、司令船と月着陸船にそれぞれチャーリー、ブラウン、スヌーピーというコールサインが付けられるなど、スヌーピーはNASAとの関わりを深めていくことになります。(チャーリー・ブラウン:主人公の少年)
アポロ13号の危機を救い、シルバー スヌーピー アワードを受賞
1970年に事件が起きます。アポロ13号が月へ向かう途中、酸素タンクの爆発が起こり、船員全員が深刻な危機に陥りました。この電力供給も絶たれて航法装置が使えない状況下、帰還の鍵を握ったのがオメガのスピードマスターでした。
オメガのスピードマスターは、その正確な計時性能によって、目的地に着陸するための、14秒のジェットの逆噴射を計測するという大役を見事に果たします。結果この腕時計は、宇宙飛行士たちの生還に大きく貢献しました。
この功績に対し、NASAの宇宙飛行士たちはオメガに感謝の意を表し、シルバー スヌーピー アワードを授与。スピードマスターとスヌーピーとの縁が繋がれることとなったのです。
当時の栄光を受け継ぐムーンウォッチ プロフェッショナル
ちなみにこの栄えあるスピードマスターは、現行の「ムーンウォッチ プロフェッショナル」にその意匠の多くが引き継がれています。

手巻き式ムーブメントの搭載はもちろんのこと、段差の付いたダイアルやドットオーバー90を持つタキメーターベゼルなどは、その代表的なものです。
その一方で、内部にはマスター クロノメーター認定キャリバーを搭載し、高精度・耐磁性・耐衝撃性といった現代的なスペックも確保。ムーンウォッチ プロフェッショナルは、今もなお、ロマンと実用性を兼ねたタイムピースとして、高い評価を獲得しています。
スピードマスター記念モデル『310.32.42.50.02.001』をご紹介

アポロ13号での活躍を称え、1970年にオメガが受賞したシルバー スヌーピー アワード。その50周年を記念して誕生したのが、スピードマスター『310.32.42.50.02.001』です。その魅力を少し深掘りしてみましょう。
愛らしいスヌーピーを楽しめるダイアル
本作のダイアルは、スヌーピーの愛らしさとスピードマスターらしい機能美が共存する、完成度の高いデザインに仕上がっています。

カラーリングは、ブルーとホワイトのツートンを採用。サブダイアルに宇宙服姿のスヌーピーをかたどったエンボス加工シルバーメダリオンをあしらい、特別感を高めています。愛らしいその表情からは、絶大な人気を誇る理由が窺い知れるというものです。
宇宙を回遊するスヌーピーとロケット
『310.32.42.50.02.001』の注目ポイントは、ダイアルだけではありません。サファイアクリスタル製の裏蓋には、マイクロ構造の金属で描かれた月の情景と宇宙船に乗ったスヌーピーの姿が。クロノグラフを作動させると、スヌーピーが宇宙空間をゆっくりと回転する仕掛けとなっているのです。

さらに地球をかたどったディスクも搭載され、ここにはスモールセコンドと連動して1分間に1回転する構造を採用。アポロ13号の救出劇や、シルバー スヌーピー アワードへの敬意を込めたオマージュといえるでしょう。
付属品も充実

『310.32.42.50.02.001』には、ブルーナイロン製のファブリックストラップが採用されています。その裏地には、アポロ13号がたどった宇宙飛行の軌道がエンボス加工で表現されており、ディテールへのこだわりとストーリー性が感じられるでしょう。
さらに本モデルには、専用の特製収納ケースが付属。ケース内部にはスヌーピーの姿が描かれており、開封する瞬間にも特別な喜びを与えてくれます。
スヌーピーと宇宙、そしてスピードマスター
オメガ スピードマスターに描かれたスヌーピーは、単なる人気キャラクターとのコラボレーションではありません。その背景には、NASAの公式装備品として宇宙飛行士の命を救ったという、紛れもない歴史が存在します。アポロ13号の奇跡的な生還劇への貢献によって贈られた「シルバー スヌーピー アワード」は、両者の固い絆の証です。その背景にリリースされる特別なモデルの数々は、腕にするたびに、宇宙へのロマンと人類の偉業を感じさせてくれる、唯一無二のタイムピースと言えるでしょう。
この記事の監修

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