どんな環境でも着用できる腕時計には、優れた耐衝撃性、防水性が必須と言えます。
近年の腕時計はデイリーユースを考慮しており、ほとんどの腕時計がそれなりの耐久性を備えています。そして、その耐久性という面でとりわけ優れているのが、潜水用腕時計=ダイバーズウォッチです。
現在、このダイバーズウォッチは水辺での使用に限らず、信頼性の高い腕時計としてさまざまなシーンで違和感なく着用されるようになりました。今回はそんなダイバーズウォッチのおすすめモデルとして、知名度・性能・デザインの観点から極めて高い評価を獲得している「オメガシーマスターダイバー300M」をご紹介します。
オメガは語り継がれる神話のようなもの
1950年代、各ウォッチブランドは盛んに防水ウォッチの研究開発行っていました。そして、軍用ウォッチから始まったダイバーズウォッチは、現代に至るまでに日常的に水を扱う仕事やウォータースポーツへと浸透することとなりました。
一瞬の流行り要素を全面に押し出したデザインが話題性やインパクトを大きく跳ね上げることはよくあります。しかし、長く人々の心に残るものは人々の目に触れ続けるということ。派手さや流行を盛り込まず無難にまとめた、クラシカルな時計然としたスタイルは多くの方の安定思考に訴えかけるものと言えます。
一方でそうしたシンプルで洗練されたデザインに反する、ケース内に詰め込まれた先進技術の数々は、多くのファンを魅了するギャップを作り出します。結果的にオメガは長年を共に過ごすに値する腕時計を作り出し続け、積み上げられたその歴史と実績は信頼となって身につける人を飾っていくことになるのです。
著名人や要人にオメガの定番モデルの愛好家が多いのも、自身がそうした威厳を身にまといたいと望むからではないでしょうか。
そして、シーマスターダイバー300Mに関しては映画「007」で何作にもわたり登場し、絶体絶命の回避不可能な窮地から何度もジェームズ・ボンドとともに生還することで、ロマンと実用性を兼ね備えるツールウォッチとして名を馳せました。
これにより、シーマスターダイバー300Mは世界で最もタフな腕時計の1つとして人々の心に刻み込まれているのです。
シーマスターダイバー300Mのデザイン性は安全に地上へ戻るために必要
ダイバー300Mでまず目に飛び込んでくるのはベゼルです。
海中でグラブをしたまま滑らず操作ができるようベゼル周囲はグリップ力を高めるウェーブ状に削りだされており、潜水時間を計測するダイバーズベゼルには大きく視認性の高いホワイトエナメルでスケールが表示されています。
もちろんこのベゼルは強固で傷つきにくいセラミック製。逆回転防止機能の搭載によって潜水時間の測り間違いによるトラブルも防いでくれます。
ダイヤルに強いインパクトと視認性を与えるラウンドインデックス、そして幅広の時分針に大胆なスリットが入った形状は、真夏の青空にもくもくと膨らんだ入道雲と真っ直ぐに伸びた飛行機雲を想起させます。
また、表示部にはネオンサインのように鮮やかかつクリアに発光するスーパールミノヴァが塗布されています。この日本生まれの技術は過去に使用されていたトリチウムとは比較にならないほどの光量と発光継続時間を誇っています。
多彩なカラーリングが用意されたダイヤルにはレーザーエングレービングで微細な溝が彫られ、ダイバーズウォッチらしい波打つような表情付けが行われています。この波模様はかつてのダイバー300Mから受け継がれてきたものですが、そのデザインの違いで世代を推測できるものとなっています。
ムーブメントの正確な動きを眺められるシースルーケースバックはべゼルの周囲と同様にウェーブ状に削りだされ穏やかな海を表現。両面をガラスに挟まれていても水圧や磁力への耐性は高く保たれます。
また、現行のダイバー300Mはもれなくマスタークロノメーター認定を取得しています。スイスクロノメーター認定を取得したムーブメントをケーシングし、腕時計としての状態でその品質を検査するマスタークロノメーター認定は、そのコレクションの非常に高い信頼性を証明するのものとなるのです。
信頼性に優れる本格派ダイバーズウォッチの必須条件
シーマスターダイバー300Mを本格派ダイバーズウォッチたらしめているのは、先述した逆回転防止機構付きのベゼルもそうですが、ヘリウムエスケープバルブ(脱気栓)の存在が大きいです。
人が数百メーターの潜水を行う際、大気にありふれている空気(窒素が多い)が詰まったボンベでは窒素酔いを起こしてしまい、潜水のリスクをさらに高めてしまう可能性があります。そのため、潜水用のボンベには、窒素の代わりにヘリウムガスを詰めたものが使われるようになりました。
しかし、このヘリウムは腕時計の隙間に入り込むほど小さい原子で構成されているため、腕時計の内部に入り込んでしまい、浮上と共に膨張する事で腕時計のガラスを破損させてしまうリスクがありました。
このヘリウムガスに関する問題を解決するのがこのヘリウム脱気栓です。ヘリウムガスを脱気し、その破裂を防ぐことで、腕時計と人体を守ってくれる機構となっているのです。
もちろん潜水用腕時計にとって防水性が最も重要なファクターとなりますが、その高い性能を活かし切るためにはこのヘリウムエスケープバルブが必須と言えるでしょう。
ダイバーズウォッチが汎用型腕時計として市民権を得た
かつてはビジネスシーンでもフォーマルシーンでも腕時計の着用ルールは厳格なものとなっていました。装飾も配色も極力排除して控えめでオーソドックスなカラーリングが最低条件。ダイバーズウォッチなどはもってのほかだったのです。
しかし近年ではそのような暗黙のドレスコードは薄れて消えつつあります。
ビジネスシーンやウェディングなどのパーティなどでも、あまりにTPOに外れてなければダイバーズウォッチも問題なく着用することができるでしょう。
腕時計はシーンごとに合わせたデザインのものを複数本購入するのが理想的ですが、ダイバーズウォッチ1本だけでも意外と様々な場面で着用できてしまうのです。
しかし、注意したいのが、これはどんなダイバーズウォッチにも当てはまるわけでは無いということです。シーンを選ばずに着用できるダイバーズウォッチというものは、あまりにツール志向が強いものではなく、普遍的に使えるエレガンスも備えていなければなりません。
この条件に当てはまるダイバーズウォッチとして、シーマスターダイバー300Mは真っ先に挙げられる選択肢の一つとなるのです。
古くていいものに共通するのは過去の職人が仕事に込めたプライド
オメガの腕時計は耐久性に優れており、メンテナンスを欠かさなければ数十年と使っていけるモデルが多く存在しています。
このように製品の寿命が長いことから縁起のよいお祝い品や記念品として大切な方へ贈られたり、親から子へ孫へと引き継がれることも少なくありません。
特にオメガが広く採用しているコーアクシャルムーブメントは、部品が摩耗しにくくなっており、メンテナンスの頻度も可能な限り抑えることができます。
数十年と使っていく高級腕時計にとって、このオメガのコレクションが備える高いメンテナンス性は類まれなる魅力となるでしょう。
価値によって価格が決まり、価格によってさらに価値が高まる
高級機械式腕時計にありがちな高い価格を考えると、オメガのシーマスターダイバー300Mはとても現実味のある価格です。
本音を言えば、堅牢性も精度もデザインも折り紙付きのオメガハイエンド機シリーズで、より実用的なヘリウムエスケープバルブを組み込んだ本格派ダイバーズウォッチがこの価格だというのは驚きを隠せません。
人はなぜ高価なものを選ぶのでしょうか、それは高価だからです。禅問答のようなことが実は真理で、高価なものを身につけるのはプライドを満たせるからなのです。
根拠なく値段が高いのではなく、製品の品質が確かでブランドが持つイメージが高尚で身につける自分自身を好きになれるから。これだけの知名度と人気を誇るダイバー300Mであれば高い支持を集めるのは当然のようにも思えます。
共に時を重ね歴史を綴る価値を高め合える親友のようなモデル
古くなるほどに味わい深い魅力が出るアイテムを考えてみてください。手の込んだ革製品、高級車、宝石などでしょうか。これらはいずれも最良の素材と高い技術で丁寧に作られ、メンテナンスを施しながら使い続けることができます。シーマスターダイバー300Mも例外なくその資質を備えており、共に時を重ねるにふさわしい腕時計と呼べます。
積み重ねられた歴史と経験の重みを感じて、いつしか自分も腕時計と一緒に成熟した大人になっていたいという希望をオメガは必ず叶えてくれるでしょう。ダイバー300Mの本当の価値と満足感を得られるのは、もしかすると共に成熟した数十年先なのかもしれません。そんな日を迎えようと願いこのモデルを手にされる方を心から羨ましく思います。