腕時計の石数とは?石数が多いメリットや違いを詳しく解説 - 高級時計 正規販売店 ハラダHQオンラインショップ

腕時計の石数とは?石数が多いメリットや違いを詳しく解説

ジュエル

腕時計のカタログやスペック表で「石数」の表示を見かけることがあるでしょう。石数とは何を意味する数字なのでしょうか。また石数が多いモデルは、石数が少ないモデルと比べてどのような違いがあるのでしょうか。当ページでは、腕時計の石数の意味について、具体的なモデル例を挙げながら詳しく解説します。

腕時計の石数とは

腕時計の「石数」(JEWELS)とは、そのモデルの軸受けに使用されている石(宝石)の数です。

シースルーバックの機械式腕時計を裏面から覗くと、歯車などパーツの中に、赤く光る石を見ることがあるのではないでしょうか。この石の数が、腕時計のカタログなどに示される「石数」です。モデルによっては、ムーブメントに「19 JEWELS」などの刻印が付されていることもあります。

石は時計の重要なパーツの一つであり、かつては本物のルビーやサファイア、ダイヤモンドなどの宝石が使用されていましたが、現在では多くのモデルで「人工ルビー」が使用されています。

腕時計に石が必要な理由

ムーブメント

腕時計の軸受けに使用される石の役割は、内部パーツの摩耗を防ぐことです。

腕時計の内部には回転運動・往復運動をする多くのパーツがあり、その中心には「軸」があります。軸と各パーツとの摩擦を最小限に抑え、摩擦によってパーツが削れてしまう「摩耗」から守ることが、軸受の役割です。

腕時計の軸受に使用されることが多いルビー(人工ルビー)は硬度が高く、摩耗しにくい性質があります。硬度が高い素材としてはダイヤモンドも知られていますが、硬度が高すぎて逆に金属パーツを傷つけるなどの理由から、現在では基本的に使用されません。

軸受けに使用される石は、内部の摩耗を防ぎ、腕時計の精度を一定に保つために重要なパーツとなります。

また腕時計の石には、ムーブメントの美しさを表現する「装飾」としての役割もあります。この点については、次で詳しく解説します。

石数が多い腕時計の魅力

腕時計のカタログやスペック表を見ると、モデルごとに石数がさまざまで、石数が多いモデルもあれば少ないモデルもあることが分かります。価格と比較しても、石数が多いモデルの方が高いとは限らないことも分かるでしょう。

腕時計の石数の違いは何を意味するのでしょうか。また石数が多い腕時計は、石数が少ない腕時計と比べて、何が違うのでしょうか。

ここでは、腕時計の石数が多いことの意味・メリットを解説します。

複雑機構を搭載している

sbgd201の裏蓋

石数は、腕時計に搭載されているムーブメントの「複雑さ」を示す指標の一つです。石数が多いということは、それだけ軸受の数が多く、内部に多くのパーツがあることを意味します。

例えばクロノグラフやカレンダー付きなど付加機能があるモデルは、シンプルな時計としての機能だけの3針モデルよりも石数が多いのが基本です。例えば、自動巻式の時計に比べて、手巻き式時計は石数が少なくなります。

また機能面では同じでも、ムーブメントの振動数が低い「ロービートモデル」より、振動数が高い「ハイビートモデル」の方が、石数も多いのが一般的です。

見た目の高級感がある

スピードマスターのシースルー

石数は、腕時計の「見た目」に影響する指標でもあります。

石数が多いシースルーバックの腕時計は、裏面から時計内部を見たときに、パーツの中に光るたくさんの輝きを見ることができます。

腕時計の石数は、単に軸受の耐久性といった機能面だけでなく、腕時計の高級感やデザイン性にも影響する要素なのです。裏面が豪華で魅力的なモデルを探しているなら、一つ​の​指標として石数を参考にできます。

腕時計の石数の歴史

腕時計の石数が持つ意味は、時代によって変化してきました。腕時計の歴史を知るための切り口として、石数に対する価値観の変化にも注目してみましょう。

本物の宝石を使っている時代があった

前述のとおり、かつてはルビーやサファイアなど本物の宝石が、腕時計の軸受けに使用されていた時代もありました。そのため石数が多いモデルほど高価で、石数が腕時計のグレードを示す指標の一つとされていたのです。

ルビー

1902年に人工ルビーが登場しますが、当時の人工ルビーは決して安価ではなかったため、石数が多いモデルほど高級という概念がすぐになくなったわけではありません。

現在では樹脂ベースの石も存在し「石数が多い=高級」を意味するとは限らなくなりましたが、裏面の高級感や内部構造の複雑さを示すという点では、そのモデルの価値を測る一つの指標として用いられています。

石数100のモデルも登場した

石数が腕時計のグレードを示す指標だった時代、「石数100」という多数の石を搭載した「グランプリ100」というモデルがオリエントから発売されました。

腕時計の石数は基本的な自動巻きモデルなら「21石」もあれば十分という中で、「100石」というのはまさに破格の石数です。

グランプリ100には、ローターなど軸受以外の部分にも石があり、主に装飾目的で組み込まれたと見られる石も多くあります。「石数が多い=ハイグレード」の時代を象徴する1本だといえるでしょう。

腕時計の石数の違いを具体例で確認

石数の違いによって、ムーブメントの機能にどのような違いが出るのか、具体的なモデルから確認してみましょう。ここではグランドセイコーのムーブメントを例に解説します。石数が少ない順に見ていきましょう。

24石:手巻き 3針モデル SBGW305

グランドセイコー SBGW305のリストショット

SBGW305は、石数24のムーブメント「キャリバー 9S64」を搭載したモデルです。

キャリバー 9S64は手巻き式のムーブメントで、カレンダーなどの付加機能がありません。グランドセイコーの現行ムーブメントの中でも石数が少ない方に分類されます。

キャリバー 9S64を搭載したモデルの1つである「SBGW305」は、ボックス型のサファイアガラスと丸みを帯びたシルバーダイアルが特徴の、シンプルかつクラシカルな3針の手巻き腕時計です。

36.5mmとコンパクトなサイズ感であるため、男女問わず使いやすいモデルと言えるでしょう。腕なじみの良いライスブレスレットも魅力の一本です。

グランドセイコー SBGW305のリストショット

33石:手巻き スモールセコンド パワーリザーブ付きモデル SBGK007

sbgk007

 SBGK007が搭載している「キャリバー9S63」は、スモールセコンドとパワーリザーブ付きで、同じ手巻き式でも少し複雑な構造です。石数は33で、前述の3針モデルより多くの石が使用されています。

このムーブメントを搭載する「SBGK007」は、グランドセイコーらしい美学にあふれたドレスウォッチです。薄型かつ手首に沿う形状によって、エレガンスと実用性を兼ねています。また、ダイアルの9時位置にスモールセコンドダイアル、3時の位置にあるパワーリザーブ・インジケーターを備えているのも特徴。

ドーム状のサファイアガラスとクロコダイルのバンドも上品さを底上げする要素となっています。

グランドセイコー SBGK007の裏蓋

35石:自動巻き カレンダー付きモデル SBGR307

グランドセイコー SBGR307のリストショット

一般的に手巻き式よりも自動巻き式の方が石数が多くなりますが、グランドセイコーのムーブメントにおいても、この傾向が見られます。自動巻き式・カレンダー付きの「キャリバー9S68」は「石数35」で、手巻き式よりも多くの石が組み込まれています。

このムーブメントを搭載した「SBGR307」は、放射状のパターンが施されたシルバーのダイアルが特徴の一本です。42mmという大きめサイズながら、かん先を細く絞り込むことで、すっきりと見えるシルエットに仕上がっています。

シルバートーンにブルースチールの針がキラリと光るフェイスを備えており、その汎用性に惹かれる一本でしょう。

グランドセイコー SBGR307の裏蓋

37石:自動巻き カレンダー付き ハイビートモデル SBGH343

グランドセイコー SBGH343の文字盤

SBGH343に搭載されている石数37の「キャリバー 9S85」は自動巻き・カレンダー付きという点は前述のモデルと同じですが、こちらは振動数が高い「ハイビート」のムーブメントです。

ハイビートムーブメントの魅力は、使用時の外圧などによる影響が少なく、精度が安定しやすいことです。前述の通常モデルの携帯精度が「日差+10~-1秒」であるのに対し、こちらは「日差+8~-1秒」の高い携帯精度を実現しています。

ハイビートのムーブメントは、その高い振動数を制御するために通常モデルと違う設計になっていることがあり、石数が多くなることがあります。当ムーブメントも精度や耐久性を向上するために、「てんぷ」と「がんぎ車」の前に「がんぎ中間車」をかませた特殊な設計を採用しています。

グランドセイコー SBGH343のリストショット

キャリバー 9S85を搭載したモデルには、いくつかのカラーバリエーションがありますが、こちらの「SBGH343」は、「桜の若葉」をイメージしたライトグリーンのカラーが特徴。シンプルなカラー構成で、見るたびに楽しいモデルに仕上がっています。

47石:自動巻き カレンダー付き ハイビート デュアルインパルス脱進機 ツインバレル搭載モデル SLGH013

グランドセイコー SLGH013のリストショット

 SLGH013に搭載されている「キャリバー9SA5」には、47もの石が使用されています。

こちらは前述のモデルと同様のハイビートムーブメントですが、パワーリザーブを長くする「デュアルインパルス脱進機」を搭載している点が異なります。さらに、ぜんまいを2つ搭載した「ツインバレル」を採用し、持続時間や精度を向上させている点も異なるポイントです。

キャリバー9SA5を搭載したモデルもバリエーションが豊富ですが、こちらの「SLGH013」のダイアルは、グランドセイコーの機械式時計を製造する施設「グランドセイコースタジオ 雫石」から見える雄大な岩手山をイメージしたデザイン。アイスブルーカラーが特徴の一本で、外装に美しくも堅牢なブリリアントスチールが使用されています。

グランドセイコー SLGH013の文字盤

60石:自動巻き クロノグラフ ハイビート デュアルインパルス脱進機 ツインバレル搭載モデル SLGC001

グランドセイコー SLGC001の全体図

SLGC001」は、2023年に誕生したグランドセイコー初の機械式クロノグラフです。このモデルが搭載する「キャリバー9SC5」には、60もの石が使用されています。

前述の「デュアルインパルス脱進機」と「ツインバレル」を搭載しているだけでなく、そこにクロノグラフも合わさっており、さらに10振動のハイビートも備えています。60という石数にも納得でしょう。さらに、10振動のハイビートとしては、世界最長の最大72時間のパワーリザーブを有しており、その特徴からテンタグラフという名が付けられています。(2023年の発売時点)

こちらのダイアルにも岩手山をイメージしたパターンが施されていて、高級感とクロノグラフのスポーティなイメージが絶妙に融合したデザインが特徴。ケースにはブライトチタンが使用されており、軽やかかつタフネスなスポーツモデルとなっています。

グランドセイコー SLGC001のバンド

機械式腕時計のご購入は正規販売店で

機械式腕時計を選ぶ際は、「石数」にも注目してみましょう。石数は多ければ多いほどよいというわけではありませんが、腕時計の内部構造の複雑さを示す一つの指標であり、シースルーバックの裏面のデザイン性にも影響する要素です。

機械式の腕時計をお探しの際は、高級腕時計の正規販売店HARADAをご利用ください。当ページでご紹介したグランドセイコーのモデルだけでなく、多種多様な高級腕時計ブランドのモデルを正規販売店として取り扱っています。

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この記事の監修

腕時計販売店 HARADA
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