本記事では腕時計に付いているベゼルについて紹介します。その役目や使い方、豊富な種類まで解説いたしますので、腕時計の知識をさらに深めたい方は、ぜひご一読いただけると幸いです。
ベゼルとは風防の外側を囲むパーツ
ベゼルとは、腕時計の風防（ガラス部分）の外側を囲む枠です。時計の保護を果たす重要な役割を持っており、身近なものではスマートフォンの画面周辺の枠もベゼルと呼ばれています。
ベゼルは本来、風防を固定させるためのパーツとして用いられていました。風防は文字盤を覆い、外部からの衝撃や圧力から保護する部品。ベゼルはこれを文字盤上に固定するために使用されていたのが始まりです。
昨今では、風防を固定するのに加えて、さまざまな機能を持たせるケースも増えてきました。詳しくは後述しますが、例えば水中でも使えるダイバーズウォッチには、潜水時間を計測できる回転ベゼルが搭載されており、ひと目で経過時間を把握できるようになっています。
またベゼルは、時計の外観にも大きく影響を与える要素です。ベゼルの素材や色、形状によって、時計の全体的なデザインが大きく変わります。そのため、個性的なデザインをアピールする役割も担っています。
ベゼルの使い方
ベゼルにはさまざまな種類があり、その使い方は時計のタイプや機能によって大きく異なります。例えば、先ほども紹介したダイバーズウォッチによく見られるベゼルには、0から60までの数字が刻まれており、秒数を簡単に確認することが可能です。誤作動を防止する逆回転防止ベゼルなどもあり、さまざまな工夫が見られます。
またタキメーターが刻まれたベゼルも有名です。タキメーターは1kmあたりの時間を計測することで時速を測る機能であり、クロノグラフ（ストップウォッチ機能付きの時計）のベゼルに度々採用されます。
ベゼルで腕時計の印象は変わる
先述の通り、ベゼルは腕時計の印象や機能性を大きく左右する部品です。主なベゼルの種類は、以下の5種類であり、それぞれで役目が異なります。
・タキメーターベゼル
・逆回転防止ベゼル（ダイバーズタイプ）
・GMTベゼル
・インナー回転ベゼル
・スタンダードベゼル
上記に加えて、デザインが特徴的なベゼルも多くあります。
タキメーターベゼル
タキメーターベゼルは、特にクロノグラフ機能を持つ時計に見られるベゼルです。タキメーターはギリシャ語の「タキス」（tachys、速い）と「メトロン」（metron、測定）から派生しており、「速度を測定する」という意味を持ちます。モーターレーサーやパイロットなど、常に速度を気にしなければならない職種の人々に活用される形で発展してきました。
タキメーターベゼルの主な機能は、測定した距離（通常1キロメートルまたは1マイル）を走行するのにかかった時間から、平均速度を計算できることです。時計のベゼル部分に数字が刻まれており、速度単位（通常は時速）を読み取れます。
オメガ スピードマスター ’57 コーアクシャル マスター クロノメーター クロノグラフ 40.5MM
タキメーターベゼルが使われている商品の例は「オメガ スピードマスター ’57 コーアクシャル マスター クロノメーター クロノグラフ 40.5MM」です。
1957年のオリジナルモデルをオマージュしており、クラシックなデザイン性と高い機能性で知られています。
ステンレスのベゼルにはブラックのタキメータースケールが取り付けられており、スタイリッシュな雰囲気が魅力的です。そのクラシカルテイストゆえに、スポーツモデルながら汎用性の高い腕時計と言えるでしょう。
逆回転防止ベゼル（ダイバーズタイプ）
逆回転防止ベゼル（ダイバーズタイプ）は、主にダイバーズウォッチに搭載されている、安全機能を備えたベゼルです。ダイバーズウォッチが本格的に開発され始めた1950年代に普及しました。
耐久性のある素材で作られている上、ノッチや溝がついているため、濡れた手や手袋をはめた手でも操作しやすいようになっています。
逆回転防止ベゼルの主な用途は、潜水時間の把握です。ダイバーは潜水を開始する直前にベゼルを回して、0のマーカーと分針を同期させます。その後の潜水時間はベゼルのスケールで確認できます。
なお、ベゼルは一方向にしか回転しないため、誤って触れたり何らかの接触があったりしても、ズレるのは片側だけになります。さらに、仮にずれたとしても、潜水時間が短くなる方向にしかベゼルが回転しないため、予定を超えた潜水を防ぐことができます。
オメガ シーマスター ダイバー300M 42MM
逆回転防止ベゼル（ダイバーズタイプ）で有名な商品は「オメガ シーマスター ダイバー 300M 42MM」です。
1993年の発売以来、プロのダイバーだけでなく、時計愛好家からも高い評価を受けています。耐磁性に優れたオメガのキャリバー8800を搭載しており、スイス連邦計量・認定局（METAS）による厳しい認証をクリアした、マスタークロノメーターモデルに認定されています。
また逆回転防止ベゼルの他に、ヘリウムエスケープバルブが取り付けられており、水深300メートルまで耐えられる防水性能も完備。本格的なダイバーズウォッチに仕上がっています。
洗練された外観と機能性は、日常使いから本格的なダイビングまで幅広いシーンで活躍するでしょう。
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GMTベゼル
GMTベゼルは、ワールドタイム機能を持っている時計に搭載されるものです。24時間の目盛りが刻まれており、日中の時間帯（AM）と夜間の時間帯（PM）を区別しつつ、世界中の時間を把握できます。
GMTベゼルを持つ時計は、2つのタイムゾーンを同時に表示できるため「デュアルタイム」とも呼ばれます。特に、海外旅行者やグローバルに活躍するビジネスパーソンにおすすめです。
グランドセイコー メカニカル SBGJ237
GMTベゼルが付いている時計でおすすめなのは「」です。
10振動（36,000振動/時）の高精度ムーブメントを搭載しており、精密な時間計測ができます。44.2mmのケースサイズで、存在感も抜群です。
またベゼルは白（AM）と青（PM）の2色構成になっており、爽やかな印象です。文字盤はミッドナイトブルーになっており、青を基調としたデザインで洗練されています。光の当たり方によってベゼルの色味が大きく変わるなど、長く使っていても飽きないデザイン性が魅力的です。
さらに55時間のパワーリザーブや、20気圧の防水性能など、機能性にも優れています。
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インナー回転ベゼル
インナー回転ベゼルは、ダイアルの見返し部に搭載されたベゼルのことを指します。時計の外側にあるベゼルとは異なり、風防の内側にあるため、全体的にコンパクトにまとまった印象があります。また文字盤と直接つながっているため、デザイン面でも評価が高いのが特徴です。
インナー回転ベゼルの機能は、外側に取り付けられる回転ベゼルと同様に、時間の計測やタイマーとして使用されるケースがほとんどです。例えばダイバーズウォッチでは、潜水時間の計測に使われます。
GMT機能を持つ時計では、GMTベゼルと同じように、異なるタイムゾーンの時間を表示する目的で使われます。つまり、基本的には逆回転防止ベゼル（ダイバーズタイプ）やGMTベゼルなどと同様の機能で「時計の外側についているか、内側についているか」の違いです。
ロンジン レジェンドダイバー
インナー回転ベゼルの時計でおすすめなのは「ロンジン レジェンドダイバー」です。
1960年代のダイバーウォッチをベースにしており、ケースサイズ42mm、厚さ12.7mmとなっています。 インナー回転ベゼルでダイバーズウォッチとしても扱いやすく、Swiss Super-LumiNovaを使用した夜光塗料で、夜間での視認性にも優れています。ロンジンの技術力とデザインの美しさを象徴する時計といえるでしょう。
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ノーマルベゼル
ここでは、滑らかで一体感のあるデザインのベゼルをノーマルベゼルと定義して説明します。最も一般的なデザインであり、表面に凹凸や目盛りがなく、光沢のある滑らかな仕上げが特徴です。シンプルで洗練されたデザインを好むユーザーに人気があります。
こういったタイプのベゼルは、主に装飾の目的で使用されます。タキメーターベゼルや逆回転防止ベゼル（ダイバーズタイプ）のように、ベゼルに目盛が刻まれているわけではないため、何かの情報を測定する機能はありません。
こういった装飾やスケールのないベゼルは、時計のデザインがより洗練され、フォーマルな装いに適したスタイルを求めるようになった時代の流れで発展してきました。特にビジネスシーンや、正装を要する場での使用を想定しています。
また時計のケースと一体化したデザインが多く、ケースとの境界がほとんどないものもあります。ただし、光沢のある仕上げのものはベゼル自体の傷が目立ちやすいため、日常的なメンテナンスが必要です。
デザインが特徴的なベゼル
他にも、デザインが特徴的なベゼルがいくつかあります。デザイン、機能性含めておすすめな商品を4つピックアップしご紹介します。
カシオ オシアナス マンタ OCW-S5000MB-1ajf
この「カシオ オシアナス マンタ」は、蒔絵入りサファイアガラスベゼルを使用しているモデルです。コンセプトは飛沫（しぶき）で、水の躍動感が表現されており、まさに唯一無二のデザインとなっています。比較的薄型でありながら、耐久性にも優れており、日常生活における幅広いシーンで使用できるのも魅力的です。
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カシオ MT-G Gショック（MTG-B3000 Series）
「カシオ MT-G Gショック（MTG-B3000 Series）」は、オーロラオーバルがコンセプトになったモデルです。トップベゼルには、耐久性を高めるための特殊な再結晶化処理と深層硬化処理が施されており、有機的な質感のレインボーコーティングがほどこされています。バンドはスケルトン樹脂を使用した、ベゼルと相性の良いパープルのものを採用。バンドの付け替えには専用工具が必要ないため、カスタマイズ性も高いといえます。
グランドセイコー SBGE248
「グランドセイコー SBGE248」は、18Kイエローゴールドとステンレススチールを組み合わせたモデルです。ブルーとゴールドのコントラストが魅力的で、ラグジュアリーリゾートを思わせるデザインとなっています。見た目だけでなく機能性にも優れており、約72時間のパワーリザーブとGMT表示機能を備えています。
ボールウォッチ エンジニアマスター ノルマンディ CM3188D-SCJ-BE
「ノルマンディ CM3188D-SCJ-BE」は、計算尺を備えた回転ベゼルを特徴とするクロノグラフモデルです。回転計算尺ベゼルは、主にパイロットウォッチやナビゲーション用の時計に取り付けられており、飛行速度や燃料などの航空計算に役立ちます。またキロ（km）、海里（NAUT）、法定マイル（STAT）など単位換算機能もあり、さまざまな情報を把握するのに便利です。
日常生活では活躍の場がほとんどない機能ですが、そのオーバースペックというロマンは格別です。加えて直径45.7mm、厚さ13.8mmと、そのサイズは存在感があり、カジュアルシーンでの使用にも適しています。
ベゼルのデザイン性にも注目
本記事では、腕時計に取り付けられているベゼルを紹介しました。ベゼルは、単に風防を守るだけでなく、さまざまな役割を果たしています。ダイビングタイムを計測する回転ベゼルや、二つのタイムゾーンを表示するGMTベゼルなど、その種類はさまざまです。
また時計のコンセプトを表現するなど、ベゼルはデザイン面でも印象を変える重要なパーツです。ベゼルに関する知識が深まると、腕時計の魅力をより深く理解でき、選ぶ楽しみや所有する喜びが増すでしょう。ぜひいろいろな時計を見てみてください。
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この記事の監修
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