
デザイン文法、「グランドセイコースタイル」にのっとった腕時計つくりを進めるグランドセイコー。その多彩なラインナップは2025年現在、ヘリテージ、スポーツ、エレガンス、エボリューション9スタイルの4つに分類されています。
その中でも、エボリューション9 コレクションは、グランドセイコーの真髄を継承しながら、新たなデザイン文法と最先端の技術を融合させた、次世代を象徴するコレクションとして2020年に誕生しました。本記事ではその魅力を、お勧めモデルをふまえつつご紹介いたします。
グランドセイコーとは?

グランドセイコーは、1960年に誕生した日本が世界に誇る高級時計ブランドです。スイス製時計が市場を席巻していた当時、世界に挑戦する国産腕時計を作るというコンセプトのもと、初代モデルが開発されました。そして現在に至るまで、優れたクラフトマンシップのもと、日本人らしい哲学が反映されたコレクションを輩出し続けています。
その特徴には、自社で製造を完結するマニファクチュールの体制や、1967年、田中太郎氏によって確立された「セイコースタイル」に準じたデザイン美学、豊かな表現技法などが挙げられるでしょう。さらに、機械式、クォーツ、スプリングドライブという3つのムーブメントを搭載したモデルを展開することで、多くの需要に応えています。
グランドセイコーのエボリューション9コレクションとは?

エボリューション9 コレクションの最大の特徴は、そのデザインの根幹となる「エボリューション9 スタイル」の採用です。これは、1967年に確立されたグランドセイコーのデザイン哲学「(グランド)セイコースタイル」を受け継ぎながら、さらに進化させた独自のデザイン文法です。

セイコースタイルが「時計としての使いやすさ、美しさ」を追求してきたのに対し、エボリューション9 スタイルは、日本人の美意識、特に光と陰の間に存在する「中間の美」をより深く表現することを目指しています。例えば、障子や縁側など、日本の生活様式に見られる光と陰の柔らかな共存からインスピレーションを得て、光の表現に鋭い感覚を持つ日本人の感性をデザインに昇華させているのです。

さらに、エボリューション9コレクションの多くのモデルには、従来のモデルのそれとは一線を画す性能のムーブメントが搭載されています。デザイン性、機能面で卓越性を誇る、その名の通りグランドセイコーの「進化」を体現するコレクションと言えるでしょう。
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エボリューション9スタイルを形作る3つのデザイン方針

エボリューション9 スタイルは、基となったセイコースタイルから、以下の3つのデザイン方針に準じた進化を遂げています。これは、セイコースタイルでも重んじられていた、「正確さ、見やすさ、美しさ、そして永く使えること」をより追求するものと言えるでしょう。
審美性の進化
セイコースタイルの根源は、日本的な美意識や自然観が息づいています。そして、エボリューション9スタイルでは、光と陰の中間にある豊かなグラデーションや、平面と平滑な曲面を立体的に連ねた張りのある造形を採用することで、これをより鮮明化しています。
視認性の進化

初代グランドセイコーから受け継がれる、時間を読み取りやすくするための配慮をさらに進化させています。立体的なインデックスや太い針はそのままに、多面カット、溝を入れるなど、それぞれの識別性を高めた形状を採用し、強い光源下でも高い視認性を実現しています。
装着性の進化
エボリューション9スタイルでは、ケースの重心位置を下げる、かん幅をより広くする、幅広で適切な厚みを持たせたブレスレットを採用するといった試みによって、安定した快適な装着感を実現するための設計が施されています。

エボリューション9スタイルの9つのデザイン要素
上記の3つのデザイン方針に基づき、エボリューション9スタイルはさらに9つのデザイン要素を独自に定義しています。これは、セイコースタイルから引き継いだもの、進化を遂げたもの、新たに加わったものまで様々で、これらによって、エボリューション9コレクションは新鮮でありつつも、アイコニックなコレクションとして成立しているのです。
ケース径の1/2以上の幅を持つブレスレット
ブレスレットの幅は、ケース径の半分以上とすることで、時計全体の安定感を向上させています。これも装着性の向上に貢献する要素です。

しっかりした厚さをもたせたブレスレット
ブレスレットは、適度な厚みを持たせることで、手首へのホールド性を高めています。これにより、時計の重さや大きさを感じさせない、優れた腕なじみを実現しています。
低重心なケース
ガラスの取り付け位置を低くするとともに、ケース側面にボリュームを持たせることで、腕時計全体の重心を下げています。これにより、腕へのフィット感を高め、安定した装着感を実現しています。また、同様に低い重心を持つムーブメントを採用することで、吸い付くような着用感のモデルも登場しています。
筋目を主体に鏡面と連ねた多面ケース

ケースは、平滑に磨かれた鏡面仕上げの面と、細やかな筋目仕上げ(ヘアライン仕上げ)の面を組み合わせた立体的な造形です。この組み合わせにより、光の当たり具合によって繊細な明暗が生まれ、日本の美意識に根差した審美性を高めます。ベゼルも同様に、平滑なヘアライン面と歪みのない鏡面が組み合わされています。
接線サイドライン
ケース側面は、ラグの先端からもう一方のラグの先端へと、流れるような弧を描くラインで構成されています。これはセイコースタイルから継承された要素です。
フラットダイヤル
文字盤は、視認性を重視して平坦な形状を採用しています。ダイナミックな型打ちダイアルも、厚くクリア塗装することで平滑な表面を実現。これもセイコースタイルから継承された特徴となっています。
多面カットを施した、それぞれで全く異なる形状を持つ分針と時針
長針、短針は多面的にカットされており、わずかな光も捉えて輝きます。また、分針は目盛りまでしっかりと届くように長く、時針は分針と明確に区別できるよう幅広く設計されたことで、高い視認性を実現しています。

他の2倍以上の幅を持つ12時インデックス
文字盤の12時位置にあるインデックスは、他のインデックスの2倍以上の幅を持たせることで、瞬時に時刻を認識できるように視認性を高めています。
深い溝を入れた多面的なダイヤカットインデックス
インデックスは、針と同様に立体的な多面カットが施され、その中央には深い溝が入れられています。この溝が光を捉え、どの角度からでも目盛りの位置を正確に判読できるように設計されています。
エボリューション9コレクションのおすすめモデル5選を紹介
エボリューション9 コレクションでは、グランドセイコーが誇る9Sメカニカルと9Rスプリングドライブのいずれかを搭載した多彩なモデルが展開されています。ここでは、その中から特におすすめの5つのモデルをご紹介します。
定番の白樺メカニカル『SLGH005』
「白樺」の愛称で知られるSLGH005は、グランドセイコーの機械式時計の製造拠点である「グランドセイコースタジオ 雫石」の近くに広がる美しい白樺林からインスピレーションを得たモデルです。

ダイナミッな型打ち模様と繊細なカラーリングを施したダイヤルは、白樺の力強い生命力と、光と影が織りなす美しい情景を表現しており、エボリューション9スタイルの「光と影の中間の美」を堪能できます。白樺の樹皮を忠実に再現した、非常に細かく有機的な型打ち模様は、光の当たり方によって様々な表情を見せ、飽きも来にくい仕様です。

搭載するムーブメントは、毎時36,000振動のハイビートでありながら約80時間のパワーリザーブを実現したメカニカルハイビートムーブメント、キャリバー9SA5です。ケース直径は40mmと一般的、ケース厚は11.7mmにまで抑えられており、快適な装着感もその魅力となっています。
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GS初の機械式クロノグラフ『SLGC001』
SLGC001は、「テンタグラフ」の通称が付けられた機械式クロノグラフモデルです。エボリューション9スタイルをベースに、よりスポーティにアップデートされたデザインが特徴で、直感的な使いやすさと高い視認性を追求しています。

また、深いブルーのダイアルには、「グランドセイコースタジオ 雫石」から望む雄大な岩手山の山肌を表現した「岩手山パターン」が施されており、光の当たり方によって様々な表情を見せます。
さらに、インデックスと針には夜光塗料が塗布され、暗闇での視認性も抜群です。3つのサブダイアルは、それぞれ異なる機能(30分積算計、12時間積算計、スモールセコンド)を持ち、内側には同心円状の模様が施され、高い質感と判読性も実現されています。

外装の素材は、堅牢で軽量なブライトチタンであり、セラミックス製のベゼルが、スポーティなテイストと耐傷性を両立。際立つ色合いをあえて用いないことで、あらゆるシーンにマッチしやすい汎用性も備えました。
搭載するムーブメントは、毎秒10振動のハイビートクロノグラフ「キャリバー9SC5」です。10振動のメカニカルクロノグラフとしては世界最長となる、最大巻上時約72時間(約3日間)の持続時間を実現しており、その特徴から「テンタグラフ」と呼ばれています。
阿寺川を表現したグラデーションダイアル『SLGA025』
SLGA025は、スプリングドライブの製造地である長野県の豊かな自然、特に木曽川水系の一級河川「阿寺川」が流れる阿寺渓谷のエメラルドグリーンの清流をモチーフにしたモデルです。

そのダイアルでは、鮮やかで深みのあるエメラルドグリーンによって、“阿寺ブルー”を表現。さらに、型打ちによって施されたランダムなパターンは濃淡のグラデーションを生み出し、阿寺渓谷の水面のような、揺らめく美しさを再現しています。ケースとブレスレットには軽くてさびにくいブライトチタンを採用し、軽快な装着感を提供します。

ケースサイズは直径40mm、厚さ11.8mmとスリムな仕上がりで、着用する腕元を選びません。その一方で、機能性は抜群です。搭載するスプリングドライブの「キャリバー9RA2」は、最大巻上時には約120時間(約5日間)にわたって動き続け、平均月差±10秒という高精度を実現しています。美観だけでなく実用性も兼ねる1本と言えるでしょう。
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力強いスポーティテイストを持つ『SBGE283』
SBGE283は、GMT機能そのものを強調した力強いデザインが特徴のモデル。正確かつ迅速に時刻を読み取ることができ、デザインバランスの精緻さを極めながらも、モダンな印象を備えています。ダイアルは光沢を抑えたブラックで、落ち着きつつも力強く、洗練されたデザインを実現。 ブラックダイアルにメタルベゼルを備えた普遍的なデザインは、様々なシーンで活躍してくれるでしょう。

また、インデックスと針には、夜光塗料が塗布され、暗闇での視認性も確保されています。加えて、7時位置と8時位置の間には、パワーリザーブインジケーターが配置され、ゼンマイの巻き上げ残量を確認できます。
ムーブメントには、スプリングドライブとして初めてGMT機能が搭載された「キャリバー9R66」を採用しています。約72時間のパワーリザーブと、平均月差±15秒(日差±1秒相当)の精度、パワーリザーブ表示機能を備えており、実用性にも優れています。

ケースはブライトチタン製で、軽やかでありながら堅牢な作りです。ケース直径は41mm、厚みは13.9mmと一般的なサイズ感であり、防水性は10気圧を備えています。汎用性の高い1本をお探しのあなたに。
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本格派のスプリングドライブダイバーズ『SLGA023』
『SLGA023』は、SLGA023は、スプリングドライブ5Daysムーブメント「キャリバー9RA5」を搭載した、200m潜水用ダイバーズウオッチです。日本近海のダイナミックな海流、「黒潮」と「親潮」がぶつかり合う様子を、波打つような力強いダイアルパターンで表現しています。

ダイバーズウォッチらしく、視認性重視の設計も本作の魅力です。多面カットが施された太い時分針やインデックスには夜光塗料が塗布されており、夜間での視認性も確保されました。12時位置のみ特に太いホームベースのような形状は、エボリューション9スタイルの特徴を強調しています。

セラミックス製の逆回転防止ベゼルには、ミニッツスケールが刻印され、数字は太く、視認性に優れています。12時位置の夜光ポイントと、ベゼル外周のローレット加工は、ダイバーの安全と操作性を考慮した設計です。
ムーブメントは「キャリバー9RA5」を搭載しており、、最大巻上時約120時間(約5日間)のロングパワーリザーブと、平均月差±10秒の高精度を実現しています。
なお、本作は防水性は200mの潜水用防水に加え、過酷な環境に耐えうる判読性、操作性、堅牢性を備えたことで、ダイバーズウォッチに求められるISO規格を満たしています。
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グランドセイコーの次世代を担う、エボリューション9コレクション
グランドセイコーのエボリューション9 コレクションは、日本の美意識を深く追求し、革新的な技術とデザインを融合させた、まさに次世代のグランドセイコーを体現するコレクションです。セイコースタイルから進化を遂げたエボリューション9スタイルの採用は、審美性、視認性、装着性の全てを高め、所有する喜びと永く愛用できる品質を提供してくれることでしょう。
この記事の監修

- 資格:日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
担当ブランド:Grand Seiko、NORQAIN
腕時計販売店ハラダのオンライン担当。
腕時計の撮影、オンライン上でのマーケティング全般を担当。
最新のトレンドからクラシックなモデルまで、幅広い腕時計の情報を提供し、特に日本の腕時計ブランドであるグランドセイコーの魅力を発信することに注力。グランドセイコーの精密な技術と美しいデザインについて詳しく紹介し、時計の選び方や魅力を伝える事に生きがいを感じている。