
当記事では、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025にて発表された、グランドセイコー エボリューション9コレクション 9Sメカニカル「SLGC007」を早速ご紹介いたします。本作は、2023年にブランド初の機械式クロノグラフとして登場した「テンタグラフ」の新作です。新たにモノクロ調のカラーリングを採用し、王道的なクロノグラフフェイスが演出された本作の魅力を、深掘りしていきます。
※SLGC007の発売は、2025年5月を予定しております。当店でご予約を受け付けておりますので、ぜひ一度ご検討くださいませ。
グランドセイコーとは?

グランドセイコーは、1960年に誕生した日本が世界に誇る高級時計ブランドです。スイス製時計が市場を席巻していた当時、世界に挑戦する国産腕時計を作るというコンセプトのもと、初代モデルが開発されました。そして現在に至るまで、優れたクラフトマンシップのもと、日本人らしい哲学が反映されたコレクションを輩出し続けています。
その特徴には、自社で製造を完結するマニファクチュールの体制や、1967年、田中太郎氏によって確立された「グランドセイコースタイル」に準じたデザイン美学、豊かな表現技法などが挙げられるでしょう。さらに、機械式、クォーツ、スプリングドライブという3つのムーブメントを搭載したモデルを展開することで、多くの需要に応えています。
テンタグラフがより王道的なフェイスで登場!
SLGC007は、ブランド初の機械式クロノグラフモデルとして登場した「SLGC001」のカラーバリエーションに当たるモデルです。
従来モデルSLGC001が、ブランドカラーに近いネイビーカラーを採用していたのに対し、本作では新たに、淡いブルーカラーを採用し、コントラストが効いた表情を演出しています。よりスポーティな印象になった本作の魅力を、まずはデザインから深掘りしていきましょう。
厳冬の岩手山を表現したパンダ調ダイアル

ダイアルのレイアウトは、テンタグラフと同様、横三つ目のクロノグラフデザインを採用。3つのサブダイアルを持つゆえの情報量の多さが品良くまとめられています。また、ダイアルは、厳冬の岩手山を思わせる淡いブルーカラーで彩られており、サンレイ仕上げのブラックインダイアルと合わせることで、パンダ調のフェイスを演出しています。
モノクロ調のカラーリングは王道的で、ビジネスシーンにも違和感なく合わせやすいでしょう。
岩手山ダイアル
ダイアルは、「岩手山パターン」と呼ばれる精密な型打ち模様も特徴としています。これは、グランドセイコーの機械式ムーブメントが生み出される「グランドセイコースタジオ 雫石」近くの岩手山の山肌を再現したもので、光の反射を受け、繊細に表情を変化させるものとなっています。

また、従来モデルでも見られた、サブダイアルを一段下げた構造が本作でも採用されています。力強い造形で見やすい針、インデックスもエボリューション9スタイルをスポーティに再解釈したものであり、ダイアルの中で存在感を発揮しています。
高精度を守る軽やかかつタフな外装
SLGC007のケースには、ブライトチタン が採用されています。ブライトチタンは、軽量でありながら耐アレルギー性、耐傷性に優れる素材であり、特有の白い輝きが高級感も演出します。

ケースサイズは横 43.2mm、縦 51.5mm、厚さは、15.3mmと、存在感のあるサイズ。ブレスレットも含めた全体的な表面仕上げは、エボリューション9スタイルに準拠しており、ヘアラインを中心に、各所にポリッシュ仕上げを施すことで、メリハリが効いています。
ベゼルはセラミックス製で、精悍な雰囲気を高めつつ、耐傷性の高い仕様です。
なお、その表面には1km単位で時速を計測するタキメーターが記されました。
低重心設計と幅広ブレスレットが生み出す良好な着用感
ケースでは、ムーブメントも含めた重心がケース中心より下になるよう設計されており、腕に吸い付くような着用感が備わっています。ブレスレットも、ケース径の半分以上の幅を持つよう、幅広に設計されており、腕へのホールド感を高めています。
機械式クロノグラフ「テンタグラフ」を搭載

SLGC007には、ブランド史上初となった機械式クロノグラフムーブメント「キャリバー9SC5」が搭載されています。
グランドセイコーの次世代ムーブメント「キャリバー9SA5」をベースとしたクロノグラフムーブメントであり、『TEN beat(10振動)』『Three days(3日間持続)』『Automatic(自動巻)』『ChronoGRAPH(クロノグラフ)』という特徴から、TENTAGRAPH(テンタグラフ)と呼ばれています。おさらいの意味も込めて、その特徴を確認していきましょう。
10振動による正確かつ安定した計測が可能
クロノグラフ機能は主時計と同じ振動数になり、振動数によって変わる特性がそのままストップウォッチ機能に引き継がれます。そのため10振動のクロノグラフモデルである本機では、日差+5秒~-3秒の高精度と、ハイビートモデルゆえの安定した運針で計測を行えます。
計測機器としての側面が強調されたクロノグラフモデルにおいて、この性能はまさに理想的。細かくビートを刻むように進む秒針からは、何度もクロノグラフの操作をしたくなるような魅力が感じられるでしょう。
針飛びが起こりにくい「垂直クラッチ方式」
主時計と同じ動力源を持つクロノグラフ機構は、スタート時に動いている歯車と止まっているクロノグラフ用の歯車が噛み合うことで、計測が開始されます。この時、クロノグラフ針がぶれてしまい、正常に計測をスタートできないことがあります。
これは「針飛び」と呼ばれる現象で、それぞれの歯車が水平に配置される水平クラッチ方式のクロノグラフモデルでしばしば見られるものとなっています。

その点、キャリバー9SC5には「垂直クラッチ方式」が採用されています。この機構は、動いている主時計の歯車と、クロノグラフ用の歯車が垂直に接触する仕組みになっており、針飛びを可能な限り抑えられるようになっています。
一方で、垂直クラッチ方式は水平クラッチ方式に比べて腕時計が厚くなるデメリットがありますが、本機は薄型ムーブメントであるキャリバー9SA5がベースになっているため、腕時計自体の厚みも平均的に抑えられています。
高品質の証「ピラーホイール(コラムホイール)方式」を採用

本作のクロノグラフ(ストップウォッチ)機能は、高品質なクロノグラフモデルにのみ採用されるピラーホイール式を採用しています。そのメリットは、プッシュボタンを押す力が機能に影響しにくいこと。軽い操作感で確実なスタート・ストップを行えます。
また、この機構は内部部品に加わるトルクが分散されるため、故障しにくいこともメリットとなります。
ただし、このピラーホイールの製造には高度な技術が必要となるため、高品質なクロノグラフモデルにしか搭載できない点がデメリットとなっています。
世界最長となる72時間のパワーリザーブ

キャリバー9SA5と同様にゼンマイを収める香箱を2つ備えた本機は、安定したトルクの供給と歯車への負担の軽減に成功しています。その結果、ハイビートムーブメントのネックをものともしない、ロングパワーリザーブと高いメンテナンス性を獲得。10振動のメカニカルクロノグラフムーブメントとしては世界最長となる、約72時間ものパワーリザーブを実現しています。
確実に3つの針をリセットする「三叉ハンマー」

計測中にストップした各種クロノグラフ針は、4時位置のボタン操作で一瞬で帰零します。このリセットを確実なものとしているのが「三叉ハンマー」と呼ばれる機構です。これも、セイコー時代からクロノグラフモデルを多く手がけてきた、ブランドの技術力があってこそのものと言えるでしょう。
SLGC007の機能・防水性・耐久性
SLGC007はねじ込み式リュウズを備えており、日常生活用強化防水(10気圧)が確保されています。さらに、耐磁性に加えて、ブライトチタンによる耐久性、耐アレルギー性も備えているため、普段使いにも適したクロノグラフモデルと言えるでしょう。
機能面では、30分計と12時間計のクロノグラフ機能に加え、時速を計測できるタキメーターを搭載。ダイアルの4時位置には、カレンダー機能も備えています。
SLGC007のサイズ感、重さ
SLGC001は直径43.2mm、厚さ15.3mmと、スポーツモデルらしいケースサイズを備えています。一方で、重心を下げた設計や、サイドを絞ったケース造形によって、その厚みを感じさせません。
重さは154gと、ステンレススティールケースを持つ3針の機械式モデルの重さと大差なく、手元に心地よい重みを感じられるでしょう。
グランドセイコーのアフターサービス
国内最高峰の品質を誇るグランドセイコーは、お買い上げいただいた後のケアもまた業界最高水準です。ここでは、グランドセイコーだけのさまざまなアフターサービスについてご紹介します。グランドセイコーサロンである当店でご購入いただけた場合の特典もございますので、ぜひ合わせてご検討くださいませ。
グランドセイコーの無料保証期間と内容
SBG001には、ご購入後5年間の無料保証が付いており、万が一の際にも安心して修理依頼ができます。保証対象は、時計本体(ムーブメント、ケース)およびメタルブレスレットで、説明書通りの使用中に生じた不具合を無料で修理・調整してもらえます。
ただし、保証期間内であっても、天災地変による故障または損傷、公式オーバーホールサービスには対応していませんので注意が必要です。もちろん、その際には有料ではありますが、修理は問題なく依頼できます。
グランドセイコーのコンプリートサービス
グランドセイコーには「コンプリートサービス」と呼ばれる、内装修理・オーバーホールとライトポリッシュを行うサービスがあります。このサービスもまた、グランドセイコーが多大な支持を得ている理由のひとつと言えます。
コンプリートサービスでは、専門の修理技能士が純正部品で的確な修理対応を行います。さらに、販売から修理に至る情報を一元管理しているため、迅速かつ適切な対応を可能としているのです。
SLGC001のような追加機構を持つモデルであれば、なおのこと、定期的な利用を心がけたいというものでしょう。

なお、サロンである当店でグランドセイコーをご購入いただいた場合、通常の保証書とは別にメンテナンスサポートカードをお渡ししております。
こちらを公式メンテナンスのご依頼の際にご提示いただければ、匠の技術によるメンテナンスサービスを通常よりお手頃な価格でご利用いただけるようになります。
グランドセイコー購入者限定の「GS9 Club」
グランドセイコーを購入した後の楽しみのひとつが、ファンクラブである「GS9 Club」の存在です。こちらはマスターショップ以上のグランドセイコー正規販売店でしか入会できないため、特別感のある会員サービスと言えます。
「GS9 Club」の入会特典には、以下のようなものがあります。
- 特別なイベントへのご招待
- 特別なキャンペーンへのご招待
- マイページ(ウォッチ登録)機能
「グランドセイコースタジオ 雫石」や「信州 時の匠工房」を見学するファクトリーツアーに参加できるのは、大きな特典のひとつです。
時計愛好家たちにとって、名匠たちが腕時計を手がける姿はこれ以上無い醍醐味となるでしょう。
グランドセイコー 9Sメカニカル
SLGC007の値段・スペック
ムーブメント
発売年月 | 2025年5月 |
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キャリバーNo | 9SC5 |
駆動方式 | メカニカル 自動巻(手巻つき) |
駆動時間 | 最大巻上時約72時間(約3日間)持続 |
精度 | 静的精度:平均日差+5秒〜-3秒 |
外観
外装 | ブライトチタンケース 一部セラミックス |
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ガラス材質 | ボックス型サファイア |
コーティング | 内面無反射コーティング |
ケースサイズ | 横 43.2mm 縦 51.5mm 厚さ 15.3mm |
腕周り長さ(最長) | 187mm |
バンド幅 | 23mm |
ルミブライト | あり(針・インデックス) |
中留 | ワンプッシュ三つ折れ方式 |
機能
防水 | 日常生活用強化防水(10気圧) |
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耐磁 | あり |
重量 | 154.0g |
その他 | ・シースルーバック ・ねじロック式りゅうず ・カレンダー(日付)機能つき ・石数 60石 ・タキメーターつき ・耐メタルアレルギー ・シースルースクリューバック ・ストップウオッチ機能(30分計・12時間計) |
この記事の監修

- 資格:日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
担当ブランド:Grand Seiko、NORQAIN
腕時計販売店ハラダのオンライン担当。
腕時計の撮影、オンライン上でのマーケティング全般を担当。
最新のトレンドからクラシックなモデルまで、幅広い腕時計の情報を提供し、特に日本の腕時計ブランドであるグランドセイコーの魅力を発信することに注力。グランドセイコーの精密な技術と美しいデザインについて詳しく紹介し、時計の選び方や魅力を伝える事に生きがいを感じている。