2021年に登場したのち、瞬く間に人気と知名度を高め、グランドセイコーの代表的なコレクションとなった「SLGH005」。白樺とも呼ばれる本作は、ブランドの新たなデザインコード「エボリューション9スタイル」を確立したモデルとして、マイルストーンとも呼ぶべき存在になっています。
当記事でご紹介するのは、この白樺のバリエーションモデルである「SLGH017」です。黒い白樺文字盤を備え、「ナイトバーチ(夜白樺)」という愛称で呼ばれる本作は、一部の店舗でしか購入できないサロン限定モデルとなっています。
そのデザイン性・特徴や、通常の白樺モデルSLGH005との違いも解説しますので、ぜひ最後までご一読ください。
【SLGH017のデザイン性】夜闇に浮かぶ白樺林を表現
SLGH005と同じく、白樺林をモチーフとする本作は、型打ちが刻まれた黒文字盤を採用することで夜の白樺林を表現しています。デザインには次世代のデザインコードである「エボリューション9スタイル」を採用。腕時計の実用性を追求しつつも、「光と影の間の美」と呼ばれる日本らしい美的表現が見られるモデルとなっています。
黒く染め上げられた白樺文字盤
夜の白樺林をモチーフにした本作のダイアルは、型打ちが刻まれたブラックになっています。この繊細な型打ちはグランドセイコーが得意とする文字盤装飾技術のひとつ。本作では彫りの深いディテールを刻むことで、単色ながら光と陰の表現を実現しています。
SLGH005はシルバーの型打ちで光と影のコントラストが際立つ仕上がりでしたが、本作は静かで調和の取れたグラデーションが魅力となるでしょう。
夜光無しでも見やすい表示部
エボリューション9スタイルが施された本作は、針・インデックスに多面カットが施されています。加えて、中心に刻みが入った形状は光を反射する面が多くなっており、夜光なしでも高い視認性を備えています。
独自性を備えつつも実用性の高いこの表示部は、グランドセイコーの次世代デザインコードを象徴する要素のひとつです。
ヘアラインを多用したチタンケース
本作のケースには、グランドセイコー独自のチタン素材であるブライトチタンが採用されています。このブライトチタンは軽やかで傷つきにくく、ステンレスとは一味違う質感・輝きが魅力となっています。
表面仕上げは、ベゼルを含めた全面で、細かい筋目が入ったヘアライン仕上げが多用されています。これは、コンセプトである「光と影の間の美」を表現する要素であり、落ち着いた輝きが唯一無二の文字盤を引き立てています。
もちろん、これらの仕上げのベースにはグランドセイコーを象徴する仕上げ技術「ザラツ研磨」が活用されており、歪みのない鏡面仕上げは、全体の雰囲気にメリハリを与えています。
がっしりと手首をホールドするブレスレット
ブレスレットは、ラグ部からバックルまでほとんど太さが変わらない、ノンテーパードタイプを採用。これにより、がっちりとした手首へのホールド感が実現されています。
表面仕上げもヘアラインが多用されており、腕時計全体で一体感が強調されています。
【SLGH017の機能性】薄型で高性能という理想を追求
本作の搭載ムーブメント、カタログスペックは白樺モデルSLGH005と同様です。つまり、数多のプライズでの受賞経験を持つフラグシップモデルと同じパフォーマンスが約束されており、その性能は極めて高い水準にあると言えます。
おさらいの意味も込めて、その性能をここでご紹介いたします。
ハイスペックムーブメントCal.9SA5を搭載
本モデルのムーブメントには、グランドセイコーの60周年を記念し誕生したメカニカルムーブメントCal.9SA5が搭載されています。マイクロ単位の精密な部品で構成されるデュアルインパルス脱進機やツインバレルの搭載によってその性能は圧巻の一言。
安定した精度を生み出す10振動でありながら、従来の機械式のパワーリザーブを超える80時間持続を備えており、その精度も日差+5秒〜-3秒という高水準を実現しています。
そのほかにも高い精度を作り出す独自設計の巻上ひげであったり、高い技術力が必要なフリースプラングテンプを採用することで、9Sメカニカルの中でも屈指の性能を有するムーブメントとなっています。
加えてこれだけのハイスペックムーブメントながら、構成部品にMEMS(微細加工技術)を用いたことで、手巻きムーブメントに迫る薄型化を実現しています。
なお、SLGH017は裏ぶたがシースルーバックになっているため、ムーブメントが駆動する様子や、緻密な装飾を楽しむことができます。
瞬間日送りカレンダー搭載
瞬間日送りカレンダーは、段階的にカレンダーが進むのではなく、その名の通り瞬時に日付が変わるカレンダー機能です。高級腕時計で有名なこの機能は、その高い品質の証明となっています。
日常生活用防水
SLGH017には10気圧の防水性が備わっており、ねじ込み式リュウズも備えているため、ある程度の水濡れを気にせずに使うことができます。ただし、スポーツモデルではないため、アクティブなシーンではなるべく外したほうが無難でしょう。
SLGH017のサイズ感
SLGH017の直径は40mmで、多くの方の手首にフィットするスタンダードサイズとなっています。一方、厚みは11.7mmという薄型化に成功しており、着け心地は抜群。後述するエボリューション9スタイルの設計も合わさって、肌に吸い付くような装着感を実現しています。
また、ブライトチタンの採用によって重量も114gにまで抑えられています。長時間着用するデイリーユースモデルにとって嬉しい性能と言えるでしょう。
エボリューション9スタイルの魅力
白樺と同じく、本作も次世代のデザインコードである「エボリューション9スタイル」を採用しています。グランドセイコーの教科書であるセイコースタイルから発展したエボリューション9スタイルは、腕時計の理想を追求するGSの精神が形になったものです。
視認性や着用感といった実用時計の機能性を追求しつつも、上質な輝きが与えられたコレクションの数々は、高級腕時計のひとつの理想形。隅々まで行き届いた職人技を感じ取れるモデルに仕上げあっています。
特にこのエボリューション9スタイルで注目したいのは、着用感でしょう。
重心を落とした設計に加えて、がっしりと手首をホールドする幅広ブレスレットは、驚くほど良好な着用感を実現しています。手首に吸い付くようなこの装着感は、一際実感しやすいエボリューション9スタイルの魅力と言えるでしょう。
ナイトバーチSLGH017と白樺SLGH005との違い
白樺モデル「SLGH005」との違いは、まず文字盤の色が挙げられるでしょう。白樺を模した深い彫りは共通していますが、色が鈍い光沢のあるシルバーから夜闇を模したブラックに変えられました。これにより、白樺とナイトバーチでは文字盤上のコントラストに差が見られます。
また、ブルースチール秒針のアクセントがなくなり、全体でモノクロカラーが強調されました。
また、ケース素材も異なります。通常の白樺はずっしりと存在感のあるステンレススティールですが、ナイトバーチにはGS独自のブライトチタンを採用。質感も大きく変わり、傷つきにくく軽やかという、実用時計に好ましい仕様となっています。
もちろん、どちらの素材も非常に上質かつ耐久性が高いため、最終的には好みの問題となるかもしれません。
グランドセイコーSLGFH017の値段・スペック
外装
外装 | ブライトチタン 裏ぶた:ブライトチタンとサファイアガラス |
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裏ぶた仕様 | シースルースクリューバック |
ガラス材質 | ボックス型サファイア |
コーティング | 内面無反射コーティング |
ケースサイズ | 横 40.0mm 縦 47.0mm 厚さ 11.7mm |
バンド幅 | 22mm |
中留 | ワンプッシュ三つ折れ方式 |
腕周り長さ(最長) | 192mm |
ムーブメント
ムーブメント | 9SA5 |
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駆動方式 | メカニカル 自動巻(手巻つき) |
駆動期間 | 最大巻上時約80時間持続 |
静的精度 | 平均日差+5秒~-3秒 |
携帯精度 | 日差+8~-1秒 |
機能
防水 | 日常生活用強化防水(10気圧) |
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耐磁 | あり |
重量 | 114 g |
その他 | ・ねじロック式りゅうず ・耐メタルアレルギー |
まとめ
グランドセイコーのSLGH017は、夜の白樺をイメージしたエボリューション9スタイルと、革新的な9Sメカニカルムーブメントを兼ね備えた逸品です。
当記事を参考に、SLGH017をぜひ手に取ってみてください。
ビジネスシーンやカジュアルシーンで活躍すること間違いなく、長年愛用できる一本となるでしょう。