
グランドセイコーの2025年10月の新作として、『SLGW007』が発売されました。ブランドのデザイン哲学「エボリューション9スタイル」をベースに、優美なドレスウォッチに仕上げられた本作は、豊かな表情のネイビーダイアルによって、月夜に照らされる白樺林の情景を表現しています。
また本作は、2024年に登場して話題を呼んだSLGW003のバリエーションモデルにあたりますが、デザインや素材などで差別化が見られます。当記事ではそれらの特徴に注目しつつ、手巻きドレスウォッチSLGW007の魅力に迫ります。
グランドセイコー「SLGW007」月夜に浮かぶ白樺デザイン

SLGW007は、グランドセイコーのデザインシリーズ「エボリューション9コレクション」に連なる最新作です。同コレクションで高い評価を得たハイビート手巻きメカニカルモデル「SLGW003」をベースに、新たなデザインコンセプト、素材が採用されました。
月明かりに照らされた白樺を表現したネイビーダイアル
グランドセイコーの代表的な意匠のひとつとなった「白樺文字盤」。2024年登場のSLGW003では、その新たな表現として、白樺の樹皮の質感が繊細な型打ちのダイアルで再現されていました。

そしてSLGW007では、「バーチバーク」と呼ばれるこの文字盤に新たな解釈が加えられています。採用されたのは、静かな夜の森を思わせる深いネイビーカラーです。横方向に刻まれた繊細な型打ち模様が光を受け、月光に照らされて浮かび上がる白樺樹皮の質感が、巧みに表現されました。

そして、デイト表示を持たないシンプルな構成も魅力のひとつ。この美しい情景をダイアルいっぱいに広げ、時計を見るたびに持ち主を楽しませてくれるはずです。
ドレッシーに洗練されたエボリューション9スタイル
SLGW007はエボリューション9コレクションに属しており、その針、インデックス、ケースフォルムは、視認性、着用性を重視してデザインされています。また、従来のエボリューション9のものからドレッシーにアレンジされており、インデックスやベゼル、ラグの幅がスリムに仕上げられました。

グランドセイコーらしく、優れた視認性、良好な着用感を重視した本作は、日常からフォーマルシーンまで長く愛用できる、普段使い向けのドレスウォッチとして、なんとも好ましい1本と言えるでしょう。
スリムなステンレススティールケース
本作は洗練されたステンレススティール製ケースを採用しています。ケースの厚みは9.95mmと薄型に仕上げられているため、袖口への収まりも良く、快適な装着感にも期待ができるでしょう。

また表面仕上げは、職人の手作業が不可欠なザラツ研磨によって、歪みなく仕上げられました。ヘアラインをベースに、ポリッシュでメリハリをつけた美観は、エボリューション9コレクションに共通する特徴です。柔らかく光を捉え、控えめながらも確かなエレガンスを放ちます。
ダイアルと調和するネイビーストラップ

ストラップには、ダイアルと同色の牛皮革ストラップが採用されています。その表面にはシボの風合いが入っており、やわらかな質感と高級感を両立しています。また、交換用のアリゲーターストラップも別売りで用意されているため、自分の好みに合わせて付け替えを楽しむこともできます。
白樺ダイアルの兄弟機「SLGW003」との違い

SLGW007とSLGW003は、いずれもハイビートの手巻きムーブメント「キャリバー9SA4」を搭載し、白樺の樹皮の繊細さをモチーフとする兄弟機です。しかし、そのコンセプトと素材には差が付けられているため、好みに合わせた選択が可能です。それぞれの違いを確認してみましょう。
ネイビーとシルバーで描く白樺ダイアル

両モデルとも白樺林をそのダイアルで表現していますが、前者は洗練されたシルバー、後者はネイビーで月夜に佇む白樺林を表現しています。ブランドカラーに近いSLGW007の色合いは、シックで知的な雰囲気を漂わせており、とりわけビジネスシーンなどで活躍が期待できるでしょう。
ケースはステンレススティール製
両モデルは、ケース素材にも違いが見られます。SLGW003が軽量で傷に強く、輝度の高い「ブリリアントハードチタン」を採用しているのに対し、SLGW007ではステンレススチールが採用されています。

当然ながら軽やかさや耐傷性ではチタンに劣りますが、ステンレススチールならではの重厚感と、ザラツ研磨が生み出す澄んだ輝きは、ブリリアントハードチタンと比肩する輝きを本作に与えています。
また、ブリリアントハードチタンに比べると、ステンレススティールの選択は多少ながらリーズナブルな価格設定にもつながっています。
ストラップは素材、カラーリングが異なる

ストラップは、SLGW003が黒のクロコダイルストラップを採用する一方で、SLGW007はネイビーの牛皮革ストラップが取り付けられており、その表面にはシボと呼ばれる凸凹の模様が入れられています。
ロングパワーリザーブと安定した高精度を実現!SLGW007の機能性
SLGW007は、従来モデルと同様の手巻きムーブメントCal.9SA4を搭載しています。自動巻き機構を持たず、数日に一度主ゼンマイを巻き上げる必要がありますが、そのルーティンさえも楽しくなるような、良好な巻き上げ心地を実現したムーブメントです。
手巻き式ハイビートメカニカルムーブメント「Cal.9SA4」を搭載
SLGW007は、手巻き式ハイビートメカニカルムーブメント「Cal.9SA4」を搭載しています。

その設計は、あの白樺モデル「SLGH005」にも搭載されている「Cal.9SA5」から、多くの技術を引き継いでいます。代表的なものには、デュアルインパルス脱進機や、ツインバレルなどが挙げられるでしょう。
結果として本機は、毎秒10振動のハイビートが生み出す+5秒〜-3秒という高精度に加え、3日巻を超えるロングパワーリザーブをも実現した、画期的な手巻き式ムーブメントとなっています。

さらに、ローターを持たない本機は、シースルーバックからその丹念な装飾を存分に楽しむことができます。
“受け”全体には、「グランドセイコースタジオ 雫石」近くを流れる、雫石川を模したストライプ模様が施されており、職人技を感じさせます。また、磨き上げられたビスや各輪列は、内部の複雑な機構を想起させ、何度見ても飽きさせない景観を作り出しています。
巻き心地も魅力
グランドセイコーは、Cal.9SA4の設計にあたり、「究極の巻き心地」を追求しました。具体的には、リュウズと連動する「こはぜ」と「こはぜばね」の構造をCal.9SA5から再設計したことで、なんとも小気味良い巻き心地を実現しています。さらに、巻上の負担を減らすため手巻の輪列も見直されており、従来に比べて、必要な巻上回数も15%程度削減されています。

また、リュウズの巻き上げ時に、動力ゼンマイの逆回転を防ぐ「こはぜ」の形状は、グランドセイコースタジオ 雫石の敷地内でも姿が見られる「セキレイ」から着想を得てデザインされたとのこと。ひとたびリュウズを巻き上げれば、まるでセキレイがついばんでいるかのような、遊び心のある動きを楽しめるでしょう。
腕時計の本質を追求するグランドセイコーの哲学と、豊かな自然を表現したムーブメントと言えます。
手巻き式モデルに嬉しいロングパワーリザーブ
SLGW003は、約80時間のパワーリザーブを備えています。一度最大まで巻き上げれば3日ほど持続するため、手巻き式モデルにとって嬉しい仕様ではないでしょうか。一方で、その高い精度を維持するために、常にある程度の巻き上げ量を確保しておきたいところです。
巻き上げ過ぎを防止できるパワーリザーブ表示

本作は、その裏ぶたからパワーリザーブの残量を確認することができます。
一般的に、手巻き式モデルは、自動巻き式モデルのようにスリッピングアタッチメントが備わっていないため、巻き上げ過ぎは故障の原因となる場合があります。そのため、このようなパワーリザーブ表示は、手巻き式モデルにとって重宝する機能と言えます。
また、ここでも見られるテンパーブルーの針は、ムーブメントのバックビューをより味わい深いものとしています。
日常使いも可能な耐久性
SLGW007は、日常生活防水を備えており、少しの水濡れであれば機能に問題はありません。とはいえ、スポーツモデルほどの堅牢性はないため、水仕事や手洗いの際には手首から外したほうが良いでしょう。その他、耐磁性も備えています。
グランドセイコーの保証やアフターサービス

グランドセイコーの腕時計には、購入日から5年間の保証期間が適用されます。保証期間中に、取扱説明書にそった正常な使用で生じた不具合については、無料で修理や調整を受けられます。保証対象となるのは、時計本体(ムーブメント、ケース)およびメタルブレスレットです。
しかし誤った使用や不注意による故障、天災地変による故障、使用中に生じる外観上の変化などは保証の対象外となります。
グランドセイコーサロンでの購入でサポートカードプレゼント!

グランドセイコーサロンで腕時計を購入すると、通常の保証書とは別にメンテナンスサポートカードが贈られます。
こちらを利用することで、グランドセイコー公式のメンテナンスサービスを通常よりお手頃な価格でご利用いただけるようになります。
長年の愛用に向けて、グランドセイコーのご購入はグランドセイコーサロンにお任せくださいませ。
まとめ

グランドセイコーの『SLGW007』は、ブランドの象徴である白樺モチーフに「月夜」という新たな光を当てた、詩情あふれるドレスウォッチです。
静謐なネイビーダイアルが描き出す日本の美意識と、エボリューション9スタイルが到達した洗練されたデザイン、そして革新的な手巻きムーブメント「キャリバー9SA4」がもたらす卓越した性能と感性価値。そのすべてが融合し、所有する喜びを深く感じさせてくれる一本に仕上がっています。
グランドセイコー 9Sメカニカル
SLGW007の詳細スペック
詳細
| 発売日 | 2025年10月 |
|---|---|
| 外装 | ステンレススティールとサファイアガラス |
| 裏ぶた仕様 | シースルーバックと4本ねじ固定裏ぶた |
| ガラス材質 | ボックス型サファイア |
| コーティング | 内面無反射コーティング |
| ケースサイズ | 横 38.6mm 縦 45.0mm 厚さ 9.95mm |
| バンド幅 | 20mm |
| バンド材質 | 牛皮革 |
| 中留 | ワンプッシュ3つ折れ方式 |
| ムーブメント | 9SA4 |
| 駆動方式 | メカニカル 手巻き |
| 駆動時間 | 最大巻上時約80時間持続 |
| 精度 | 平均日差+5秒〜-3秒 |
| 携帯精度 | 日差+8秒〜-1秒 |
| 防水 | 日常生活用防水 |
| 耐磁 | あり |
| 重量 | 74g |
| その他 | ・パワーリザーブ表示機能
この記事の監修

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資格:日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
担当ブランド:Grand Seiko、NORQAIN
腕時計販売店ハラダのオンライン担当。
腕時計の撮影、オンライン上でのマーケティング全般を担当。
最新のトレンドからクラシックなモデルまで、幅広い腕時計の情報を提供し、特に日本の腕時計ブランドであるグランドセイコーの魅力を発信することに注力。グランドセイコーの精密な技術と美しいデザインについて詳しく紹介し、時計の選び方や魅力を伝える事に生きがいを感じている。



