SBGE283のリストショット

【グランドセイコー 2022年新作 SBGE283 SBGE285】
GSの新デザインを採用したスプリングドライブGMTモデルをご紹介

  

グランドセイコーの不朽のデザインコードである「セイコースタイル」。
そのセイコースタイルが表現する美意識、視認性、実用性をより進化させたのが、新デザイン文法「エボリューション9スタイル」です。

2021年にブランドの60周年を記念し発売されたSLGH005、通称白樺メカニカルに合わせてこのスタイルは確立されました。

その後、白樺スプリングドライブSLGA009の登場によってエボリューション9コレクションというシリーズが確立。2022年にはダイバーズウォッチやクロノグラフモデルも加わり、続々とそのラインナップの層を厚くしています。

当ページではグランドセイコーの新たなデザインコードであるエボリューション9スタイルの紹介に加え、2022年に発表されたエボリューション9コレクションの新作から、GMTを搭載した2本の実用派コレクションをご紹介いたします。

 

 

色褪せないGSデザインコード「セイコースタイル」

セイコースタイルを重視したモデルの写真

エボリューション9スタイルを語る上で、オリジナルのデザインコードであるセイコースタイルの説明を欠かすことはできません。

セイコースタイルとは、1967年に発表されたモデル44GSによって確立された、その後のグランドセイコーコレクションの根幹を担うデザイン文法です。
腕時計の本質を尊重しつつも高級腕時計としての普遍的な価値の獲得。それに必要とされるのは”燦然な輝き”であると定義したセイコースタイルは、主に3つのデザイン方針によって構成されています。

 

・平面と二次曲面で構成されたシャープな造形
・平面部の面積を増やすことで視認性を確保
・原則として各面は鏡面仕上げ

 

そのデザインの根底にあるのは日本人特有の審美感であり、メイドインジャパンを尊重するグランドセイコーらしいデザイン文法と言えるでしょう。

44GSの55周年を記念した限定モデル、SBGJ255についてはこちらの記事をご覧ください。

 

 

GSの新デザイン文法「エボリューション9スタイル」

SLGH005を装着した写真

エボリューション9スタイルはグランドセイコーの新時代を担うデザイン文法であり、2021年の登場以来、高い評価を獲得してきました。中でも、初めてこのスタイルを採用したSLGH005は、発売直後から現在に至るまで供給不足の続くスマッシュヒットモデルです。

白樺メカニカル「SLGH005」についてはこちらの記事もご覧ください。

エボリューション9スタイルとは

 

エボリューション9スタイルは進化という名前が指し示す通り、セイコースタイルを次世代向きにリメイクし直したデザイン文法です。

 

SBGE283のウォッチフェイス

このスタイルには「燦然と輝く時計」を目指すセイコースタイルをベースに、3つの進化したデザイン方針と9つのデザイン要素が定義されています。

受け継がれてきたセイコースタイルを尊重しつつ進化させたエボリューション9スタイルは、まさにグランドセイコーの新時代の到来を象徴するようなデザイン文法と言えるでしょう。

ここからは、エボリューション9スタイルで定められているデザイン方針およびその要素に関してご紹介します。
ちなみに名前に使われている9の数字は、各種ムーブメントに名付けられている9と同様に最大の数字から「究極・最大」という意味が込められていると考えられます。

 

審美性の進化

日本らしい景観の写真

メイドインジャパンを体現するグランドセイコーの腕時計には、もとより日本人らしい美意識や自然観へのこだわりが込められていました。

エボリューション9スタイルではその審美性がより強調されており、日本家屋や庭園などに見られる光と陰の共存が表現されています。

立体的な表示部が生みだす影、鏡面仕上げによる輝き、ふんだんに用いられたヘアライン。これらが手元の小さなケースで巧みに組み合わさり、独自の豊かな表情を作り出しています。中でもヘアライン加工は光と陰の中間の表現にふさわしく、ケースのメイン仕上げとなっています。

ヘアライン加工がわかるSLGH005の写真

また、平面と平滑な曲面のみで構成されたシルエットはメリハリが効いており、豊かな機能美は実用主義の象徴と言えるでしょう。

視認性の進化

視認性に優れる立体的な表示部

セイコースタイルを採用した腕時計の針・インデックスは、多角カットにすることで多くの平面を作り出しています。これにより光を反射する面が増え、表示部の視認性が高められています。

エボリューション9スタイルではこの表示部がより太く、より目立ちやすくなるよう手が加えられており、時間の読み取りやすさとデザインの独創性が高められています。
特にインデックスや短針には中央にが彫られており、多面カットと組み合わせることで立体的な存在感を獲得。大幅に視認性が高められています。

 

装着性の進化

裏蓋から見たエボリューション9スタイル

理想的な腕時計を構成する要素は多岐に渡りますが、中でも装着性は実用時計で最も重視すべき要素の一つでしょう。

エボリューション9スタイルでは新しく幅広かつ厚みのあるブレスレットが採用され、同時に腕時計全体の重心が低く設計されています。
このブレスレットと低重心によって腕時計はしっかりと手元をホールドするようになり、実用時計らしい毎日つけたい装着性を実現しています。

 

エボリューション9スタイルを構成する9つの要素

前述の3つの要素に基づき、エボリューション9スタイルには以下の9つの要素が定義されています。かん幅などのこれまでになかったルールもありますが、セイコースタイルを進化させたものや、そのまま受け継いだ要素もあるのがお分かりいただけると思います。

エボリューション9スタイルを構成する9つの要素

一目で新デザインとわかる点は、従来より幅広いブレスレットと立体的な表示部でしょうか。
腕時計としての実用性を重視しながらも、光と陰の巧みな使いこなしによってアイコニックな盤面が作り出されています。

実物ありきにはなりますがその装着性も非常に安定感があるため、実際に着けることでますます魅力を感じられるデザインと言えるでしょう。

 

 

グランドセイコースプリングドライブ
SBGE283 SBGE285を紹介

前置きが長くなってしまいましたが、ここからはエボリューション9コレクションから2022年に発表されたスプリングドライブGMTモデル、SBGE283とSBGE285をご紹介いたします。文字盤以外に両モデルに差はないため2本同時に紹介いたします。

 

機能美溢れるウォッチフェイス

SBGE283のリストショット

ヘアライン加工で24時間表示が際立つGMTリングに、艶を抑えた質感の良い文字盤、エボリューション9特有の立体的な表示部。
それぞれの要素で構成されたフェイスは腕時計然とした豊かな機能美を演出しており、モノクロカラーながら十分な存在感を放っています。

GMT機能も腕時計の盤面に若干のスポーティな印象を与えており、洗練された面構えはどんなシーン、ファッションにも合わせたいモデルを作り出しています。

このモデルのコンセプトである「多様化するライフスタイルのこれからを担う腕時計」が、見事に表現されたフェイスではないでしょうか。

SBGE285のリストショット

 

アイコニックな表示部

SBGE285の表示部の写真

新デザインの立体的な表示部はグランドセイコーらしい存在感のあるデザインながら、従来のモデルと明らかに区別されたデザインとなっています。

また、各インデックスや針に夜光をあしらうことで視認性が高められており、GMT針の先端のみ発光色が変えられているのはGSらしいセンスの光る仕掛けではないでしょうか。

SBGE285のルミブライト

ちなみにグランドセイコーにおいて、この2色の夜光を用いるのはスポーツモデルの特徴でもあります。

 

ブライトチタン使用の程よい重量感のケース

SBGE285のケースサイド

ブレスレットまで含めた全てをブライトチタンで構成しているケースは、程よい軽やかさと独特の質感が魅力的です。
仕上げはヘアラインベースに鏡面仕上げが随所に施され、しっかりとしたメリハリがつけられています。

41mmの使いやすいサイズ感に加え、計算された重量バランスが生み出す着用感は毎日着けたい腕時計の”キモ”と言えるでしょう。

 

手首をしっかりとホールドするブレス

SBGE285のブレスレットの写真

本機には、ケースと同じくブライトチタンを採用したブレスレットが取り付けられています。
中留に近づくほどに細くなる標準的なテーパードのブレスレットと異なり、ほぼ均等の太さのブレスレットはしっかりと手首をホールドし、安定した着け心地を実現します。

表面仕上げはケース同様にヘアラインがメインとなっており、端部に鏡面を入れることでここにもメリハリが作り出されています。

SBGE285のクラスプの写真

 

SBGE283にはシックな黒文字盤が採用

SBGE283の黒文字盤の写真

SBGE283には静かな存在感を生み出す艶消しの黒文字盤が採用されており、精悍かつストイックな印象を手元に演出することができます。

また、黒文字盤は立体的なインデックスと相性が良く、シルバーとブラックのコントラストで高い視認性を誇ります。

正面の仕上げが光を程よく反射するヘアラインで統一されているのも、腕時計全体に上品な質感を与える一因と言えるでしょう。
質実剛健といった感じの雰囲気で、エボリューション9スタイルの実用主義にこれ以上なく当てはまるモデルではないでしょうか。

 

SBGE285には型打ちパターンの文字盤が採用

SBGE283の白文字盤の写真

SBGE285には白文字盤が採用され、SBGE275通称”シュカブラ”でも人気を博した、有機的な型打ちパターンが刻まれています。

このモチーフは、信州の冬の山肌を覆う「朝霧」に着想を得たとされており、純白というより灰色がかった文字盤は、ヘアライン仕上げのウォッチフェイスとの優れた一体感を作り出します。

また、繊細な凹凸は光と影によって様々な表情を盤面に作り出し、エボリューション9スタイルの要素の一つである審美性との相性も抜群です。

 

 

グランドセイコースプリングドライブ
SBGE283 SBGE285を動画で確認する

SBGE283

 

SBGE285

 

 

グランドセイコースプリングドライブ
SBGE283 SBGE285 ムーブメント・機能

GMT搭載のスプリングドライブ
「Cal.9R66」

9R66

クォーツとメカニカルを組み合わせたGS独自のムーブメント、スプリングドライブ。その初代キャリバーである9R65にGMT機能をプラスしたのがこのCal.9R66です。

このムーブメントの初登場は16年前の2006年ですが、いまだに最新作の心臓に選ばれていることは、このムーブメントの完成度の高さの証明と言えるでしょう。

72時間のロングリザーブに加え、外圧に影響されにくい安定した精度は現在でも十分に通用するスペックです。

 

シースルーバック

グランドセイコーのスプリングドライブや機械式では最早おなじみであるシースルーバック、いわゆる”裏スケ”が本機にも採用されています。

本体とローター部にはコート・ド・ジュネーブ調のストライプ装飾が施されており、ムーブメントのバックビューからもグランドセイコーの技術力を実感することができます。

GMT機能

SBGE285のGMT機能がわかる写真

SBGE283と285には、盤面に同時に2つのタイムゾーンを表示できるGMT機能が搭載されています。

実用性を備えながらも文字盤に個性を与えられるGMT機能は、実用性と洗練された機能美が魅力のエボリューション9スタイルにふさわしい機能と言えるでしょう。

ベゼルに彫り込まれた24時間表示とGMT針によって、このモデルは派手すぎず、地味すぎずの中間の個性が表現されています。

 

グランドセイコー スプリングドライブ
SBGE283 SBGE285 共通スペック

外装

外装 ブライトチタン
裏ぶた ブライトチタンとサファイアガラス
ガラス材質 ボックス型サファイア
コーティング 内面無反射コーティング
ケースサイズ 横 41.0mm × 縦 48.3mm × 厚さ 13.9mm
バンド幅 22mm
腕回り長さ(最長) 192mm
中留 ワンプッシュ三つ折れ方式

ムーブメント

ムーブメント 9R66
駆動方式 スプリングドライブ 自動巻(手巻つき)
駆動時間 最大巻上時約72時間(約3日間)持続
精度 平均月差±15秒(日差±1秒相当)

機能

防水 日常生活用強化防水(10気圧)
耐磁 あり
ルミブライト あり(針・インデックス)
重さ 122g
その他 ・24時針(デュアルタイム表示機能)
・耐メタルアレルギー
・ねじロック式りゅうず
・カレンダー(日付)機能付き
・石数 30石
・パワーリザーブ表示機能
・カレンダー連動時差修正機能

 

まとめ

ここでは、洗練された輝きを放つエボリューション9コレクションの新作をご紹介いたしました。

軽やかなブライトチタンの採用、実用性に優れるGMTスプリングドライブ、洗練されたデザイン。そのどれもが実用主義のグランドセイコーを体現しているかのようであり、まさに毎日使いたい腕時計が完成しています。

他のエボリューション9コレクションのようにしばらくは入手しづらいかもしれますが、もし見かけた場合は、その研ぎ澄まされた一本をぜひ体感してみてください。