
【グランドセイコーは評判が悪い?やめておけと言われる理由は?】 正規販売店が機械式時計9Sメカニカルを紹介
セイコーから独立した国産高級腕時計ブランド、グランドセイコー。精密な作りや、日本ならではの美意識を反映したデザインで高い評価を獲得していますが、その一方で、“デザインがダサい、地味”、“高価過ぎる”といったレビューが見られるだけでなく、中には、インターネットの検索予想ワードに、「やめとけ」という文字が見られることも。
素晴らしい腕時計であるはずのグランドセイコーが、なぜこのような評価を受け、果ては「やめとけ」とまで言われてしまうのでしょうか?
当記事では、この評価について、正規販売店であるハラダが、グランドセイコーの機械式時計、通称「9Sメカニカル」を例に挙げて解説いたします。後悔のないグランドセイコーの購入に向けて、ぜひご一読くださいませ。
グランドセイコーの誕生と独立

1960年、『世界に挑戦できる国産最高級の腕時計』というコンセプトのもと、セイコーのハイエンドモデルとして初代グランドセイコーは誕生しました。
その挑戦の足がかりとして、グランドセイコーは当時世界最高峰であったスイスの天文台コンクールに出場、わずか数年足らずで優勝を狙えるまでに技術力を高めます。そして現在に至るまで、スプリングドライブ、9Fクォーツに代表される数々の画期的技術を開発。着実に高級腕時計ブランドとしての地位を固めていきました。
そして2017年、世界的な進出を見据え、グランドセイコーはセイコーから独立。「SEIKO」ロゴが文字板から消えることとなります。グランドセイコーは大手時計メーカーの高級モデルという立ち位置から、高級腕時計ブランドとしての第一歩を踏み出したのです。
ブランドポリシーは「THE NATURE OF TIME」
自然や四季の移ろいからインスピレーションを受ける感性と、時の本質に迫ろうとする匠の心意気を日本の精神性とし、世界有数のマニファクチュールが誇る高い技術力のもと、日々追求を続けています。
グランドセイコーが「やめとけ」と言われる理由とは?
グランドセイコーが「やめとけ」と言われる理由には、一体どんなものがあるのでしょうか。ここでは、インターネットで見かけた意見を挙げ、その理由について、グランドセイコーの特徴を踏まえながら考察いたします。
「セイコーなのに高い」と感じてしまう価格設定
グランドセイコーの購入をためらう理由として、まず挙げられるのが価格です。特に、セイコーからのブランド独立になじみのない人にとっては、そのギャップが大きく感じられるかもしれません。
一般的な「セイコー」のイメージとの乖離
多くの人にとって「セイコー」は、比較的手頃な価格で腕時計を提供するブランドというイメージが強いでしょう。しかし、グランドセイコーは数十万円から百万円を超えるモデルも珍しくありません。この価格帯に「セイコーブランド」として納得できず、抵抗を感じてしまう点が、「高い」と感じる理由として推測できるでしょう。
また、グランドセイコーと近い価格帯のスイス産ウォッチも多く登場しているため、「この金額を出すなら、他の選択肢もあるのでは?」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
コストパフォーマンスは高いが絶対額は安くない

グランドセイコーは、その品質や性能を考えれば、コストパフォーマンスに優れている腕時計と言えます。しかし、絶対的な金額としては、当然ながら決して安価ではありません。予算が限られている場合や、同価格帯のスイス有名ブランドと比較検討している場合、「グランドセイコーを選ぶ理由」を明確に把握できないと、「高い」という意識が芽生えてしまっても不思議ではありません。
デザインが「地味」「おじさんくさい」と感じる可能性
これは若いお客様からのご相談や口コミでよく見かける評判です。また、職場の上司をはじめ、年配の方が着けているというイメージが、この評判を強めているようです。その評判の理由には、グランドセイコーの不朽のデザインコードである「グランドセイコースタイル」の存在が大きいでしょう。

華やかさより実用性重視
グランドセイコーのデザインは、視認性や普遍性、長く使えることを重視した、ある意味で“実直”なものです。そして、その根底には、グランドセイコースタイルと呼ばれる、実用性を突き詰めつつも、高級腕時計らしい輝きを追求するデザインコードがあります。正しい時間を、見やすく表示するという、腕時計の理想も追求したそのデザインは、派手さや、一目でそれと分かるような強い個性、トレンド感を求める人にとっては、物足りなく「地味」に映る可能性があるのです。
評価の軸が異なる場合がある?
時計の世界には多様な価値観や評価の軸が存在します。当然、グランドセイコーが良い時計と考える人もいれば、そのブランディングや、デザインが気に入らない方もいらっしゃるでしょう。そうしたユーザーの価値観との相性の良し悪しは、どんな時計においても起こりうることです。
時計選びの価値観との相性
グランドセイコーは、日本の美意識と卓越した技術力に裏打ちされた、時計の本質を追求する独自の価値を提供しています。しかし、例えば歴史あるスイスブランドの持つ華やかさや、広く認知されたステータス性を最優先される方にとっては、グランドセイコーの持つ静かな魅力や実直な作り込みの良さが、すぐには響かない場合もあるかもしれません。このような事実は、ひいてはグランドセイコーをおすすめしない理由にも繋がりかねないのです。
グランドセイコーがそれでも選ばれ続ける理由
以上にあげた理由から、グランドセイコーを選ぶのは「やめとけ」という声があるのは事実です。しかしながら、グランドセイコーは、創業から現代まで着実に人気を積み上げてきた、選ばれ続けるブランドであることもまた事実と言えるでしょう。ここでは、以上に挙げた理由をもとに、グランドセイコーがそれでも選ばれ続ける理由をまとめました。
価格に込められた揺るぎない価値
グランドセイコーの価格は、確かにスイス産腕時計並みであり、1年に何本も購入できる人は稀でしょう。しかしながら、その値付けは、決してイメージ作りや、ブランディングだけで行われているわけではありません。グランドセイコーの価格には、以下の4点に代表される、グランドセイコーのものづくりの粋が込められた結果と考えられます。
先端技術のムーブメント
9Sメカニカル、9Rスプリングドライブ、9Fクオーツといったムーブメントは、高精度、長持続、耐久性において、いたって高い水準の性能を誇ります。特に、機械式とクオーツのハイブリッドであるスプリングドライブは、グランドセイコー独自の革新技術。ゼンマイ駆動の腕時計としては、世界最高峰の精度を実現しています。
匠の技で仕上げられた外装と、豊かな文字盤表現
グランドセイコーの腕時計は、ゆがみのない鏡面を作り出す「ザラツ研磨」をはじめとする高度な研磨技術によって、細部まで作り込まれた針やインデックス、そして輝きに満ちたケースを備えています。

そして白樺や雪白など、日本の自然美を映し出す繊細で美しいダイアル表現もその特徴です。特に、雪白文字盤は「スノーフレーク」という海外での愛称が存在するほど、広く知られるダイアルとなっています。

マニファクチュールの矜持
部品の設計・開発から製造、組立、調整、検査、出荷まで、すべてを自社で一貫して行う真のマニファクチュール体制。グランドセイコーはこの自社完結した製造体制によって、極めて高い品質管理と、価格を超えた価値の提供を実現しています。
長期的なサポート体制
グランドセイコーは、5年間の保証をはじめとする、手厚いアフターサービス体制を提供しています。なお、グランドセイコーの部品保管期間は10年間ですが、大掛かりなムーブメントのアップグレードや廃盤がなければ、購入後10年以上経過しても修理サポートを受けられる可能性が高いです。また、大きな傷、ヘコミについても、外装リペアポリッシュサービスによって美しい輝きを取り戻すことができます。
以上の4点から、グランドセイコーは、「価格」だけでなく、その背景にある技術、手間、哲学といった「価値」で評価されるべきブランドと言えるでしょう。
あわせて読みたい>普遍性と品格を宿すデザイン

グランドセイコーに対する「地味」や「おじさんくさい」という評価は、グランドセイコーのデザインの本質を見誤っているかもしれません。
計算され尽くした「グランドセイコースタイル」
デザインの根幹である「グランドセイコースタイル」は、視認性、装着感、そして長く愛用できる普遍性を徹底的に追求した結果です。奇をてらわず、時計としての本質を形にした、機能的で洗練されたデザインと言えるでしょう。
また、多面カットされたケースや針、インデックスは、わずかな光も捉えて陰影を生み出し、豊かな表情を見せます。これは、華美な装飾に頼らない、日本の美意識に基づいた表現であり、時を重ねてもその輝きが色褪せません。
飽きのこない、長く使える魅力
トレンドに左右されないグランドセイコーのデザインは、何年、何十年と使い込んでも飽きが来ず、持ち主の人生に寄り添うことができます。そのデザインのルーツは1967年登場の44GSというモデルであり、一過性の魅力ではなく、永続的な価値と言えるでしょう。
多様化するデザイン

近年ではグランドセイコーのラインナップに、カラーダイアルやモダンなデザイン、GMT機能搭載モデルなども増え、その選択肢が大きく広がっています。そのため、グランドセイコーの「地味」というイメージは、もはや過去のものとなりつつあります。しかしながら、決してそれは派手すぎるものではなく、どのようなシーンにも合わせられる汎用性も追求しています。
つまりグランドセイコーのデザインは、流行を追うのではなく、真の品格と永続的な価値を求める、成熟した審美眼に応えるものと言えるでしょう。
時計選びの価値観との相性
腕時計のデザインやブランド感の好みについては、当然ながら人それぞれです。しかしながら、ステータス性や、知名度、歴史といった側面でグランドセイコーの購入を躊躇しているのであれば、今一度それらについて、再確認してみるのも良いかもしれません。
各界からの高い評価
グランドセイコーは、世界的な時計アワードである「GPHG」に加え、「レッド・ドットデザイン賞」や、「グッド・デザイン賞」といった、多くの賞での受賞歴を誇ります。一般的な知名度や分かりやすいステータス性とは別ですが、その技術力と品質、独自の哲学は、高く評価されていると言えます。

グローバルブランドとしての成長
2017年の独立以降、グランドセイコーは、グローバルなブランド展開を加速しており、特に海外での評価、人気は着実に高まってきています。「メイド・イン・ジャパン」の高品質な時計として、独自のポジションを確立しつつあると言えるでしょう。また、グランドセイコーは1960年誕生のブランドですが、母体であるセイコーの歴史は140年以上を誇ります。その頃から続けられてきた真摯な時計作りへの姿勢が、国内外から信頼を得る礎となっています。
グランドセイコーの機械式時計
「9Sメカニカル」のここがスゴイ!

以上のグランドセイコーの魅力を踏まえたうえで、一例として、グランドセイコーの9Sメカニカルについて解説いたします。
世界的に高水準な精度

9Sメカニカルは世界的に見ても高水準な「GS基準」を準拠しており、他社の機械式時計と比べても抜群の精度を誇っています。その誤差は1日あたり+5秒~3秒という驚異的なもので、一般的な機械式時計の誤差が±10秒~20秒であることを考えると、いかにメカニカル9Sが優れているかがわかります。
そのパフォーマンスを作り出すためにグランドセイコーは部品一つ一つを研ぎ澄まし、歯車の噛み合いの”あそび”すら許さないような精緻なものづくりを行なっています。
実用性、利便性の追求

9Sメカニカルの実用性はその精度の高さだけでなく機能面でも優れています。
世界を舞台に活躍する人に向けたGMT機能や、瞬時に日付を変える「瞬間日送り機構」、精度と安定性に優れるハイビートモデルなど、充実のラインナップが肩を並べます。
また、パワーリザーブに優れる3daysメカニカルを開発し、ビジネスシーンに使われやすい機械式時計を金曜日の夜から月曜日の朝まで動かし続けることで利便性を大きく向上させました。
余談ですが日本で初めてマジックレバーを開発し、自動巻の機械式腕時計を発表したのはセイコーだと言われています。そういうルーツからもグランドセイコーの技術力の高さが感じられますね。
圧倒的なコストパフォーマンス

9Sメカニカルに限らず他のコレクションにも共通することですが、グランドセイコーのコストパフォーマンスは世界的に見て非常に優れています。
グランドセイコーは時計の本質を追求するために、部品一つ一つを洗練し、熟練の職人により組み立て、数日間にも渡る検査など、時計の品質を引き出すために途方もない企業努力を行なっています。
その結果生まれたグランドセイコーの品質は極限まで高められており、同じレベルのものを海外ブランドで購入するなら数倍の値段がするとまで言われています。
止まらぬ進化「テンタグラフ」

2023年、ついに9Sメカニカル初のクロノグラフモデル「SLGC001」が登場しました。テンタグラフと名付けられた本作は、ハイビートムーブメントでありながら、約3日間のパワーリザーブを実現した世界初のモデルとなっています。
ムーブメントのベースにはグランドセイコーの次世代機械式ムーブメント「キャリバー9SA5」が採用されており、そこにセイコー時代から積み上げてきたクロノグラフ技術が融合。これまでの伝統の集大成とも呼ぶべきクロノグラフモデルが完成したのです。
これは9Sメカニカルにとって間違いなく大きな前進であり、今後のさらなる機能拡張にも期待が高まるというものです。
詳しくは以下のページも参考にしてください。
グランドセイコーの定番!9Sメカニカルのオススメモデル
ここでは、高い技術力によって作られた「9Sメカニカル」のおすすめモデルをご紹介します。
美しい白樺の林をイメージ「SLGH005」

グランドセイコーの機械式腕時計が生まれる「時の匠工房 雫石」の近くには、日本有数の白樺の林があります。このSLGH005、通称白樺モデルは白樺が持つ力強さと、障子などでも見られる「光と陰の間の美」をモチーフにしてデザインされたモデルです。
ヘアラインの多用や白樺ダイアルの採用によるグレートーンがそのメインモチーフとなっており、新デザインコードによる計算され尽くしたデザインは、多くの受賞経験があるほど世界的な評価を獲得しています。
性能面も充実しており、安定した精度を誇るハイビートモデルでありながらも、80時間のパワーリザーブを搭載。グランドセイコーの新時代を感じる、鋭意的な傑作です。
次世代を見据えたメカニカルハイビートモデル「SBGJ237」

9Sメカニカルの中でも特に外部からの影響に強いムーブメントを搭載し、世界で活躍できるGMT機能を追加したスポーツモデルです。
ミッドナイトブルーのダイヤルと、昼夜を表現したぺゼルの鮮やかな白と青が確かな存在感を発揮しています。
りゅうずを4時位置に配置するなど、実用性を重視したデザインが採用されており、GSらしさを十分に感じさせるスポーツウォッチになっています。
放射模様のシルバーダイヤルが引き立つコンパクトモデル「SBGW291」

グランドセイコーのデザインのルーツである「44GS」を基にしており、現代デザインの要素を取り入れている一本です。
特に注目すべきは、現行44GSモデルの中でも最小となるそのケース。歪みのない平面と直線を主体としたシャープな造形美で、光と陰の調和による多彩な表情を醸し出しています。
手巻きムーブメントのキャリバー9S64を搭載しており、細めのインデックスと針がシルバーダイヤルを引き立てます。また、男性にも女性にも着けやすい36.5mmのミドルサイズモデルなので、どのようなシチュエーションにも適応します。
エバーブリリアントスチールを採用した24節気モデル「SBGH351」

「SBGH351」は、24節気の些細な季節の変化を体現する腕時計です。初夏の頃に吹く涼やかな風「薫風」がそのモチーフであり、奥深いグリーンカラーのダイアルで、風に揺られる自然が巧みに表現されました。
また本作は、ケースとブレスレットに世界最高レベルの耐食性を備えた先進素材、「エバーブリリアントスチール」を採用しています。デザインは、ベゼルを持たないシャープな造形を特徴とする「62GS現代デザイン」を採用。味わい深い文字盤を広々と楽しむことができるでしょう。
ムーブメントは、安定した高精度を生み出すハイビートムーブメント「Cal.9S85」を搭載しています。

また本作には、同じく24節気を表現するバリエーションモデルとして、SBGH353が登場しています。こちらは、秋分の頃に見られる「月夜」がモチーフであり、落ち着いたブルーダイアルと、ゴールドのロゴ、小気味よいリズムを刻む秒針が、その趣深さを体現しています。
新たなドレススタイルを採用したハイビート手巻きモデル「SLGW003」

「SLGW003」は、エボリューション9スタイルを、よりエレガントに再解釈したドレスモデルです。インデックスやベゼル、ラグの幅をすっきりと細くするなどデザインを一新し、ケースの厚みを9.95mmという薄型に抑えています。ケースの素材は、通常のチタン並みの軽さでありながら、標準的なステンレススチールよりも約2倍硬く、傷がつきにくい「ブリリアントハードチタン」を採用。白い輝きを放つ本素材を丹念に磨き上げることで、普段使いに適したドレスウォッチに仕上げています。

ムーブメントは、約50年ぶりに開発された10振動の手巻メカニカルムーブメント「キャリバー9SA4」を搭載しています。安定した精度につながるハイビートと、最大80時間ものパワーリザーブを実現しており、実用性も追求されました。
さらに、巻き上げ時の心地よい感触と音を実現するため、「こはぜ」と「こはぜばね」の形状も一新されています。
まとめ 「グランドセイコーは世界に誇る技術力を持ったブランドである」
当記事ではグランドセイコーの評判、知名度を、機械式「9Sメカニカル」とともにご紹介しました。グランドセイコーの技術力がいかに優れており、世界に誇れる魅力あふれるブランドだと感じていただけたなら幸いです。もちろん他のムーブメントも逸品ですので、ぜひ一度手に取ってみてください。