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腕時計の種類って?知識を深め、より楽しい時計選びを

腕時計の種類・仕組みについて、みなさんはどのくらいご存知でしょうか。
どのように分類され構成されているのか詳しくなれば、腕時計選びの幅が広がるでしょう。また、TPOや好みに応じた腕時計を選べればあなたのオシャレさ、こだわりが周りに伝わるというもの。

本記事では、デザイン、動力源や機構、機能で分類される腕時計の種類について解説します。
あなたの相棒となる時計選びの参考にしてみてください。

 

 

ドレス?ダイバーズ?デザインで見た時計の種類

まずは腕時計のデザインについて。
腕時計はそのデザインでいくつかの種類に分けることができます。この種類を理解できていると着用したいシーンや目的に合わせた時計選びができます。
ここでは代表的な腕時計の分類について見ていきましょう。

ビジネスウォッチ

シンプルな見た目のSBGA211を着けている様子

時針分針秒針の3針に目立ちすぎないデザイン。
おおよそ腕時計に最低限必要な要素だけで構成されたシンプルモデルは、ビジネスにもってこいのモデルと言えるでしょう。

堅い感じの仕事でなく取引先との約束もなければ、ちょっと文字盤に個性があるモデルを選ぶのが最近のおしゃれビジネスパーソンには流行りのようです。

下記ページもぜひ参考にしてみてください。

 

ドレスウォッチ

革バンドと手巻き式を採用したドレスウォッチSBGK007の画像

いわゆるフォーマルシーンと呼ばれる、冠婚葬祭やパーティにつけていくような腕時計をドレスウォッチと言います。
ビジネスウォッチをそのまま流用する場合もありますが実はバンドからケースまで細かなルールがあるため、こだわりたい人はどこまでもこだわることができます。

基本的には薄いケースに革バンド、3針もしくは2針というシンプルなフォルムが好まれており、「時間を忘れてパーティを楽しむ」「手元にドレスコードにも似たエレガンスを演出する」というのが基準になってきます。

ドレスウォッチについて詳しくはこちらのページもご覧ください。

 

スポーツウォッチ

アクティブな見た目のSBGJ237の画像

いわゆるデカ厚と呼ばれる、無骨な大径ケースにクロノグラフやGMTといった各種機能を搭載した、堂々とした存在感を発揮するモデルはスポーツウォッチに分類されます。

最近ではスケルトンウォッチや、ラグジュアリースポーツウォッチと呼ばれるモデルなどその種類は多岐にわたっており、抜群の機能性とタフさが魅力のジャンルです。
私服やスーツカジュアルにも合わせることができ、アクティブな人にこそぴったりなモデルと言えるでしょう。

 

ダイバーズウォッチ

シーマスターダイバー300を着けている様子

基本的にある程度の防水性能が約束されているスポーツウォッチの中でも、特に防水性や潜水性能に特化したモデルはダイバーズウォッチと呼ばれます。
ただ防水性に優れるだけでなく、ヘリウムエスケープバルブや逆回転防止ベゼルといった潜水する上で欠かせない機能を搭載しており、一眼でダイバーウォッチとわかるフォルムが魅力的です。

実際には潜水を行う機会のない人にもそのロマン溢れる性能やデザイン、強靭さで人気が高く、単なるダイバーズツールの枠を超えて人気を集めています。

ダイバーズウォッチについて詳しくはこちらのページを参考にしてください。

これらの他にも、ダイヤモンド等の貴石をゴージャスにあしらったジュエリーウォッチや、腕時計全体の素材に貴金属を用いた金無垢と呼ばれるモデルも存在しています。
いずれもシーンに合わせて使うというよりは、着用者の高い地位を証明するステイタス重視の腕時計と言えるでしょう。

 

 

機械式、水晶(クオーツ)式とは?機構、仕組みから見た時計の種類

機械式時計のムーブメントを裏スケから覗いている写真

現代の時計の種類は多様化の一途を辿っていますが、大別すると「機械式時計」と「水晶(クオーツ)式時計」の2種類に分類され、2つは時計を動かす動力源となる“ムーブメント”がそれぞれ異なります。
高級腕時計には精密なパーツによって作られた「機械式時計」が多く、伝統的な時計作りを踏襲しているわけですが、現在では安価で精度が高い「水晶(クオーツ)式時計」が最も多くの腕時計に採用されています。

シチス?ンのCal.0100を裏スケから覗いている様子

他にも、グランドセイコーの独自ムーブメントであるスプリングドライブやオートクォーツ、キネティックといったムーブメントも登場しています。基本の機械式とクォーツ式について見ていきましょう。

 

機械式時計とは

機械式ムーブメントを分解している画像

機械式時計はゼンマイを動力源とし、巻き上がったぜんまいが解けようとするエネルギーで動く時計です。
物理的な要素のみで動いているため1日に15秒程度の誤差が発生しますが、電子部品がないためメンテナンスさえ怠らなければ子に受け継いでいけるほど永く使っていけます。

基本構造は、「巻き上げ機構」「輪列機構」「脱進機構」「調速機構」「表示機構」の5つであり、物理的なエネルギー伝達のみで正しい時間を刻むことができます。

実はその仕組みはぜんまいで動くおもちゃとそう変わりません。ただし一気にほどけてしまうおもちゃのぜんまいと異なり、正しい間隔でぜんまいにブレーキをかけることで正しい一秒を作り出しています。

 

テンプと振動数

Cal.0200のフリースプラングテンプの画像

機械式時計を構成する数ある部品の中でも、精度に一番関わってくるのがテンプという部品です。
テンプの振動数が高いほどに優れた精度を作り出すと言われており、機械式時計の心臓とも呼ばれています。

テンプ、天輪の画像

テンプは一秒間に5〜7振動(毎時18000〜25200振動)するのが一般的であり、一秒間に8~10振動(毎時28800〜36000振動)するムーブメントはハイビートムーブメントと呼ばれます。

この振動数がさっきのぜんまいのブレーキにつながるため、機械式時計の秒針は細かくストップとスタートを繰り返します。この運針(針の動き方)は「ビート運針」と呼ばれ、耳を近づけると細かい「チッチッチ・・」という音がします。

 

巻き上げ方式とパワーリザーブについて

機械式時計のぜんまいを最大まで巻き上げた後にどれだけ連続で動き続けるかを「パワーリザーブ」と呼びます。基本的に時間で表現されますが、中には24時間で割って3日巻のような表現をする場合もあります。
このぜんまいの巻き上げ方については以下の2つの方式が主流となっています。

自動巻式

自動巻式は装着した腕の動きによってローターが回転し、自動的にぜんまいを巻き上げてくれる機構です。

自動巻きに必要なローターの画像

ムーブメントにローターまたは回転錘と呼ばれる扇状の部品が搭載されているのが特徴で、毎日使っていれば自分の手でゼンマイを巻く必要がほとんどありません。他にも、ぜんまいが常に巻き上がっているため精度が安定する利点があります。

ローターの分だけムーブメントが厚くなるため、必然的に手巻式よりも腕時計が若干厚くなります。

手巻式

手巻式の時計は手でリューズを回してゼンマイを巻き上げ、エネルギーを蓄えます。
腕時計の性能をフル活用するためには着用前に数十回巻き上げる必要があり、自動巻に比べて決して便利とは言えませんが、部品数が少なくなることで腕時計自体の厚みを抑えることができます。
ドレスウォッチのような薄さが求められる腕時計にはもってこいの方式と言えるでしょう。

手巻き式機械式時計の裏スケからムーブメントを覗いている写真

また、多くの高級腕時計は裏ぶたをガラスにすることで美しいムーブメントがのぞけるようになっていますが、自動巻モデルではローターがどうしてもムーブメントの一部をさえぎってしまいます。
その点、手巻式はムーブメントの構造、装飾の美しさを腕時計の裏ぶたいっぱいに楽しむことができます。

多様化する機械式

機械式時計は現在多様化の一途を辿っており、毎秒36振動を実現したゼニスの「オシレーター」や、優れた耐磁性と精度を両立したオメガの「コーアクシャル マスタークロノメーター」など、古くから伝わる仕組みながらまだまだポテンシャルが秘められいることがわかります。

オメガのマスタークロノメーターについてはこちらの記事を参考にしてみてください。

 

水晶式(クオーツ)時計とは

水晶と9Fクォーツムーブメントの写真

安価な鉱石の一つ、水晶に電流を流すと一定の振動数で振動します。水晶のこの特性を利用して作られた電池駆動の時計がクォーツ式時計です。
基本的に電池を動力源とするクォーツ式時計は機械式時計と比べて製造が簡単なため、比較的安価な値段で手に入れることができます。

簡単にその仕組みを説明すると水晶振動子の振動を集積回路(IC)がパルスに変換、ステップモーターに送ります。そしてパルスを受け取ったモーターによって秒針が一秒進むようになっています。

精度はテンプの振動数をはるかに超える水晶振動子に基づいているため月に20秒程度しかズレず、機械式を圧倒する精度を誇ります。また、部品数が少ないためオーバーホールなどのメンテナンスコストが安く抑えられる傾向にあります。
デメリットとしては、定期的な電池交換の必要性や、電子回路が壊れた場合交換が困難な点が挙げられます。

また、モーターを使用しているためトルク(歯車を回す力)がどうしても弱くなってしまい、太くて重い針を使えなかったり、瞬間日送りカレンダーなどの機能の搭載が難しいという点も挙げられます。

もちろん、クォーツ式時計でもアフターサービスを徹底したブランドであれば一生モノとして使っていくことができます。下記ページではその代表とも言える「ザ・シチズン」について紹介しています。

 

クォーツ式の時間表示方法

クォーツ式時計は機械式時計と違って多彩な時間表示をすることができます。

アナログ

時計の基本に則った、時間を表すインデックスを針で指すことで時間を表示するのがアナログタイプです。
スタンダードゆえに最も普及しているタイプであり、直感的に時間が分かるのが特徴です。

デジタル

盤面に液晶を搭載し7セグメントデジタルを使って時間を表示する、クォーツ式時計だけの表示タイプです。
アナログ式と違ってモーターや歯車を必要としないので、タフな時計を作ることができます。

複合式(アナデジ)

複合式はアナログとデジタルの両方で盤面に時間を表示します。スポーツウォッチによくみられるタイプであり、アナログで現在時、デジタルに日付や曜日を液晶表示するのが一般的でしょうか。
好みが分かれるデザインではありますが、拡張性、機能性は抜群と言えるでしょう。

 

クォーツ式時計を動かす電池

一般的に水晶(クオーツ)式時計には一次電池か二次電池のどちらかが搭載されています。

一次電池式

グランドセイコーのムーブメントに搭載されている電池の写真

充電して繰り返し使えない、いわゆる使い捨て電池を一次電池といいます。一次電池の寿命はおよそ2〜3年とされており、電池切れを起こすと時計店やメーカーによる電池交換を行う必要があります。

二次電池式

シチスンエコドライブワンのイメージ画像

二次電池とは繰り返し充電ができる電池のことで、主流となっているソーラー発電型は光をソーラーセルに当てることで発電、二次電池に充電することで腕時計を動かし続けます。

有名なところで言えば、シチズンの光発電システム「エコ・ドライブ」は室内光でも発電することが可能であり、一度のフル充電で半年間以上時計を動かし続けます。

定期的に電池交換をする必要がないため、一次電池に比べ利便性に優れていると言えるでしょう。

 

高い拡張性、実用性

絶対にズレないよう感じる電波時計も、実はクォーツ式時計です。
普通のクォーツ式時計と違って標準電波と呼ばれる電波を受信して時間を補正しており、他の時計を超える正確さが魅力となります。

クォーツ式時計には電波時計の他にも、GPS情報に基づいてその地域の正しい時間を受信する機能や、振動を検知して針ずれを防ぐ機能、スマートフォンとのリンク機能などが登場しており、電子機器の技術の進歩に合わせてクォーツ式時計も進化していることがわかると思います。

このように電池駆動かつ、電子制御が可能なクォーツ式時計は機械式には搭載できない機能を実現することができます。

クォーツ式の拡張性の高さを象徴するシリーズが、カシオG-SHOCKの最高峰シリーズ「MR-G」です。詳しくはこちらのページもご覧ください。

 

グランドセイコーのスプリングドライブとは

スプリングドライブムーブメント

機械式にもクォーツ式にも分類できる、グランドセイコーの独自機構であるスプリングドライブについてもここでご解説いたします。

スプリングドライブは機械式のようなぜんまい駆動でありながら、クォーツ式のように水晶振動子で精度を制御する、それぞれのいいとこ取りをしたかのようなハイブリッドムーブメントです。

同じぜんまい駆動である機械式時計との大きな違いは、ぜんまいの解けるスピード(ひいては歯車の回転速度)の調整方法にあります。
機械式時計はテンプ、ガンギ車のような調速機構によってぜんまいの解けるスピードを制御しますが、スプリングドライブはその制御を水晶振動子とIC、そして電磁石によって行うのです。

スプリングドライブの制御部品

簡単に説明すると、巻き上がったぜんまいが解ける力を使って発電し水晶振動子とIC(集積回路)を動かします。そして水晶振動子が生みだした正しい1秒を元に電磁石のパワーが制御され、ぜんまいの解けるスピードにブレーキがかかることで正しい1秒を刻むという仕組みになっています。

このスプリングドライブの特長としては、制御にクォーツ式と同じ水晶振動子を用いているため、月差15秒というぜんまい駆動としては驚異的な精度が得られます。

また、ぜんまい駆動であるため歯車を回す力(トルク)が強いため拡張性に優れ、さまざまな機能を搭載可能。その構造上ダイバーズウォッチにも採用できるほどの堅牢性も備えます。
他にも電磁石を使っての制御が生み出す、滑らかなスイープ運針もスプリングドライブだけの魅力と言えるでしょう。

スプリングドライブムーブメントの数多の部品

難点としては、スプリングドライブの製造には高い技術力が不可欠であり、部品数も非常に多いためどうしても価格帯が比較的高くなってしまいます。また、部品が多いため腕時計自体の厚みも増してしまう傾向にあります。

スプリングドライブについて詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください!

 

 

知れば知るほど奥が深い!腕時計に搭載されている各種機能

ここからは腕時計に搭載されている各種機構、機能について代表的なものをご紹介いたします。
興味を持った機能があれば、ぜひ時計選びの参考にしてみてください。

驚くべきことにこれらの機能は全て機械式時計において最初に実現されたものであり、電池も電子回路も使わずに物理的な仕組みだけで動きます。

精度、実用性、コストパフォーマンスの全てにおいてクォーツ式時計に劣る機械式腕時計が、いまだにそのロマンで高い人気を集める理由がうかがえますね。

アラーム

私たちの生活には欠かせないアラーム機能は、設定した時間になると電子音や振動によって着用者に時間を知らせる機能です。

デジタル表示のクォーツ式時計ではもはや当たり前となった機能ですが、機械式時計にも複雑機構としてアラーム搭載モデルは存在しています。

ビッグデイト

カレンダーディスク

その名の通り大きいサイズの数字を表示することで視認性を高めたカレンダー機能です。

基本的な腕時計のカレンダーは一枚のディスクに1〜31までの数字が記されているのに対し、ビッグデイトは0〜3が記されたディスクと0〜9が記されたディスクを並べて配置することで、大きく日付を表示します。

月齢表示(ムーンフェイズ )

カレンダーディスク

小窓から見える月の形がそのままその日に見える月の形を表すという、月の”位相”を表示する機能です。

新月から満月、そしてまた新月に戻るという月の周期はおおよそ29.5日とされており、その周期を元に月の表情を盤面に表示することができます。
見た目の美しさだけでなく、潮の満ち引きの予想などある程度の実用性も備えています。

レトログラード

カレンダーディスク

腕時計の針はスタートから一周してまたスタートに戻る円運動が基本ですが、その動き方を扇状の反復運動に変えたのがレトログラード(逆行を意味)です。
自動車のタコメーターのような動きと言えばわかりやすいでしょうか。

例えばレトログラードのカレンダーなら、1日が扇の右端、31日は扇の左端にあり、徐々に針が左へと進んでいきます。そして、月が変わる時には左端の31日から右端の1日に針が瞬時に移動する仕組みになっています。
ちなみに、針が瞬時に動くことを時計の世界ではジャンプと言います。

ジャンピングアワー

ジャンピングアワー搭載のフランクミュラートノウカーペックス

ジャンピングアワーを採用した時計には時針(短針)がなく、代わりにカレンダーのような小窓がついています。
時針の代わりにこの小窓の中で1〜12までの時間(アワー)が表示されており、数字が1時間ごとに瞬時に切り替わる(ジャンプする)ため、ジャンピングアワーと呼ばれています。

ひとつ前でご紹介したレトログラードと合わせて腕時計に採用されることが多く、ジャンピングアワー搭載モデルはユニークな表情のものが多く登場しています。

パワーリザーブ(インジケータ)

SBGA211のパワーリザーブインジケータの写真

パワーリザーブは、その腕時計がどれだけの時間連続で稼働できるかの指標(3日巻など)であると同時に、残りの駆動可能時間の表示機能のことも指します。表示方法としては扇状の目盛と針を組み合わせてたものが多く採用されています。

グランドセイコーのスプリングドライブでは、ほとんどのモデルにこのパワーリザーブが搭載されています。

レギュレーター

ジンのレギュレーターモデル

時計は時針分針秒針を一つの軸で動かすのがスタンダードですが、あえて時針、分針、秒針をそれぞれ違う軸で表示する機構をレギュレーターと呼びます。

時間を見間違えにくいという利点はありますが、軸を増やしたことによる内部構造の複雑化が欠点とも言えます。

レギュレーターは標準という意味合いを含んでおり、昔の時計職人が標準時計として用いていたとされています。

GMT

GMT搭載のSBGJ255の写真

グリニッジ天文台を通る子午線を基準とした世界標準時(Greenwich Mean Time)を意味するGMTですが、時計の機能の一つであるGMTは任意の2カ国の時間を知ることができる機構のことを指します。

時針分針秒針に加え4本目の針であるGMT針(24時針)が搭載されており、ベゼルやダイヤルに24時間表示がついているのが特徴です。

時差に基づいて24時針を設定することで2カ国の時刻を同時に表示できる機能であり、ただ単に針やインデックスが増えることで盤面にアクセントを加える役割もあります。

UTC

GMT(Greenwich Mean Time)が天文学的な世界標準時であるのに対し、UTC(Universal Time Coordinated)はセシウム原子時計に基づいて人工的に維持されている世界標準時のことを指します。

腕時計の機能としてのUTCはGMT機能と全く同じです。

ワールドタイム

シーマスターアクアテラワールドタイマーの写真

ワールドタイムは知りたい国のローカルタイムを一目で知ることのできる機能です。

回転ベゼルやダイヤルに異なるタイムゾーンの都市名がいくつも記されており、いちいち時差を調べなくともそれらを操作するだけで簡単に時刻を知ることができます。

2カ国の時間を同時に表示できるGMTやUTCとは若干異なる機能と言えるでしょう。

デュアルタイム

一つの腕時計を使って二つの時刻を同時に表示できる機能です。文字盤の中にもう1セット文字盤と針を設けるなどして時刻を2つ表示したり、ブランドによってはケースの裏表に時計を配する独自機構も存在しています。

広義で言えばデュアルタイムとGMTは同類の機能と言えますね。

クロノグラフ

スピードマスタープロフェッショナルのクロノグラフの写真

時間を測るという意味を持つ、腕時計の中でも知名度、人気ともに高い機構です。

ストップウォッチ機能またはストップウォッチ機能を搭載した腕時計のことを指し、基本的にりゅうずの上下にプッシュボタンが配置されており、文字盤に複数のダイヤルが配置されているのが特徴的です。
一般的に時、分、秒の積算計が搭載され、秒単位で12時間までの計測が可能です。

クロノグラフの拡張機能として、時速を測るタキメーターや、距離を測るテレメーター、テレメーターと呼ばれる心拍測定機能も登場しています。

スプリットセコンドクロノグラフ(ラトラパント)

デヴィルラトラパントの写真

2本のクロノグラフ用の針を使うことで、レース競技等で不可欠なラップタイムの計測を実現したクロノグラフ機能です。

通常のクロノグラフと異なり3つのプッシュボタンが備えられており、2本の針を使うことで計測を続けながら経過時間(ラップタイム)を読み取ることができます。

このラップタイム表示を解除した際に計測を続けている針に瞬時に追いつくため、ラトラパント(追いかける)という名前でも呼ばれています。
ちなみに日本では2本の針を剣に見立て、「割り剣式」とも呼ばれています。

年次カレンダー(アニュアルカレンダー)

グローブマスターアニュアルカレンダーの写真

年次カレンダーは日付と月の両方を表示するカレンダーで、31日間ある月とない月(2月を除く)を自動的に修正してくれる機構が搭載されています。

毎年3月1日に日付修正をすれば月替わりにカレンダーの調整をする必要がなくなるため、非常に便利な機能と言えるでしょう。

永久カレンダー(パーペチュアルカレンダー)

カンパノラパーペチュアルカレンダーモデルの画像

31日ある月とない月(2月も含む)に加え、4年に1度の閏年まで修正の必要がないカレンダーを永久カレンダーと呼びます。

腕時計の世界三大複雑機構である永久カレンダーは、年次カレンダーと違って1年ごとの修正も必要ないため最高峰のカレンダー機能と言えますが、同時に最も複雑な機構と技術力を必要とします。

永久とは言っても100年間に一度は日付を調整する必要があり、現行の永久カレンダーモデルのほとんどは2100年に手動での調整が必要となっています。

これは腕時計の永久カレンダーがユリウス暦に基づいているのが原因です。先進諸国で採用しているのはグレゴリオ暦であるため、暦によって生じる”ずれ”を100年ごとに修正しなければならないのです。

なお最近では2499年までずれないモデルであったり、クォーツ式によって手軽な値段で永久カレンダーを実現したモデルも登場しています。

トゥールビヨン

カンハ?ノラトゥールビヨンの画像

機械式時計は机の上に置きっぱなしにしておいた個体と、ずっと手首に着けていた個体ではそれぞれで生じる誤差に違いが出てきます。

この違いは「姿勢差」と呼ばれ、構造上重力の影響を受けやすい機械式時計において、この姿勢差の問題を解決することが長年の課題となっています。

この姿勢差を最小限にまで抑える機構が、世界三大複雑機構の一つ、トゥールビヨンです。

簡単に説明すると、機械式の精度を司る脱進機と調速機を一つの枠組みに収め、一定方向に回転(1分間に1周)させ続けることで重力の影響を分散し、姿勢差の影響を抑える仕組みとなっています。

ちなみに、トゥールビヨンとは渦巻きを意味しています。

ミニッツリピーター

カンパノラミニッツリピーターモデルの画像

ミニッツリピーターは、時計側面にあるレバーを操作すると音によって時刻を知らせてくれる機能です。

説明する分には簡単ですが、ぜんまいの力を使って音を出す機構を小さい腕時計に内蔵するのは非常に難しく、その要求される技術力の高さから世界三大複雑機構の一つに数えられています。
仕組みとしてはムーブメントにハンマーとゴングが内蔵されており、内部でゴングが叩かれることによって、音色で時刻を知らせてくれます。

一般的なミニッツリピーターでは2セットのハンマーとゴング(つまり2つの音色)が搭載されており、音色や間隔の組み合わせによって、聴覚だけで時間を分単位まで伝えてくれます。

こちらもクォーツ式で再現したモデルがカンパノラから登場しています。

グランソヌリ

グランソヌリはミニッツリピーターと同様に音によって時刻を知らせる機構ですが、こちらは決まった時間に”自動的に”ハンマーがゴングを鳴らし、時刻を伝えてくれます。要は時報のような役割を果たす機能ですね。

一般的に、15分ごとに音を鳴らす機能をグランソヌリと呼び、30分ごとに鳴らす機能をプチソヌリと呼びます。

オートマタ

12世紀〜19世紀にかけてヨーロッパで作られていた機械人形ないしは自動人形を、時計の装飾として組み込んだのがオートマタです。

腕時計でありながらも、盤面上で鳥が羽ばたいたり、人々が動く姿を楽しむことができる何とも夢のある機構と言えるでしょう。

古くから時計技師は自動人形の製造に深く関わっており、腕時計の装飾への採用もそんな匠の技があってこそ実現したものなのです。

参考:「ウォッチコーディネーター検定テキスト」一般社団法人 日本時計輸入協会 発行

 

 

まとめ

基本的な時計の種類について解説しました。
時計を選ぶ際に、デザインや機能性だけでなく中の構造や特徴を知れば、また一歩深い思考にたどり着けます。
自身のこだわりを持つことで、時計選びもより楽しくなるのではないでしょうか。