NC0200-90Eのリストショット

【機械式 Cal.0200搭載 特定店限定モデル】
メカニカルというザ・シチズンの新たな可能性

2021年3月、腕時計の本質を追求するシチズンは、ついに機械式時計へと舵を切った。

ブランド名を冠するハイエンドライン「ザ・シチズン」において、新作メカニカルムーブメント「Cal.0200」をリリースし、高級機械式時計の市場へと進出したのである。

類まれなクォーツウォッチで世界を牽引してきたブランドの新作メカニカルは、一体どのような傑作に仕上がっているのだろうか。

当記事では、2021年8月にリリースされたばかりの新作モデル2本の紹介を主軸に、新生メカニカルムーブメント「Cal.0200」をご紹介する。

今回ご紹介する、NC0200-90E、NC0200-81Lはシチズンプレミアムドアーズ認定店限定モデルとなります。ご予約、ご購入の際はぜひハラダ当店にお任せください。

 

 

本質を追求し続ける「The CITIZEN ザ・シチズン」

ザ・シチズンのロゴ画像

その類まれな技術力で、数々の革新的技術を生み出してきた時計メーカー「シチズン」のハイエンドライン、それが「The CITIZEN」だ。

”腕時計の本質”を追求するシリーズラインには、エコ・ドライブ、デュラテクトをはじめとするシチズンの独自技術がふんだんに用いられており、クォーツ式時計としての最高峰をひた走る。

そして何より注目したいのが世界最高精度と言われる「Cal.0100」の存在だろう。このクォーツムーブメントの誕生により、ザ・シチズンは世界一の精度年差±1秒を実現し、実用時計作りにおいて確固たる地位を獲得するに至った。

 

 

Cal.0200搭載の新作「ザ・シチズンメカニカル」

来たる、2021年8月。ついに待望のザ・シチズンメカニカルがリリースされた。

ザ・シチズンメカニカルの青文字盤と黒文字盤を並べた様子

今回ラインナップされたのはレギュラーモデルの青文字板(NC0200-81L)と黒文字板(NC0200-90E)のふたつに加え、55本限定で白文字板のモデル(すでに完売)の計3種。なお、レギュラーモデルの2本に文字板以外の差異はなく、限定モデルのみワニ革バンドが使われている。

ちなみに本シリーズは生産体制の問題か、話題の新作でありながらも非常に生産数が少なく、プレミアムドアーズ認定店のみでの取り扱いとなっている。

 

 

新たなザ・シチズンのデザインコード

ザ・シチズンメカニカルの青文字盤を俯瞰した様子

ここからは新作ザ・シチズンのデザインコードを一つずつ紐解いていく。

 

ラグを廃止した大胆なフォルム

今作には力強さとシャープさを併せ持つ「先進性」をテーマとした、前衛的なフォルムが採用された。

一際特徴的なのはラグの廃止だろうか。ラグとはケースと一体化したバンドとの接続部を指し、その形状によって時計の雰囲気はガラリと変わることもある。同ブランドでは、「AQ4100-56L」に水晶を模したラグが採用されていたのが印象的だった。

ザ・シチズンメカニカルのラグを拡大した様子

本作はそのラグを大胆に取り除いた一体型ケースとなっており、スポーツウォッチのようなシャープな力強さが表現されている。同年に発売された機械式モデル「シリーズ8」においてもモダン&スポーティが意識されていたこともあり、シチズンの機械式時計の目指すところを垣間見られる意匠だ。

ザ・シチズンメカニカル黒文字盤のバンドを拡大した様子

 

無垢ステンレスのスリムケース

粗めのヘアライン加工と鏡面加工で構成された40mmのケースは非常にメリハリが効いており、立体感の強調とともに存在感が強く押し出された。

ザ・シチズンメカニカルのケースを側面から見た様子

さらに、一体化ケースを採用してるだけあってブレスレットにも見事な鏡面加工とヘアラインの使い分けがなされており、時計全体に少しの妥協も感じられない。

ザ・シチズンメカニカルのバックルを拡大した様子

使われている素材にも注目したい。シチズンの独自素材スーパーチタニウムの存在がありながらも、本シリーズには無骨な無垢ステンレス(表面だけでなく中身まで全てがステンレス)が使用されている。

軽やかなクォーツモデルとは対極に位置する、重厚感たっぷりのザ・シチズンを実感できるのも魅力の一つだろう。

 

技術力を象徴する文字板仕上げ

レギュラーモデルの二つには文字板の色の違いだけでなく、その仕上げにも明確な区別が図られた。

ザ・シチズンメカニカルの黒文字盤を拡大した様子

本シリーズの顔にもなっている黒文字板は、高度な金属転写技術である電鋳手法によって、砂地のような細かい凹凸が表現された。

その細やかな陰影は光の加減によって確かに時計の表情を変え、モノクロのカラーリングでありながらも、個性の演出に事欠かない。

 

ザ・シチズンメカニカルの青文字盤を拡大した様子

なめらかなブルーの文字板には中心から放射状に直線が広がるサンレイパターンが導入されている。

系列のカンパノラでは、はっきりとしたサンレイパターンをダイヤルのディテールとして用いることが多いが、本モデルでは文字板のブルーの発色に深みを持たせるために使われているようだ。

そのおかげか、青文字板からは研磨したラッカー塗装のような輝きではなく、鈍く表情を変える独特な輝きが生み出されている。

 

際立つ針とインデックス

ザ・シチズンメカニカル黒文字盤の針とインデックスを拡大した様子

視認性のために多面カットが施された2針およびインデックスは、C面取りに鏡面加工を、表面をサテン仕上げのように加工することで、光の反射で際立つような仕掛けになっている。

無駄を削ぎ落としたデザインゆえルミブライトさえ持たない本シリーズだが、文字板の仕上げとのギャップも手助けし、少々の暗所であっても視認性に支障はないだろう。

 

ザ・シチズン初のスモールセコンド

ザ・シチズンメカニカルのスモールセコンドを拡大した様子

本機にはムーブメントのレイアウトの都合もあってか、簡単な構造かつ時計をスリムにできるスモールセコンドが採用された。

当たり前といえば当たり前だが、これまでクォーツ式のみをリリースしてきたザ・シチズンにとって、本シリーズは初のスモールセコンドモデルとなる。それでいて、クラシカルな印象のあるスモールセコンドを、先鋭的なデザインにマッチさせているのは流石と言ったところだろう。

小窓の文字板にはメインカラーより幾分暗い色が採用されており、ここにもサンレイパターンの意匠が見られた。

今回ご紹介した2本を動画に収めました!ぜひご購入の参考にしてみてください。

 

 

気鋭のメカニカルムーブメント「Cal.0200」

メカニカルムーブメントCal.0200の画像

クォーツムーブメントCal.0100で世界一を勝ち取り、次なる挑戦としてザ・シチズンメカニカルに取り掛かったシチズンは、既存の機械式ムーブメント「90系」をベースにするのではなく、全く新しい機械式ムーブメントの開発を目指した。

結果生まれた「Cal.0200」には、マニファクチュールとしての技術、設計思想に、ラ・ジューペレ社の装飾技術がプラスされた、シチズンの新たな可能性を感じるムーブメントとなっている。

 

徹底した品質、性能管理

クォーツブームメントの各部品を並べた様子

Cal.0100をはじめとしたクォーツムーブメント開発において、水晶振動子の厳選に数ヶ月もの時間を費やすシチズンが、機械式ムーブメントの性能管理で手を抜くはずもなかったようだ。

Cal.0200の製造において、シチズンはその性能に非常に厳しい基準を設けた。精度はもちろん、6方向の姿勢差、3段階の温度設定での影響など、17日間に及ぶ検定をパスしなければ、Cal.0200としては認められない。結果、Cal.0200は日差ー3秒〜+5秒以内の高い精度を獲得するに至り、本場スイスのクロノメーター検定をものともしない機械式時計が完成したのである。

さらに、その検定が完成ヘッド状態で行われていることにも触れるべきだろう。

一般的なクロノメーター検定のほとんどがムーブメント単体で行われるのに対し、本機はケースに入れられた状態で検定が行われる。これは再現性の高さの象徴に他ならず、機械式時計としての信頼度は他社と一線を画している。

 

LIGA工法で誕生した新たな心臓

ザ・シチズンメカニカルの脱進機の画像

Cal.0200の類い稀な精度は、もちろん一般的な機械式ムーブメントでは生み出すことができない。年差±1秒実現の立役者とも言えるLIGA工法(微細構造物形成技術)による、マイクロ単位での各部品の洗練はもちろんのこと、本機には心臓部とも言われる脱進機にも新たな試みが図られた。

それこそが、フリースプラングテンプである。

ザ・シチズンメカニカルのCal.0200の画像

テンプから緩急針を取り除きテンワの慣性によって調速を行うこの機構は、非常に安定した精度が得られる代わりに、製造、調整に高い技術力が要求される。

シチズンが十数年越しの新作機械式ムーブメントにおいて、高精度の条件ともされるこのテンプを当たり前のよう採用にしたのは驚かざるを得ない。

 

名門ラ・ジュー・ペレの審美性

今や、機械式時計にとってシースルーバックは当たり前の仕様となったが、それゆえに各ブランドは、ムーブメントの性能はもとより、見た目の美しさにも心血を注ぐこととなった。時計として美しい裏面はセールスポイントであると同時に、ブランドの技術力の高さの証明に他ならないからである。

Cal.0200の製造にあたり、マニファクチュールであるシチズンがとったアプローチは、名門ラ・ジュー・ペレ社との共同制作だった。

ラ・ジュー・ペレ社はスイスの名だたる腕時計ブランドにムーブメントを提供してきたシチズン・グループの一角である。その積み上げてきたムーブメントの装飾技術には目を見張るものがあり、美しいムーブメント作りにおいては最高峰と言えるだろう。

事実、Cal.0200はラ・ジュー・ペレ社の審美性が活かされた非常に美しい仕上がりを見せるに至った。

クォーツムーブメントCal.0200を拡大した様子

シースルーバックからのぞく裏面には直線、円、円弧のヘアラインが見事に使い分けられ、そこに鏡面仕上げのスクリューヘッドや、滑らかな面取りがアクセントとしてプラスされることにより、どこを見ても飽きさせない表情を獲得。

この装飾技術によって、Cal.0200は性能面だけでなく、その美しさでも世界と戦えるムーブメントとして成立したのだ。

 

 

長期保証という新作メカニカルに対する自信

ザ・シチズンのクォーツ式といえば業界最大級である10年間の保証が用意されており、自社のクォーツウォッチに対して強い自信を感じるサービスとして有名だった。

本機には、2年保証の多い機械式時計の中では長期の部類にあたる5年間の保証が用意された。機械式のオーバーホールの目安が4〜5年であることを考えると、一回目のオーバーホールまでは確たる品質を保証していることになる。

 

 

まとめ ザ・シチズンの次なる可能性「ザ・シチズンメカニカル」

当記事では、ザ・シチズンの次なる可能性であるメカニカルモデルを、新生ムーブメント「Cal.0200」とともにご紹介した。

クォーツ式で確固たる地位を獲得したザ・シチズンが生み出した機械式モデルは、機械式市場におけるこの先のシチズンの快進撃を予感させるものとなった。

今から、ザ・シチズンメカニカルの次なるコレクションを期待せずにはいられないだろう。